背骨を引き上げる練習は無駄なのか?

  芸術的な引き上げ!?という記事はとても人気でした。 たぶん、今まで解剖学的に背骨を伸ばす、ということが分かっている人でも、 じゃぁ踊りにつなげるにはどうしたらいいんだろうか?って考えていたんだと思います。   背骨を伸ばすんです、っていう説明を聞いたとき、あー!そっかー!!って思っても、 実際に生徒に引き上げて!というときのニュアンスに合わなかったり、 自分で言われたときにうーん、背骨、伸びてたと思ったんだけど... なんて思ったり。   で。 ここで次に出てくる質問は 芸術的な引き上げっていうのはよく分かった! だったら、   「背骨を(上方「だけ」に)引き上げる練習は無駄なのか?」 という素朴な疑問。   今日はそれにタックルします! 続きものなので、芸術的な引き上げ!?を読んでいない人はそちらから始めてね。   背骨を引き上げるメリットを再確認 インサイドバレエテクニック、という何度もお話している素晴らしい参考書から一部分を引用しますね。   「脊柱を伸ばすことには、いくつかの大切な利点があります。脊柱は、湾曲が少ないほど丈夫で、 湾曲が大きい方が傷つきやすくなります」 →安全に踊るためには必要なテクニックであることが分かりますね。   これは、ジャンプの着地で腰を痛めるダンサーを横から見ると腰の部分にすごい湾曲ができていることがあるのと一緒。 ジャンプの時は腹筋の支えがないだけではなく、軸足のプリエで衝撃吸収ができていないのも原因となりますが、…

Continue Reading背骨を引き上げる練習は無駄なのか?

芸術的な引き上げ!?

今までDLSでは様々な角度からバレエレッスンで言われる注意ナンバー1の引き上げを見てきました。   引き上げて、引き上げて、引き上げて!という記事では 3つの引き上げをご紹介しました。 筋肉が働いていない 筋肉を短く縮めて使っている 背骨の上に「座って」しまっている   そして、背骨のカーブを勉強していたところだったので、 3つ目の背骨の上に座ってしまっている、 または乗っかっている、なんて言われ方をする体の使い方をお話ししました。   次に引き上げと脊柱起立筋、という記事では、 その背骨カーブを引き上げるもの、つまり動きを生むから筋肉、を見ていきました。 だって骨だけでは動けないでしょう?   筋肉の名前はそのまま、脊柱起立筋。 脊柱=背骨を起立=まっすぐにする、筋肉の説明をしましたね。 そしてこの筋肉は実は背骨を下に引っ張ることで、 背骨を引きのばしている筋肉でした。   ダンサーの腹筋事情シリーズで、ドローインと引き上げ、というものも考えてみました。 腹筋を使って内臓を中に収め、それをさらに伸ばしたら引き上げになるよ、 という、背骨や解剖学ではなく、エクササイズの視点から引き上げの練習をしたんです。   バレエではおなかが出っ張ってたら下っ腹を引き上げなさい、なんて注意をされるからね。 ここらへんで引き上げ=骨、ではない事に気づきます。   ここらへんで便利になってくるのが、バレエ注意の考え方の記事。 ここではフィーリングコレクション、とアクチュアルコレクション、といった2種類のバレエ注意を説明しました。…

Continue Reading芸術的な引き上げ!?

エクササイズを「知ってる」と「やってる」

突然ですがみなさん、いくつエクササイズを知っていますか? これじゃあ、質問の幅が広すぎですね。 ではこれでどうでしょう? 「自分の苦手な部分を克服するためのエクササイズはいくつ知っていますか?」 ちなみにDLSではエクササイズを色々とご紹介してきました。 だから苦手な部分が肩関節の固さや、首のラインだったら 首のストレッチも、肩関節の可動域を上げるエクササイズも2つ紹介してあります。   腹筋エクササイズ版は6つの腹筋たち。 バランスが苦手だったら、バランスパットの使い方。   1番ポジションの立ち方も紹介してあれば、 片足フォンジュのレッスン法も紹介しています。 ストレッチの方法も説明していれば、 体の左右のバランスを整えるエクササイズも。   ここに上げたのは一例ですけどね。 まだまだあるんですよ。 無料で手に入る情報だけでも。 その他にセミナーや講習会などもありますよね。 (ここで上げた記事のリンクは一番下につけておきました。参考にしてください)   さて。 何が言いたいか?というと エクササイズを「知っている」という事と エクササイズを「やっている」って言う事は全く違う次元の話だって事です。   エクササイズを知っていてもやっていなければ筋肉は強くなりません。 筋肉が強くならないと、レッスンでは感じられません。 レッスンで感じられなかったら、舞台では使えません。…

Continue Readingエクササイズを「知ってる」と「やってる」

分からない事は、分からないから、わからない!

