時々ブログで出てくる「オーディションツアー」「ヨーロッパツアー」という言葉。
まー簡単にいうと、日本で行われるオーディションを受けるのではなく、
現地で行われるオーディションやカンパニークラスを受ける、というものですね。
今日は、バレエ団への現地オーディション(バレエ学校を目指す学生用じゃない方ね)にフォーカスをおいて、実際に体験してきた子の話と交えて様子をお伝えしていきます。
ちなみに、DLSではバレエオーディションについて様々な記事やインタビューがあります。
今日の記事はもっと具体的な例なので、大きくみた「バレエオーディション」はこれらの記事をどうぞ。
オーディションで気を付けたいこと
オーディションの心構え
現地オーディション 基本知識
- 時期は2-3月が多く、9月から正式に契約スタート
- プロジェクト毎にダンサーが必要な場合、シーズン後半でケガ人が増えている時は契約スタートが早いことも
- オーディションに行く前にメール(+自分の履歴書、ビデオ)で問い合わせが普通
- オーディション内容はバレエレッスンです!(私の意見じゃないからね、ホントだから)
覚えておきたい事
- 床での柔軟なんて、誰も見ていません
- 回転系、グランアレグロまでいかずに落とされる子もたくさんいます
- 日本だけではありませんが、有名でないコンクール歴は無視されます
- 当日のレッスンの様子で判断されます
- 現地入りする前から、メールで英語でのやりとりが必要です
オーディション体験者のスケジュール
実際に2018年2月と3月にオーディションに行った子に話を聞きました。
彼女は2017年にもカナダにオーディションに行っているので、今回が2回目のツアーです。
前回の反省&経験も含め、具体的に時間軸を追ってみました。
(今は日本のバレエ団にいるため、名前や詳細は伏せてあります)
2017年3月 本格的にオーディション資金のためのアルバイトを始める
- *日々のレッスン代、交通費などで思ったように貯まらなかった
- *30万くらいかなーと思っていたが実際にはもっとかかった!
- *レッスンはアーキタンツがお勧め
8月 オーディション用の写真やビデオ準備
- *スタジオを借りて、家族に写真を撮ってもらった
- *バレエ団によってはポーズ指定あり
- *CVの顔写真を変えたらカンパニーからの返事が増えた(第一印象は超大事!)
11月 バレエ団にCVやビデオを送り始める
- *締め切りから1週間以内に返事がくることが多かった
- *それ以上待っても返信なしの場合、ダメだった、ということ
- *バレエ学校でCVやカバーレターの書き方を勉強しておいて良かった
2018年2月 カナダ編
- 2月15日東京発、15日トロント着
- 16,17日オープンクラス受講
- 18日 オーディション
- 19日 帰国の飛行機へ
2018年3月 ヨーロッパ編
- 3月1日東京発、1日ストックホルム着
- 2日 観光
- 3日 オーディション
- 4日 マドリッドへ移動
- 5日 オーディション
- 6日 帰国の飛行機へ
実際のオーディション内容
彼女が体験したオーディション内容や人数を教えてもらいました。
もちろん、その年によってシステムや人数は大幅に左右されますので、あくまでも体験記、として読んでね。
日本バレエ団オーディション その1
- 履歴書郵送、8-90人が一気にオーディション
- オーディション費を支払う
- クラシックバレエ、センターはポワント
- バーが終わったら1/3くらいに絞られていた
日本バレエ団オーディション その2
- 履歴書郵送、5-60人が2グループに分かれてオーディション
- オーディション費を支払う
- クラシックバレエ、センターはポワント
- バーが終わったら1/3くらいに絞られていた
ヨーロッパバレエ団 その1
- レッスンビデオ、顔写真、アラベスクの写真、CVを郵送
- オーディション当日は男女合わせて4-50人
- オーディション費はかからない
- クラシック、センターポワント (ここで男女10人ずつに絞られる)
- パドドゥクラス、コンテレパートリー、ネオクラシックレパートリーもあった
- 朝9時半から午後5時までの体力集中力勝負
ヨーロッパバレエ団 その2
- レッスンビデオ、コンテビデオ、ポーズ写真、顔写真、CVを郵送
- 参加者は100人を超えていた
- オーディション費はかからない
- クラシック、センターポワント(ここで男女15人ずつに絞られる)
- クラシックソロ審査(7人ほどに絞られる)
- ポワントでのネオクラシック審査
- 朝11時頃から午後5時まで
日本と海外の大きな差
日本は完璧に番号順で、何番から何番まで何人ずつ、という指定が厳しい
海外は番号はつけるものの、名札代わりで、どこで何回踊ろうが自由だった
*ということは、前に出て何度も踊った方が見てもらえる可能性が増えるという事で本当に体力勝負。
前回のオーディションでの反省点&今回学んだ事
体調管理!
