DLSのFBをフォローしてくださっている方々はご存知のように、
先週末、私は地下にもぐってツアー中のバレエ団の治療に励んでいました。
今日はそこから少しだけ、舞台裏をご紹介!
舞台裏で、って何をしているのかって?
普段はバレエ学校専属セラピストとして働いているので、
治療するのは生徒たちです。
でも、時々バレエ団に呼ばれてシーズン(ひとつの演目が行われている時期)に働きに行ったり、
舞台裏でスタンバイしたりすることがあります。
今回の仕事は舞台裏スタンバイ。
しかもメルボルンでのツアー期間が短いため、私は一度しかダンサー達に会いません。
つまり、リハビリでもなく、ただメインテナンスの治療を行います。
ツアー中ダンサーたちはとても疲れています。
毎日舞台。
時にはマチネとナイトショーもあります。
そして1、2週間後には次の街に行くんです。
カンパニーが小さい場合、怪我してもシーズン中は踊り続けなければいけません。
だってアンダーと呼ばれる第2キャストがいないからです。
いても怪我している場合もあります。
つまり、ここでリハビリを行うのはほぼ不可能です。
よって、そのような話は一切しません!
怪我の話も、痛みの話も、しない事がほとんどです。
もちろんダンサーによりますが。
次の舞台が3時間後にある場合、そして同じショーが続く場合。
痛みをよく知っているのはダンサー自身です。
私たちがその上から「これはひどい怪我だよ」と言ったところで何も変わりません。
また「休んでリハビリが必要だよ」と言っても役に立ちません。
逆に不安にさせてしまうかもしれません。
怪我の事を考えすぎて、踊りに集中できなくなってしまうかもしれません。
彼らが必要なのは、頭の再集中。
つまり、最初の舞台での老廃部質を取払い、
次のショーのためにリラックスしながら集中力を高めていく、
というお手伝いをするのです。
(ちなみに時々、「愛さんみたいな仕事がしたいんです!」というメールを頂くことがありますが、
プロとこのような形で働く場合、エクササイズのことを知らなくても、バレエを知らなくても問題ありません。
但し、「プロの体を変えてあげたい!」という夢は持たないように。
彼らのニーズはそこではないですからね。)
このようなツアーカンパニーダンサーたちは自分の体を知り尽くしています。
街ごとにセラピストが変わるため、自分の怪我の様子や痛みをしっかりと伝えるすべを持っています。
これはDLSで何度もお話ししていますが、
プロとして踊り続ける場合、自分の体がツール。
だからその弱点も知り尽くしているのです。
どのような治療が効くのか。
舞台2時間前と舞台30分前でどうやってトリートメントを変えるのか。
どのエリアの治療をすると動きやすくなるのか。
このような事を知り尽くしています。
そうでないと、長く踊っていられません。
長く踊れない、という事は食べていけない、ということ。
生活がかかっているのです。
プロを目指しているダンサーたち、体の事を知る、というのは
バレエ団に入ったときに「解剖学試験があるから」勉強する、という事ではありません。
バレエ団にやっと入団して踊る時、そして環境がベストでないときでも、
自分の踊りはベストにする。
そのために体を知る必要があるのです。
日本のバレエ団はお給料をくれない!だとか聞きますが、
海外のバレエ団でも大小様々。
給料が出ないところも、ツアーは自分達でバスを運転しているところも、色々です!
このカンパニーもそうですがツアーに専属セラピストをつけるのにはお金がかかります。
アンダーを雇うのもお金がかかります。
かといって、少しでも儲けが出たら、
セラピストをつけるのよりも、ダンサーの環境向上に使われるべきです。
例えば、しっかりと給料がでる、とか、旅の費用がカバーされるとか。
だからこそ最終的に残されるのは、
どの国でも通用するテクニック、体へのリスペクト、そして舞台への情熱
なのかな?
そんな事を思った週末でした。
舞台裏の様子第二弾はこちらから!
Happy dancing!