  題名を見て、なんだそれ?って思いました? 賢く、スピーディーに上達したかったら、このコンセプトを頭に入れておく必要があります。 大丈夫、一度分かるようになると、分かるから!   題名の説明はこちら。 自分の分からない事は、分からない事も分からないから、 結果どうやって勉強したらいいのか分からないので、分からないままである。   これで説明したの!?と思う方もいらっしゃると思うので、例を見ながら詳しく研究していきましょう。 例1 フェッテができないと悩んでいるダンサー 練習しているけれど、グランフェッテができない。だからいつも後ろに回されてしまう。 と言ってきたダンサーがいました。 (彼女はクラシックバレエダンサーではなく、ジャズダンサーでした)   そこで、何ができないの?何がいけないの?と聞いてみたところ、 「分からない」   何ができないのか分からないから、どうやって練習したらいいのか 「分からない」   必要な練習が「分からず」がむしゃらに繰り返すだけなので結果が変わらず。 本人は努力しているつもりだし、これ以上どうしていいのか「分からない」。 例2 いくつもセミナーを受けても指導が変わらない先生 子供の時にバレエレッスンはできてたと思ってたので、スタジオを開きました。 ひょっとした事からDLSを知って、教えるって、体って、こんなに複雑で、自分は何にも分かっていなかった…と凹んだ。   なので毎回DLSセミナーがある度に申し込んで、無料のビデオも全部見て勉強しています! ビデオを見ている最中や、セミナー会場では「うんうん、分かるようになってきたぞ!」と感じるんだけど、 生徒に質問されたら…やっぱり答えられないし、SNSで見る有名ダンサーがやっているストレッチを見ると「あーやっぱりこうやって指導しないといけないのか」と心が揺れる。…

Continue Reading分からない事は、分からないから、わからない!

リハーサル生活を覗き見してみました オーディションシリーズ番外編

ただいま、私の働いているバレエ学校では、 年末公演のための準備があわただしく行われています。 いつもは我らが校長先生がディレクターとして作品を監修しているのですが、 今回は特別にMaina Gielgudという方が振り付けをしてくれています。 彼女は日本では有名ではないのですが、元オーストラリアンバレエ団のディレクターを始め、 様々なプロフェッショナルバレエ団で作品を作っている凄腕です。 日本のバレエ団ではどうだか分かりませんが、 海外では、作品を作る人、つまり振付家がキャスティングをすることも多く、 そこで気にいられればいい役をもらえるだけでなく、 キャリアアップのステップになることも。 →wikipedia(英語)に彼女のページがありますよ笑 それだけ有名人   彼女は今までバレエ学校レベルのダンサーと仕事をしたことがなく、 彼女のリハーサルの様子は、まさにプロのダンサーの世界を覗き見している気分になります。 今日の記事では、そんな経験を皆さんにもしてもらえるように、 時系列にリハーサルの様子を追ってみましょう。   リハーサル初期 去年の年末試験で、ゲスト試験官として彼女が来ていました。 その時から、生徒たちをピックアップしていたようです。 いきなり!を手に入れるために。 という記事で書いたように、チャンスはどこに落ちているのか分からないのです。 どんな子にどんな役を渡すか? 全体的なレベルは? なんてことをチェックしていたようですが、 幼いダンサーの卵にお気に入りの女の子を発見! 彼女が使いたい、ということで、急遽新しい役を作ってしまったほどです。 年齢的には彼女は足りないし、身長だって、テクニックだって お姉さんダンサーにはついていけないけれど、何か光るものがあったのでしょう。…

Continue Readingリハーサル生活を覗き見してみました オーディションシリーズ番外編

オーディション 教師、両親編

  オーディションシリーズはこの前の感情編で終わりにしようと思っていたのですが、 先生と親御さんの目線からも見なければいけないトピックだと思ったので もう一つ書きます。 (んでもって番外編も書いちゃいましたので、それは後程・・・)   オーディションの準備について書いた記事 オーディションに失敗したとき 理論編 オーディションで失敗したとき 感情編   バレエ学校入学のためのオーディションであろうが、 カンパニーのためのオーディションであろうが。   これは、オーディションされる側と、する側の2つだけしか存在しません。 教師、親、というのは、 オーディションの前後は関与できても オーディション最中はどうしようも出来ません。   オーディション前:無駄な期待をかけない 誰々ちゃんは上手くいったから。 去年は10人受かったから コンクールで下位だった子も入っているから なんて、勇気や自信を出してもらいたくてかける言葉は役に立ちません。   ダンサーにオーディションは付いて回る、というのは シリーズで何度も書きましたが、 審査される、という事に慣れてもらう事、 オーディションという「経験」を勉強してもらうのが目的です。   よって、オーディションへのメンタル準備や、…

