側弯症ってなに?バレエは悪いの?

*この記事は2013年に書かれたものをより読みやすく、具体的にスタジオで使えるように2020年に大幅改正しました。   側弯症って知っています? 側弯症、正確には脊柱側弯症。   側弯症の中にもいくつか種類があります。 基本的には3つに分かれていて、 機能性側弯症(Functional scoliosis) 先天性や症候群性(Structural scoliosis) 特発性側弯症 (Idiopathic Scoliosis) となるそうです。   一番多いのは、特発性側弯症。 約80%のケースがこのカテゴリに当てはまり、症状が出てくるのは成長期だといわれています。 そしてダンサーに見られるもののほとんども、この特発性側弯症です。 けれど、一体何の事なの?そしてバレエは側弯に悪い?という事を見ていきましょう。   側弯症って何? 日本整形学科学会によると 「側弯症(そくわんしょう)」とは背骨が左右に弯曲した状態で、背骨自体のねじれを伴うことがあります。 通常、小児期にみられる脊柱変形を指します。 左右の肩の高さの違い、肩甲骨の突出、腰の高さの非対称、胸郭(きょうかく)の変形、肋骨や腰部の隆起(前かがみをした姿勢で後ろから背中をみた場合)、などの変形を生じます。 側弯が進行すると、腰背部痛や心肺機能の低下をきたすことがあります。   とあります。 側弯症治療専門のメルボルンにあるMelbourne…

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タックとダックの狭間で:ダンサーが悩む骨盤のプレースメント

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   バレエダンサーだったら、タックまたはタックイン、という言葉を聞いたことありますよね。 だいたいは「タックインしないで」って感じで否定形で使われますよね。 でもさ、直そうとすると「おしり出さないで」「おしり入れなさい」とか言われるじゃない? 困っちゃうよねー。   「ダック」という言葉を聞いたことのある人はあまりいないと思います。,私が勝手につけちゃったので。 分かりやすいかなーと思って13,14歳の生徒に解剖学を教えた時に使いました。 その子たちはもう大きくなっているのに、未だに真面目な顔でタックだか、ダックだかと言っています。 骨盤のプレースメントおさらい なんでタックだったりダックだったりお話しているのかって? 骨盤のプレースメントを理解するためにはとっても大事だから。 なのでこれ以上進む前に骨盤のプレースメントについて復習しておきましょう。   詳細はこちらの記事で読んでもらうとして、大事な部分の箇条書きだけ付けておくね。   骨盤はテクニックの発祥地です。 骨盤の前の三角形を意識する事で、正確な骨盤の場所が理解出来ます。 骨盤の前の三角形を作る骨の出っ張りは恥骨結合と左右の上前腸骨棘(ASIS)。     もちろん、踊っている時にこの三角形を真っすぐ固定している訳ではないですが、 基本の姿勢である、立位、バレエスタンスが出来ていなければ動けないでしょ? スタート地点がズレているんだもんね。   なので、今日は正しい骨盤のプレースメント、と言ったらスタンスの時だと思って下さい。   どうしてプレースメントが大事なのか?という部分はこの記事で説明しているので今日はお話しません。 大事だと分かったうえで読み進めてください。…

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骨盤:バレエテクニックの発祥地

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   今日は骨盤にスポットライトを当てて行きます。 構造だとか、名称だとかの前に先にお伝えしておきたい事、それは背骨が体の大黒柱だとしたら、骨盤は体の土台だということ。   骨盤は 内臓を守り 上半身と下半身をつなげるカナメになり たくさんの筋肉たちの付着部分でもあり 新しい命が育つ場所でもありますよね   すんげー大事だからしっかりと理解して、大事にしてあげてください。 骨盤を作る骨たちと関節 骨盤、っていう骨が1つあるのではなくって、3つの骨がくっついてできています。 なので骨盤の中にも関節があるってことね。 (関節=二つ以上の骨がぶつかって動きが生まれるところ・詳細はこっちの記事) ただ、骨盤の関節達は大きな動きを作るような構造にはなっていませんけどね。   骨盤が歪むとか、骨盤がズレるとかいう人いるけれど(特にダイエット業界)出産後の特別ケースを除き(ホルモンの関係上、靭帯が緩む+内側からのプレッシャーがかかるため)、ズレるって言っても「ミリ」の世界ですよ。 歪みを直したら痩せた、とか健康になったとかいう人も特別なケースを除き(仙腸関節の痛みがあったり、関節過度柔軟性の症状がある人は別)根拠のない宣伝文句なんじゃないかと思っています。 だってパブリッシュされている研究で見たことないもん。   あ、話がズレた。 (indeed, pun intended!)       骨盤を作っている骨は仙骨(せんこつ・sacrum)と2つの寛骨(かんこつ・hip…

