片手バーVS両手バー。
なに言ってるのかさっぱり分からない人がいたらメールください。
どうやってDLSを探したのか知りたいです笑
さてさて。
今日はバレエ教師の方からいただいた質問、片手バーと両手バーどこからはじめたらいいのか分からない、というものについて。
すっごくシンプルに言ってしまうと
両手バーからでございます。
で終わっちゃうので、バレエレッスンでのバーの使われ方、エクササイズ的にみる方法、そして自主練の時の使い分け(もしくは指導の時のヒント!)という感じでこのトピックを見ていきましょう。
バレエレッスンでのバーの使われ方
私はバレエ史専門でないので深いことはお話できません。ご注意ください!
という免責を書いておいてからはじめましょっか。
ルイ14世がバレエをやってて足の5番ポジションとか作っていた時にはバーレッスンはなかったようです。
その後、バレエダンサーを作る学校が色々な国でできて、そこでテクニックを育てるものとしてバーレッスンが活躍したみたい。
だから、どんなバレエのシラバスをみてもバーレッスンが入っています。
シラバス、っていうのはプロのバレエダンサーを育てるために作られたシステムだからね。
シラバスについての深い話は既にしているので、気になった人はそちらを読んで下さい。
うちの校長先生(彼女についての記事はこちら)はACBシラバスというのを作った人。
ACB=the Australian Conservatoire of Balletの略でうちの学校の名前です。
ワガノワメソッドをベースにしていますが、ワガノワでは扱われない3,4歳のダンサーがレッスンにくるオーストラリアやアジアのために、若い子たちのレッスンまで書きこまれています。
彼女によると、最初に両手バーではじめるのは当たり前だけれど、
シラバスの途中で新しいステップが出てきたら、両手バーに戻るように作られている、といっていました。
余談だけどさ、これがシラバスを作った人が生きている(笑)メリットだよね。
本人に直接聞けます。そして本人が改正を加えている理由や、現場にいられるから便利です。
例えば、ある程度のレベルにいったらプリエを片手バーで行いますね。
だけど4番ポジションが新しく導入されるレベルでは1,2、5番ポジションプリエを片手バーで行い、
4番ポジションの時だけ両手バーに戻ってくる振り付けなんかが入っています。
彼女に言わせると、4番ポジションが一番難しいから。
エクササイズ的にも、解剖学的にも私も一番難しいと思います(2番ポジションも難しいと思う)。
バーを自転車の補助輪だと考えると、両方あった方が安定するよね。
両手バー→片手バー→センターレッスン→リハーサル、と続いて舞台となるわけです。
バーレッスンをエクササイズ的に見る
OKCとかCKCとかって言葉聞いたことあります?
ないよね。
オープンチェーンとかクローズドチェーンとかは?
やっぱりない?
これねトレーナーさんとか、リハビリの時によく使う言葉。
OKC=open kinetic chain
CKC=closed kinetic chain
kineticって言葉は動力学とか日本語訳されるみたいだけれど、ダンサーはそんなことを知っている必要がないので飛ばします。
私がダンサーに説明する時には、頭に浮かびやすいように、オープンチェーンとクローズチェーンと言ってます。
一方はクローズで、一方はオープンなの。
それだけ。
難しいことや専門的な事を知らなくていいよ、舞台で使えないから。
そして本気で書くとこれだけですごく長い記事になっちゃうけど、今日のお題はバー。
センターで踊っているとき、ダンサーはオープンチェーンになります。
何にも捕まってなくて自由よね。
支えがなくて難しいし、フィードバックがないから真っすぐを確認するのも難しくなるね。
逆に両手バーだとどうだろう?
両方の手がバーに置かれるのでクローズチェーンになってくれる。
支えがあるというだけでなくって、バーと比べて骨盤や肩がまっすぐになっているか?を確認することもできる。
肘の曲がり具合や、手にかかる重さの違いから体がイーブンかを確かめることが出来る。
その間にあるのが片手バー。
支えはあるけれど、そして自分で立っているか、真っすぐかを確かめる方法はあるけれど、
両手バーと比べるとコントロールが難しいね。
バーに寄れかかっていないか?をチェックは出来ても、両方の肩が同じ位置にあるか?を確認するのは難しかったり。
このコンセプトはほかのエクササイズでも考えることができるよ。
例えばピラティス。
フロアピラティスとリフォーマーを例にとってみると、リフォーマーの方が楽なんです。
楽っていうか安全?よりよくコントロールができるし、失敗が少ない。
ジムでもフリーウエイトよりはマシンの方が初心者向けだといわれています。
じゃ、なんでフロアピラティスとかフリーウエイトの方が広まっているか?って言ったら
たぶんマシンは高いし、それがないとできないからだろうね。
舞台裏でとか、ツアー中にとかはできないからね。
なので校長先生がいうように、難しいステップが入ってきた時、最初に両手バーで練習するべきなんです。
自主練の時の使い分け(もしくは指導の時のヒント!)
そんなのは放っておいて。
じゃ、私たちダンサーはどうすればいいのでしょうか?ってところね。
両手バーは簡単、とか初心者用なんでしょ、なんて思わないこと。
両手バーは自分の弱点克服に役に立ちます。
苦手なステップ、ポジションを両手バーに戻って練習してみましょう。
その時にバーをアシスタントだと思ってあげてね。
力のかかり具合、体とバーとの距離、ラインのチェック・・・
正しい質問をするとバーは答えてくれます。
そして答えは目の前に落ちています。
本当に、目の前に。
片手バーではバーと垂直、水平になっているものを探しましょう。
骨盤、肩は垂直。
デヴァンやデリエールで出した脚は水平。
特にセンターでアラベスクが外れてしまう人は、ここでしっかりとチェックすることができますよね。
アンシェヌマンの始まるまえ、後に立ち止まり、体の場所を再確認して。
真っすぐ始めたはずなのに、アンシェヌマンの終わりでは、5番ポジションで前の脚の骨盤が前にずれてる・・・
こういうものを探すのがバーレッスンですよ。
両手バーの時は骨盤の三角形がバーと並行、片手バーの時は骨盤の三角形が垂直。
骨盤のプレースメントを確認することも一緒にできるので、しっかりと考えてね。
ケガした時のリハビリでも、センターレッスンに戻ってくる前にすべてのステップをバーでやっておいたらいいですよ。
アレグロ、ジャンプでもバーに捕まって行うことができます。
ポワントもピルエットも重心移動があるワルツも。
このようなリハビリは足首、足先、膝をケガした時には素晴らしく大事です。
ステップへの恐怖を外すためにもとっても大事。
何度も繰り返し練習しておきましょう。
どうでしたか?
今度のレッスンで考えるきっかけになってくれたら嬉しいです。
治療家・トレーナーさんでダンサーをリハビリしている人達、このような穴埋めエクササイズや言葉かけを知りたかったらDLSの治療家・トレーナーのためのセミナ―に参加して下さい。
治療しても、トレーニングしても、レッスンでやっぱり痛みがでる、というとき。
ギャップを埋めるヒントが見つかると思います。
Happy Dancing!