Continue Readingオーディション 教師、両親編

オーディションでうまくいかなかったとき 感情編

  オーディションシリーズになっちゃいましたね。 オーディションで気を付けたいことを書いた記事はこちら オーディションでうまくいかなかったときの理論を書いたのはこちら。   でもね、オーディションで落ちた理由が運だった、 というのを 「あーそっかー。じゃ次にいこう!」 という心を持てる人って多くないと思うの。   オーディション失敗 = 私はダンサーになれないんだー とか、 オーディション失敗 = 完全自己否定 とか、 時々見られるのが オーディション失敗 = 体型のせいにして、摂食障害 とかね。   バレエ学校のオーディションをした人は知っている通り、 オーディションの時に少しくらい太っていても 入学許可は出ます。 そのあとに、もう少し軽くなった方が、踊りやすくなるよ、 とかはいわれますが。   逆にフォトショなんかで少し細く見せた写真で失敗したケースは たくさんありますよー笑   写真と本人が違う、とか、 オーディションの時の体型ではないっていって 落とされたり。…

Continue Readingオーディションでうまくいかなかったとき 感情編

オーディションでうまくいかなかったとき 理論編

オーディション、ということは、全員が全員、スポットをもらえるわけではないですね。   それは理屈では分かっているけれど、 いざ、自分が落とされた立場になると難しいもの。   毎年、バレエ学校ではかなりの人数を落とします。 その様子を見ていて気が付いたことは、上手な子が必ずしも受かるわけではないということ。   私も2016年冬期バレエ講習会のオーディションで、何人かNo,といわせてもらいました。 ごめんなさい。   その中には、将来の才能がある若いダンサーもいたし、 ある程度踊りが完成しているであろう、という人もいました。 ということで、オーディションで落とされる理由を考えてみました。 規格外 一番最初にくるのが、これ。 規格外。   どういうことか?というと、バレエ団は特に決まった見た目、というのがあります。 こうやって書くと、体重の事かしら?って思われるけれど、体重は変えられるのです。 それよりも身長。   コールドバレエでは一人だけずば抜けて大きい子や、小さい子は使えません。 大きい子の例として、私と同期だった女の子。 175cm以上の長身に、すごく大きな足のサイズで、ポワントで立つと180cmを超えてしまっていました。   すごく上手でね、ローザンヌでも決戦に行ったりしたけれど、役をもらうのが難しかったみたい。 彼女はそのあと、コンテに強いカンパニーに変更し、 男の子が踊る役を初めて女の子が受け持つ、などという活躍をしています。  …

Continue Readingオーディションでうまくいかなかったとき 理論編

ストレッチ猿まねの危険性ーストレッチシリーズ番外編

そのストレッチ、本当に役に立っているの? という記事は素晴らしく人気で、ブログ内では1000を超えるいいね獲得。 FB内でのシェアは59回らしいです。   恐ろしき前後開脚・・・・   そのあと、説明が欲しいよーという人達のために 前後開脚を分析して ハムストリング編 ヒップフレクサー編 お尻編(まとめ) という記事を書きました。   ちょうどそのころ、オーストラリアのニュースで 「Dancers injured copying overstretching exercises from social media」 という記事がありました。 ソース元はこちらをクリック(英語ですが)   題名通り ダンサーたちがソーシャルメディア内で見たストレッチを真似して ケガしている! という記事です。  …

Continue Readingストレッチ猿まねの危険性ーストレッチシリーズ番外編

ダンサーのオーディションについて

2016年冬期バレエ講習会は、写真と書類審査がありました。   写真オーディション、というか、 写真をオーディション書類とともに送る、というのは当たり前なのである程度みんな知っているかな?って思っていたのですが このようなところって日本では勉強しないんだった!って、 みんなから写真をもらった後に気づきました。   プロのダンサーを育てる学校なので、普通のアカデミックな勉強はないのですが、うちのバレエ学校では、勉強の一部に オーディション書類の書き方と、カバーレターの書き方があります。   今や、バレエ学校のスタッフとして写真審査の様子を毎年見ているし、留学を目指す人向けに一応ルールみたいなのを書こうと思います。 これが、絶対!ではないけれど、参考になったら嬉しいです。   顔写真 サマースクールだろうが、オーディションに行くための書類だろうが、 顔写真というのは必要です。   日本で履歴書の顔写真、というとパスポート写真のようなものを考えますが、 バレエダンサーの顔写真は「ダンサーのための」顔写真です。 つまり、カンパニーレベルのオーディションならば、プログラムの顔写真のようなものを指します。   バレエ団のウエブサイトにいくと、カンパニーメンバー紹介のページがありますので、それを見ながら研究するといいでしょう。 生徒の場合は、お団子頭が無難ですが。   笑顔が固い、緊張が見える、というのはおおきなNG。 写真ごときで緊張していたら、舞台で踊れるのかしら?!って思われてしまいますよ。   この人と一緒に仕事がしたいな、この子を教えたいな、と思わせるような笑顔、 自信がある姿が必要です。 ライトにも気を付けて。…

Continue Readingダンサーのオーディションについて