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肋骨についてダンサーが知っておきたい事

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   今日の主役は肋骨! 肋骨なんて踊っているときにあまり考える場所ではないですが 心臓や肺が入っている部分 背骨の大部分に肋骨がくっついている 腹筋や背筋がついている骨 肩関節が乗っかっている部分 などなど、スタジオでこの場所をあまり注意されないとしてもすんげー大事な部分です。   この記事で「肋骨」といった場合は肋骨1本、1本であるRibではなく、胸郭(きょうかく)とも言われる鳥かご全体(Rib Cage)だと思ってくださいね。 一本ずつの説明が必要な時は肋骨の何番目、という形で番号で読んであります。 肋骨の構造を見てみよう 肋骨、って1つの骨で出来てるのではなく、沢山の骨が集まった部分なのね。 まずは、シンプルバージョン。 ダンサーだったらここまで知っていれば上出来よ! 背骨の一部、胸椎(きょうつい)の1-12番の左右に骨が出ていて、 1番から7番までは胸骨っていう胸の前の骨に。 8番から10番までは軟骨で合流し、ひゅいーんと胸骨にくっつきます。 11番と12番はかごの形にはならず、なんだか中途半端なところで終わっています。   そこまでは大丈夫そう? ではここから難しいバージョンにいくね。 ここは興味がある人のみ。ダンサー、指導者でもここまで知っておく必要はないですし、 踊っている時に真肋と浮遊肋の違いを感じたらバランスがとれる、ケガが予防できるとかありません。 胸椎(Thoracic Vartabrae) 1番から12番のところより肋骨が出ている 1-7は真肋(しんろく・True…

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アライメントという壁

*この記事は2013年に書かれたものをより読みやすく、具体的にスタジオで使えるように2020年に大幅改正しました。   アライメントという言葉を聞いたことはありますか? 愛さんがyoutubeビデオとかでも言ってるじゃん!って思うかしら。 (アライメントとプレースメントを説明したYouTubeビデオは記事の一番下に貼っておきました)   アライメント、英語ではalignmentと辞書で調べてみると「配列」と出てきます。 工学や生物学で用いられることが多い単語だそうですね。   ダンス、またはスポーツを行う人にとって、アライメントとは骨格の配列の事をさします。 要は骨が正しく、まっすぐに並ぶ場所ってことね。   正しいアライメントで立ちなさい、と言われたときは、 正しく骨を並べて立ちなさい、ってこと。 正しいアライメントってなに? というと下の図のように体のランドマーク(目で見える骨や体の部分)が一列に並ぶことを言います。 イラストは「バレエの立ち方出来てますか?」より。 スタンス本では前、横、後ろから見たときのチェックリストを作ってありますよね。   もちろん、踊っている時にここに挙げた全ての点が一列になっていることは不可能だよ。 ただし、絵を書くときに白いキャンパスが必要なように、 体を動かしていない、まっすぐに立っている時に正しいアライメントに戻ってくる ことはダンサーにとって非常に大事なこと。   だから、バーレッスンのプレパレーションとかはすべて、こういったところから始まるし、両手バーで踊る事で、肩や骨盤を確認できたり、 バレエを始めたばっかりの人達は、少ないターンアウトで立つこと、難しくない、短いアンシェヌマンでレッスンを作る事で、 立ち方を確認 &アライメントの感覚や理解作っていくことが出来るんですよ。   …そうやってレッスンされてきたでしょ? アライメントを正しくするメリット…

