基本は大切
そんなこと言われなくても、皆が知っている事ですよね?
長年バレエを教えている先生はもちろん、ケガで悩んでいるダンサーや、
先週バレエをはじめたばっかりの大人バレエ生徒も知っていると思います。
バレエだけじゃなく、スポーツや勉強でも同じだから
この記事を読んでくれている、多くのバレエ非経験者保護者の方々も知っていると思う。
ではここで質問です。
先生、生徒、保護者も含め、基礎は大切と知っていながら、
基礎レッスンではないところに力(お金・時間)をかける理由はなんでなんでしょうか?
この系統の質問をすると、かならず戻ってくる回答があります。
「基礎レッスンは大切だけどOO」
OOに入る言葉は様々ですが、
DLSを通じて10年以上日本のバレエ人口と仕事をしている中で
職業別、多くの人が口を揃えて答えるナンバー1はこちら。
- 先生=生徒が辞めてしまう
- 生徒=つまらない・もっと踊りたい
- 保護者=コンクール入賞やバレエ学校に入らないと、プロになるのは難しい
今日のブログでは、大人を含む全ての生徒の気持ちに向き合ってみたいと思いますが、
簡単に先生と保護者の声への”鬼の”返信を先にしますね。
(鬼語録が苦手な方は、この部分は飛ばしましょう)
基礎ばっかりだと生徒が辞めてしまう、と思う先生へ
指導内容とスタジオ運営を一緒に考えないようにしましょう。
いいものを売っていても、知られなければ売れません。
いい指導をするのは、プロとして「当たり前」だと私は思います。
そのうえで、スタジオ”運営”をしなければ、生徒は増えません。
スタジオ運営、といっても大企業みたいに考えてなくていい。
ただ、バブル期はとうに終わり、少子化であることは事実なので、
- スタジオの差別化
- 最新情報にアップデートされているウエブサイト
- コンスタントな宣伝
の3つは絶対必要だと思いますよ。
そういったビジネス面での努力をせず、
自分のビジネス力量のなさを、生徒の将来と引き換えにしないように。
コンクールに出ないとプロになれないと思っている保護者の皆さんへ
たしかにバレエ学校やコンクール入賞は強みになることがあります。
でも「全ての」コンクールが大切でもなければ、
「全ての」バレエ学校がプロを育ててくれるわけでもありません。
近年たくさん出てくるバレエ学校のスキャンダルニュースを読んだら分かりますよね?
例えば、ロイヤルバレエ学校は卒業生ほぼ100%プロ就職率をうたっていますが、
2年生(最終学年は3年生)で、見込みがない子は退学させられるって知っていますか?
ローザンヌやYGPでスカラシップがあったら、特別待遇されるわけではないことを知っていますか?
そして、ケガして踊れないダンサーは、どのバレエ団もとってくれません。
子供たちの夢と将来を守るために、本当に必要なことを吟味してください。
鬼語録はここまで!
今日のテーマである「基礎レッスンは大切だけど、つまらないし、踊った気にならないんだよね」
に戻りましょう。
基礎レッスン、嫌いでした
基礎レッスン、つまらないですよね。
私も嫌いでした。
(18歳でバレエ学校留学した時も、つまんない、と思っていたくらいです…)
日本のバレエスタジオに通っていた時、毎週水曜日の先生はバレエ団にいた人で
その先生のクラスはずーっと”つまらない”と感じていました。
(そのほかの先生は、スタジオ主催者とその娘さん、スタジオの先輩などでした)
同じような音楽だし、派手なことはしないし、
センターのグランアレグロは似通ったもの、
最後にフェッテなんてなかったし。
(主催者の娘さんのクラスでは、回転が多かったんです。先生が得意だったから。
先生が自信をもって指導出来ることを、クラスで指導する。
これについてはまた今度…)
でも、今なら分かるんです。
彼女のクラスが一番いい指導だったんだろう、と。
だからきっと、長年バレエ団に在籍できた方だったんだろうし、
発表会で彼女が担当する振付は、そのスタジオが得意とする創作バレエではなく、
パキータなどクラシックのバリエーションを、クラスにいる子たちのレベルに合わせて変更してくれていたんです。
絶対に怒鳴らない。
体型について言わない。
誰か1人を贔屓するそぶりもない。
そして、基礎に則ったレッスンを指導してくれていました。
そうそう、新しいレオタードや、流行りの服装とかではなく、
彼女はいつも自分のスタイルがあって、1足の指導シューズを文字通り”履きつぶして”いましたね。
こういうところからも、その人柄が見えるんでしょう。
そんなこと、生意気な中高生の愛ちゃんが、観察&分析していたわけではないですが、
大人になった今なら分かる、っていうヤツです…
bitter sweet。
基礎がつまらない時の対策法
基礎が大事だと皆分かっている。
でも、基礎はつまらない。
とはいえ、やらないわけにはいかない。
こういうとき、どうしたらいいでしょうか?
