DLSでは「教師のためのバレエ解剖学講座」っていうセミナーを年に数回行っています。
いつもは驚くほど早く売り切れてしまって、説明している時間がないのですが、こちらでお話してみます。
バレエ教師が解剖学を知っている必要がある理由
ナンバー1はもちろん、体の動きを指導する人だから。
確かに、ワガノワバレエのように、
- 厳しい身体テストを経て
- その学校で何年も練習を重ね
- 選ばれて舞台に立ち
- その後指導者になって母校に戻ってくる・・・
という訓練をした人は必要要らないかもしれません。
だって、指導している相手はケガしづらい体だろうし、毎日決まったトレーニング(レッスン)をこなしている。
そして、ケガだけでなく、テクニックや体型などで毎年どんどん落とされていき、
生き残った人で選ばれた人がプロの世界にいく・・・
同じようにトレーニングをしてきたバレエミストレスたちとリハーサルを行い、
母校でその経験を指導する、となれば「経験」が指導で来てしまう部分が多いと思います。
でも日本のバレエスタジオではそうはいきませんよね。
体型審査があるスタジオなんて聞いたことがないし、バレエをはじめる年齢もバラバラ。
同じ年齢の中にも週に1度しか来ない子や3回習っている子。
他の習い事や普通の学校とのスケジュール管理、修学旅行や受験で休んでしまう。
それだけでなく、ケガ(バレエとは関係のないものも含め!)や、発表会前とそうでない時の練習量の差など。
本当に色々なことを考えなければいけないのが、日本のバレエ指導者です。
忘れてはいけないのは、大人バレエトレーニーさん(大人でバレエレッスンを受けている方々をDLSではトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいます)さんだったり、
ブランクがあって戻ってきたダンサーたち。
その人達の体は一般的に使われているバレエシラバスの「小さい子から体を育てていきましょう!」にはうまく当てはまらないんです。
それって悪い事ではなくて、バレエを何歳でも楽しむ♡という意味ではとてもいいですよね。
そのように、様々なバックグラウンド、歴史のある体を指導する側としてサポートになるのが「解剖学」。
→「指導者のための言葉選びヒント」
普通の解剖学とバレエ解剖学
でもね、普通の解剖学って勉強するのにすごーく時間がかかるの!
お医者さんとか何年大学に通って勉強すると思います?
体を治療する人達で、国家資格を取っている人達でもバレエの動きはもちろん、スポーツなど一つに特化したものは勉強しません。
それは自分でセミナーにいったり、場数を踏んで体験するものですから。
だから、ただでさえ忙しいバレエの先生(レッスン指導から、スタジオ運営から、発表会の準備、振り付け、音源の準備・・・!!)に、
大学に戻って解剖学を勉強してきなさいね、って言っても不可能です。
だけど解剖学は知っておかなければいけない、と。
ということで、私のようにバレエ学校の専属セラピスト兼解剖学、フィットネス講師として10年以上バレエダンサーの体を毎日嫌!ってほど見てきた人が
必要な部分だけを切り取った解剖学を教えてあげたら助かるんじゃないか、と思って始めたのがこの講座です。
例えば、バレエダンサーの研究では股関節や下肢のケガは多く見られます。
だけど肩のケガはほとんどない。
ということは、股関節、下肢に時間をかけてしっかりと勉強する必要はあるけど、
肘関節とか指先の構造までそーんなに知らなくてもダンサーは指導できるとかさ。
背中にはたくさんの筋肉がついているけれど、指導する時に見えないものは別に名前を知らなくてもいい!とかさ。
スタジオで注意される場所、先生が見ている場所を選択し、不必要なところは省いてあります。
バレエダンサー特有の問題はカバー
逆にバレエダンサー特有の問題が起こりやすい部分は、大学で解剖学を勉強したばっかりの子達よりも深く勉強している部分もあります。
例えばターンアウトや股関節の可動域。
ケガの原因にもなりますし、ここができないとやはりプロを目指すのは難しいから。
別にプロを目指す子たち「だけ」解剖学が必要なのではありませんよ。
だけどね、
- バレエをやるんだったら、上達したいじゃん?
- きれいな衣装をきて、プロがやっている踊りに近づきたいじゃん?