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バレエ教室の選び方

*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。   「DLSで勉強して、スタジオの指導方針に疑問を持ちました」 という声は毎回若いダンサーが参加できるセミナーを行う度に聞きます。 ダンサーから寄せられる質問の中には、そのスタジオ早く出た方がいいよ、と思う事も(思うだけでなく言うけど…!)あります。   ただね、お教室選びはサイエンスではなくアートなんですよ。 相性というものもあるし、最善なスタジオを選ぶ方法という論文があるわけでもない。 スタジオの実績(例えばコンクール入賞歴)がダイレクトによい先生に結びつくわけでもありません。   この記事では これを見たら逃げろ!という赤信号 私が思うスタジオ選びで大切な2点 という話をしていきたいと思います。 教室選びの話の前に、自分を見直してみて スタジオ選びはとても大切です。 いくらダンサー自身が気を付けても、レッスンの内容や発表会の振付は変えられません。 特に幼い子供の習い事であれば、バレエが好きになるかどうかはもちろん、生涯続くケガや痛み、心の傷にならないように、保護者が十分気を付けなければいけないと感じます。   そうは言っても、ある程度の年齢になったら、自分のスタジオ内外の努力や知識だって大事。 ダンサー自身の努力(+未成年だったら家族の協力)と、先生の実力の二人三脚が必要だという事は忘れないでください。 くれぐれも、貴方の努力不足、理解不足、レッスンでの態度や集中力欠如などを先生のせいにしないこと。 →レッスンでの態度 →レッスンを最大限に使う方法 →常に100%とはどういう事か?   これは、中学生以下の子供を持つ保護者がやりがち、だという風に今までの経験からは見えるのだけど、 雑誌に載ってたから 早くからポワントを履かせてくれるし コンクールには常に入賞しているから……

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ストレッチのDO&DON’T DO編

*この記事は2013年9月にアップされた後、より読みやすく最新情報にするために2020年に編集されています。 前回のブログでお話した、ストレッチ信仰、貴方もカルト集団の一員でしたか? 私はずっぽりストレッチ信仰賛同者でしたよ…遠い目。   前回のポストを読んで、 「私のスタジオでは誰も怪我していませんし、伝統的なストレッチで成果が出ています!」 という先生もいるかもしれません。   毎日ストレッチしても、体も硬いし、あちこち痛い。 足は低いし、つま先は伸びない きっと私はバレエに向いていないんだ! といってやめていく子供達はたくさんいるでしょう?   もしかしたら受験だからとか言い訳をしてくるかもしれないけど、 受験が原因だとしても、本当にレッスンが楽しかったら、そのあと戻ってくるもんね?   また、教師に痛みの話が出来る生徒、ダンサーがどれくらいいるかも疑問です。 昔、自分の先生に怪我の相談出来ました? 努力は痛みが伴うもの。だから痛いなんて言ってられない! 折角もらった役だもの、痛くてもリハーサル頑張らなきゃ! って思ったことありません?   「こんなこと、知らなかったです!」という声も聞きますので、そのような人たちに情報をお送りできて嬉し限りです。 まぁ、ストレッチをクラスの中で指導して、お金をもらっておきながら「知らなかった」っつーのはどうかと思いますが、 過ちを認めて、どこかでスタートを切らないといけないですよね。 どこそこの政治家みたいに頭を下げて、写真撮影して、そのあと同じことばっかり繰り返している、となったら別だけどさ。 今日は、日本の将来を憂うのではなく、どうやってストレッチするのが安全なのか。 という話をしてたんだよね。 ダイナミックストレッチはいいかもしれない もしするんだったら…