前回は1週間ずっと眠れず、風邪もひいたり、昼間ボーっとしてしまったので、今回は体調管理を徹底しました。
審査員に気づかれなかったら、オーディションを受けていないのと変わらないので、どのグループで度の位置で踊るか、なども考えながら受けました。
やったことのないアンシェヌマンにも対応
意識的に色々な講師のクラスを受けるように準備をしました。
アーキタンツは2週間おきくらいでゲスト講師が変わるので良かったです。コンテ、バーアスティエのクラスなどクラシックバレエ以外も受講しました。
オープンクラスでは趣味でやっている人達もいて、先生にプッシュされないのでモチベーションは自分が保たなければいけなかったです。
バレエ以外の下調べ
これは精神面の準備といえるかはわかりませんが、現地での移動手段や食事はどこで調達するか、
現金はどれくらいあればいいかなど踊る以外のことで慌てなくて済むように下調べはわりとしっかりしていきました。
現地では想像以上に疲れるだろうと思っていたので、バレエに集中できる準備という意味では精神的な準備かなと思います。
周りの圧に負ける
終わった後考えると、もっと前でアピールすればよかったな、と思う場所が結構ありました。
周りの圧に負けずに前に出る精神力と、意識的に前に出ることが必要だったと感じました。
オーディションを考えている人へのアドバイス
バレエ留学経験がなかったら不可能だったかも
そもそもCVやカバーレターを送らなければいけない事や、オーディションDVDの作り方など知らなかったです(学校で勉強するし、友達がやっている体験談を聞ける)
留学前は周りに頼ってばかりで、一人で海外に行くなんて考えられませんでした。
でも留学して、慣れない土地で自分の事は自分でやり、選択していかなければいけない環境におかれて、少しずつ自立できたかなと思います。
返事は待つな!
ここのカンパニーがOKだったらここは受けられないな、などと考える前にどんどんCVを送ってしまう方がいいです。
親のサポートは絶対に必要
家族にバレエダンサーになりたいと伝えたのは高1の終わりくらいだったと思います。
その当時は猛反対はされませんでしたが、良くも悪くも”こいつは本気で言ってるのか”という感じで様子見という雰囲気でした。
その後怪我をして踊れない時期があったりしましたが、私の意思が変わらないのとレッスン態度の変化を見て、踊ることは今しかできないから本気でやりたいなら応援すると言ってくれました。
でも留学するときは踊ることだけ学んでくるようじゃそのあとの応援はできないよと釘を刺されました。
2年留学して私の変化がどう映ったのかはわかりませんが、海外オーディションには賛成してくれ、積極的に協力してくれました。
まとめ:バレエオーディションとは
彼女に話を聞いたとき、「アドバイスある?」と言ったら「私は成功者じゃないので、アドバイス出来る立場ではないです」と言われました。
でも上に書いたすべてのオーデイションで最終審査まで通過しているから、こうやって人数や内容を教えてくれてるンですよ。
100人からラストセブンまで残っている事を失敗とはいえないでしょ。
そして今、彼女はバレエ団で活躍していますし。
まだ海外で踊りたいという夢はあります、と語ってくれた彼女。
確かに、今現在は海外の大きなカンパニー所属ではないかもしれないけれど、
次のオーデイションではCVに今の活躍を書ける、つまり既にプロであるという事が明記できます。
DLS読者の皆のためになったら、という事で体験者しか分からない現地の情報を教えてくれました。
今プロを目指している子達への情報になったら私も彼女も嬉しいです。
→模擬バレエ留学を体験し、オーディション準備をする冬期バレエ講習会
→オーディションで見られる基礎バレエレッスンや体力を育てるDLSキッズ
Happy Dancing!