- そして趣味でやるとしても怪我したら辛いよね
安全に踊るという事は、早く上達するという事と同義語です。
だってケガで休んでいる時間や、変な癖を直している時間が必要ないから、
同じレッスンでも上達が早くなる。
現役で踊っている子達にもお勧め
バレエに特化しているから、現役で踊っている高校生以上の子達でも参加できるようになっています。
実際に高校生、大学生の子達も受講してくれたことがあり、
その後レッスンで先生の言っている事が分かりやすくなった、とか
自分の体を感じやすくなった(頭で理解できると、体験もより濃くなる!)という声を頂いています。
海外で解剖学クラスがある子が参加してくれた時、英語でやっていたのでつまらなかったけど、日本語でやったらすごく楽しかった!と教えてくれました。
先生に言われた注意の意味を理解することも、
自分の悩み(脚の高さや形、骨盤のプレースメントなど)も、
理論的に体の中から理解することで解決します。
また、ケガしていても大好きなバレエの勉強が出来るってこと。
もちろん、将来指導を考えているならば生徒の体を預かる「前」に知っておかないと。
学校の先生になってから、よし大学で勉強しよう、ってならないように、指導する前に勉強しなければいけませんものね。
参考書は英語
この講座で使っている参考書はこの記事でもご紹介している、私お勧めのバレエ参考書の一つである「anaatomy of movement」
題名通り、ただの解剖学参考書ではなく、動くための解剖学の本を使っています。
しかも英語。
これはね、深い理由があるんですよ。
日本語で説明が書いてあると、「あとで読もう」とか「確認しておこう」とかちょっと甘えが出ちゃう部分があるんですよね。
答えが書いてある紙をもっているようなものだから。
だけどさ、セミナーとか参加して、資料を読みなおそう!とか思っても
毎日忙しくてそれどころでなくなってしまったり、読んでも意味が分からなかったりするじゃないですか。
だから敢えて英語の参考書を使います。
- 自分の言葉でメモをとらなければいけない。
- その日の話に集中しなければいけない。
そして英語でも読まなきゃ!とやったら日本語で書いてあるよりも時間をかけて丁寧に読解する
=頭に残りやすい。
と参考書選びから既に、忙しいバレエ教師の皆さんのために考えてあります。
マスタークラスは応用編
サイト内でマスタークラスっていうのも見たことがあると思うんだけど、これは実践、応用編。
椅子に座って「ふんふん」って言っているだけじゃ指導に使えないと私は思うんだ。
- 早く動いている生徒(プラス色々着こんでいる!)を目で見てアライメントを指導してあげられるか?
- どんな注意をかけたら生徒は分かりやすいのか?
- どんなクラスを組んだら、ターゲットにしている筋肉やアライメントを育てることが出来るのか。
本当に現場(スタジオ)で使えるようにするには、ここまでやらないと意味がないと私は思っています。
マスタークラスだけ受講するとたったの2時間なので、毎年講座受講する暇はないけど出来るから、と毎年参加してくれる人もいます。
解剖学も、プリエも、タンジュも、毎日繰り返して身についていくものですからね。
FBグループで1年サポート付き♡
1回勉強しただけで頭に入ったら幸せなのよ。
だけど、時間が経つにつれて記憶が薄れてしまうのも事実。
だから教師講座ではFBグループで1年間私からメッセージが届いたり、質問したりできる場所を作っています。
そこで先行予約のお知らせもあったりするので、継続して勉強したい人は確認できるし、
ライブの質問会で地方にいようが、海外にいようが悩みを相談しあえるのも心強いかな、
と海外組の私は思っています。
別に「絶対に」FBグループに入り浸らなくても大丈夫だけど、週に一度10-15分の復習内容が無料で手に入るんだから是非活用してくださいね。
リピートしないと先に進めない理由
これはね、厳しいよーとかいう人がいます。
でも聞いて。
初めてバレエセミナーを受けて、その後すぐにバレエの先生になれると思う?
ならないよね。
そして間違った解剖学ほど危険なものはない。
解剖学的に正しい事「みたいに」聞こえるものでケガをする子達が多いんですよ。
特にレベルが高い子達(=レベルの高い踊りをしなければいけない+真面目に先生に言われたことをすべて頑張る)。
股関節を開きなさい、って解剖学的に正しく聞こえるでしょう?
でもね、こう考えて股関節のケガをする子がすっごく多い!
つい最近もバレエ学校の生徒の一人が言っていました。
間違っていないけど、それがどういう意味で、どこまでやるのか?が分からないとケガになるンだね。
同じように、大腿四頭筋を使わない、とかアキレス腱は柔らかいままで、とか。
時と場所ではそうなる可能性もあるポジションがあるけど、それは毎回ではないし、理由がある。
私の目的はDLSを通じてケガを減らすこと。
ケガにつながる可能性があるならばリピートしてしっかりと勉強してほしい、って願っているんです。
もちろん、その勉強”だけ”やっている医学生徒でも、1回で覚えられないのを考えたら、
リピート1回じゃ足りないんじゃないか?とは思います。
だからマスタークラスで応用、復習するんですけどねー
→バレエ注意の考え方
→縫工筋についてとそこからくるケガについて
最後に過去参加者の声の一部をご紹介しますね!