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ストレッチのDO&DON’T DON’T編

*この記事は2013年9月にアップされた後、より読みやすく最新情報にするために2020年に編集されています。   ストレッチ。 これは私にとって敵のようなものです。 ダンサーに何度説明しても聞いてもらえないので、私はダンサーのストレッチは信仰なんじゃないか!?と考えることも多々あり。 ストレッチ信仰 レッスン前のウォームアップはストレッチ!これで準備万端!! 友達に背中を押してもらって毎日痛みに耐えながらストレッチしています。そのうち体が柔らかくなるはず!! 小さい子供の体は柔らかいので、今のうちにたっぷりカエルのポーズで股関節を柔らかくしておきましょう! トウシューズを履いて踊りたいから、つま先をピアノの下に入れて伸ばしています! 1,2,3,4!弾みをつけてどんどん伸ばします!   恐ろしい!! とは言っても、私も踊っていたときはこれら全てをやっていました・・・ ウォームアップ=床に座ってストレッチ。 寒いときはヒーターの前を確保(だって体は暖かいほうがいいんだよね?)   かえるのポーズを見せびらかし、 部活ではイチッニーサーンッ!とめちゃめちゃ弾みをつけて(しかも後ろから友達が押しながらっ!!)ストレッチをしていましたねー。   あーあ。 でもダンサーは柔らかくないといけないんでしょ? 「ダンサーは体が柔らかい」これは事実だと思いますよ。 だけどね、バレエレッスンを受けてきたから柔らかくなるのか、柔軟性を作らないと踊れないのか? ここは考えるべきだと思うんです。   お習字行く前に、バランスよく字を書ける練習が必要? ピアノ習う前に、バイエルが弾けていなきゃいけない? 水泳習う前に、泳ぎ方を知ってる? 習い事の中で上達していく技術ってありますでしょ?…

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クールダウン:次のレッスンでより良く踊るために

*この記事は2013年に書かれたものをより読みやすく、具体的にスタジオで使えるように2020年に大幅改正しました。   クールダウン。 ウォームアップと比べるとあまり重きを置かれることのないクールダウンですが、体が”冷えてしまう”のではなく”クールダウン”させることの大切さ、そしてダンサーにとってこのステップがどうして大切なのか?を今日はお話していきましょう。 クールダウンって何? まずはそもそもクールダウンって何よ?から始めましょうか。 時々ウォームダウンやアクティブリカバリーともいわれるこのアクティビティ笑 についてスポーツ医学のバイブル、Clinical Sports Medicineから引用してみましょう。   Most serious athletes perform a warm-down or active recovery following the conclusion of intense exercise. The length of warm-down generally…

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忙しいダンサーの為のウォームアップ

ウォームアップという言葉を聞いたことがありますか? もちろん、ほとんどの人がこの言葉を知っていると思います。 「体をあたためることでしょう?」 「運動する前のストレッチでしょう?」 「スポーツ選手には必要かもしれないけれど、私たちダンサーは毎日ストレッチしているし、しっかりとバーレッスンをしているから大丈夫!」 確かにバーレッスンはゆっくりプリエからはじまりますから、 それ自体がウォームアップのようなものだと考える人もたくさんいます。 でもね、ウォームアップとクールダウン、この2つはケガ予防だけでなく、ダンスのテクニック向上や次の日の踊りの質まで変えてくれる重要なステップ。 そんなに長い時間をかけて行わなくても大丈夫なので、ぜひクラスの習慣にしてみてくださいね。 ウォームアップのゴールは心拍数を上げ、血流を良くすること。 その為筋肉が温まり、エネルギーを効率よく使うことが出来ます。 温まればいいのでしょ!? といっていっぱい上着やレッグウォーマーをしたり、ヒーターの前に座っていればウォームアップになるわけではありません。 筋肉は600個以上ありますから、そのすべてを温めるためにヒーターの前にいるのは不可能ですし、上着を重ねるだけで深部にある筋肉まで暖まることも不可能です。 よって、血流を使ってすべてを温める必要があります。 皆さんの知っている通り、血管は体の細部まで行き通っています。 つまり、あたたかい血を送ることで筋肉を中から温めることが出来るのです。   このプロセスを行うことで、ケガを予防することはもちろん、クラス中に無駄に疲れることも無くなってきます。 エクストラでエクササイズを行っているのに、疲れづらくなる!? そうなんです。 筋肉が温まると効率よく動くことが出来ますし、 筋膜や腱、靭帯などはコラーゲンでできていますから、 それらが温まると柔らかくなり、無駄な力を加えなくても動くことが出来るのです。   心臓も筋肉だという事をお忘れなく! 無駄に負担をかけずに心臓を使うことは大事だと、言わなくても伝わりますよね。 ではどうすれば正しくウォームアップが出来るのでしょうか? 長さ的にみると、ただ10分程度行うだけで大丈夫です。 心拍数が上がる必要があるので早歩きや軽いジョギング、または動きの速いフロアエクササイズを行ってください。…

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