大丈夫、対策法は色々あります。
プロを目指している生徒たち
基礎がつまらない、という考えを改めるために勉強すること。
どうしてやっているのか、なんだか分からないから意味を感じないし、
なんとなく動きが出来ちゃっていると思っているので、つまらない。
だからこそ、基礎に対しての知識を増やすことをお勧めします。
- バレエのステップ&体の使い方を解剖学的に(理論的に)理解する
- エクササイズクラスを受けて、バレエの基礎がどれだけいいトレーニング方法なのかを実感する
コンテなど違うジャンルを学び、バレエの基礎をほかの視点から見直してみる
などは、いいスタートになります。
たとえ、基礎への理解が増えなかったとしても
解剖学、エクササイズ、コンテは多くのバレエ学校の授業として入ってくるでしょう。
プロを目指している&バレエ学校留学を希望しているなら、
古い日本バレエ特有のエシャッペ1000回とか、バレエ学校の試験にすら入らない32回フェッテをしているより、
自分の夢へ直結したトレーニングになるはずです。
*解剖学とエクササイズの両方を、バレエのテクニックと結びつけながら学べるエクササイズクラス、
ボディコンサークルの詳細はこちらからチェックしてくださいね。
元バレエ学校解剖学&エクササイズ講師の佐藤愛がお届けしている、オンラインエクササイズクラスです。
自分の楽しみのためにバレエを習っている生徒たち
このグループに入る人たちで、特に大人だったら基礎の徹底「だけ」に限らず、
もう少し視野を広げる必要もあるかもしれません。
長く踊れる体のため&思ったように体を動かすためには、基礎は必要です。
特にクラシックバレエのように、タンジュ+プリエ=ジャンプのつま先と着地、と基礎のパが次のレベルのテクニックに直結している場合、
思ったように踊るためには、基礎が身についていなければいけません。
だけどね、もしかしたら、基礎レッスンじゃないクラスを選択する自由もあるかもしれない。
ストレス解消☆なにも考えず動きたい!みたいな方もいるじゃない?
そういう視点で、バレエを楽しむのは素敵だと思う。
レッスンに参加するゴールが「音楽とともに体を動かすこと」だけの場合、というのかな?
大人なので、自己責任ですから。
ただし、自分で選んだなら、文句は言わないようにするのは大切ですよ。
基礎を上達させたい、と思っている方なら、
- 解剖学の知識を増やし、頭から基礎を理解する
- エクササイズクラスで、振付、空間、音楽を考えず、基礎体力&筋力を育てる
の2点をお勧めします。
*DLSボディコンエクスプレスはオンラインで30分、ちゃちゃっとダンスに直結するエクササイズが体験できます。
脱 つまらない基礎レッスンしたい先生へ
先生の場合、つまりバレエ指導のプロの場合、
- 基礎とは何か?(ヒント:クラスのレベルや年齢によって変わります)
- 基礎の大切さ、繰り返し&継続の重要性
を知っている事でしょう。
(ここを知らなかったら、必死に勉強してくださいね、その部分を売っているんだから…)
そのうえで、生徒が飽きないように
つまらなくない基礎レッスンを提供する方法を考える。
これに限りますね。
よくある基礎レッスンの間違いは
- 同じ動きを繰り返すことが、基礎レッスン
同じ注意を繰り返すのが、基礎レッスン
という考え方。
だから、何度もやってきている基礎の動きを、どれだけ新鮮に感じてもらえるか?がカギになります。
もちろん、指導者側も飽きてきます。
上の2つの間違い例を見てもらうと分かるように「繰り返し」が飽きを作るので、
毎週たくさんのクラスも指導していれば、指導者本人が飽きてくるんでしょう。
自分自身がフレッシュな視点で基礎レッスンと向き合うことが出来なかったら、
基礎はつまらない、という気持ちが生徒に伝わってしまって当たり前。
生徒たち、とくに子供たちは先生の言葉よりも、態度から学んでいますから。
では、具体的にはどうするのか?
大丈夫、準備しましたよ。
「脱・つまらない基礎レッスン」ミニeBookを作りましたので、
勝手にダウンロードしてお好きなようにスタジオでお使いくださいませ。
指導者じゃないんだけど、興味あるな~という方もどうぞ。
「こういうレッスン内容だったら、先生はこういう風に生徒を想ってくれているだな」
と先生への感謝が生まれるかもしれません。
私も、柴田先生に感謝の気持ちの念をお送りしながら(20年以上遅れてるけど…)
今日のブログを終わりにしたいと思います。