白状しましょう。
バレエを始めたのが6歳。
それから19歳までの13年間、私はバレエ用語なんてほとんど知りませんでした!!
17歳でカナダのウィニペグバレエスクールのサマースクールに参加しているときも
必要だなんて感じたことがなかったですし、
18でACBに来たときもなんだかなーって感じでした。
小さな頃から踊ってきたじゃない?
だからステップの名前なんかよりも、動きで覚えていたんだよね。
19歳になるかならないか、あたりのバレエ学校1年目。
ケガをしていた私は暇つぶしに解剖学の勉強を始めました。
(その時の話はここでどうぞ)
当時解剖学なんてしっかりしたものではなかったけれど、
そのクラスの中にステップの名前や動きの理解、というのもありました。
そこで初めてステップの意味を「暗記しなきゃ!」←テストのためにね。
って思ったのがバレエ用語に出会った最初。
その後紆余曲折の果て
(p.s.紆余曲折。漢字で書くとこうなんだーなんてヤケに感心してしまった)
気づいたこと。
バレエ用語は大切だ笑
あとで気づいたことですが、ACBプログラムをやってきている子供達は、
ステップの名前を小さな頃から勉強しています。
だから、すんなり頭に入っている。
よって、大きくなって難しいテクニックや、振付が始まるときに
バレエ用語勉強のために時間を割かなくていいわけ。
基本的な体の使い方と一緒だね。
基本が身についているから、テクニックに時間を使える。
バレエ用語はただの翻訳みたいなものだ、って
踊っていたときずっと思っていました。
プリエのフランス語は曲げる、折りたたむ。
でもこの言葉に色々な秘密が隠されていることに
解剖学を勉強した後気づきました。
解剖学をレッスンにつなげること。
今でこそこれは私のスペシャリティーですって言い切れますが。
解剖学を勉強しているトレーナー兼治療家としての考えを
自分が踊ってきた経験と比べ合わせて
バレエレッスンに応用すること、
説明すること、
テクニック向上につなげること。
これは、どこかの大学で勉強できるものではなく、
バレエ団での研修やら、バレエ学校で長年校長先生にしごかれてきた結果。
その時にとっても役に立ったのがバレエ用語だったのです。
(全ての言葉を知っていて当たり前!という環境にいたせいもあるだろうなー
未だに基本的なヤツしか分からない私・・・)
プリエ。
膝の屈伸。
このことはプリエのときに書いたね。
運動ではこんな感じだけれど、ダンサーが必要としているプリエは
glue、つまり糊。
ステップとステップをつなげるもの。
なわけで、プリエの前と後のステップを考えると
どんな動きが必要なのか分かってくる。
そのうえでの
「折りたたむ」をどうやって行うか?
次のステップに移動するときに一度ニュートラルに持ってくる骨盤の大切さ、
折りたたむときに必要な股関節の方向。
など解剖学とバレエが綺麗に交じり合う部分を発見してから、
私の指導方法はかなり変わったと思います。
題名の「アダージォ」
これはお正月に行われた冬期バレエ講習会に話がさかのぼります。
バーレッスンで振付けたアダージォ。
皆が慣れているアダージォと比べて動きも早く、カウントもしっかりとしました。
そして参加者のダンサーに聞いたこと。
「この振付をアダージォに踊るためにはどうしたらいいでしょうか?」
アダージォをアダージォに踊る!?
日本バレエ協会によるバレエ用語辞典によると。
Adagio(イタリア語), Adage(フランス語)
音楽用語としては「ゆるやかな速度で」
バレエでは
エクササイズの一種で、プリエ、ルルベ、デベロッペ、ピルエットなど跳躍を含まないパで主に構成され、
ダンサーの足を空中に保つ力、バランスを保つ力、優雅な重心の移動などを養うために行われる。
とあります。
つまりこのエクササイズの見せ場は
安定性、脚のエクステンション、ぶれない重心
ってことになるよね?
よって。
クドゥピエで時間を無駄に使ったり、
ゆっくりなカウントを使うだけの安定性がなかったり、
ノロノロ軸足の体重移動をしていたら意味がないの。
(このところは見学に来てくださった森脇マジックと卵!を繰り出す
トレーナーの森脇さんのブログでピックアップしてくれました。
すごい観察眼!よく見てるなーと思ったブログはこちら。
あ、でもバレエ団とは現在契約していません。バレエ学校です笑)
だから、バレエ講習会ではあえて少し早めの音楽でグラグラを減らし
脚をあげるところにカウントを調節し、
骨盤と背骨の使い方を説明して重心の移動を練習した、って訳。
アダージォはこうやって習ってきたから。
とか
アダージォの脚は高くあるべき!
ではなくって、
その踊り、エクササイズで何を求められているのか?を理解し、
それに合わせてダンサーの弱点を練習する・・・
そんなレッスンをしてあげるために、体の構造を知っておく。
それが教師の役目なんだろうなーと、
長年我等が校長先生の作るクラスを見ていて思うのです。
(レッスン場の端っこに座って彼女のクラスを毎週見学できるのはスタッフならでは!)
この知識、特に若いダンス教師の皆さんに知って欲しくて書きました。
- 踊れちゃうから、
- 感覚的に出来てしまうから、
- 動きの見た目が綺麗だから・・・
なんてクラスではなく、しっかりとクラス構成を組み立てる。
そんな練習は自分の踊りも高めてくれますから!
次回は「アダージォをアダージォに踊る レッスンプラン編」をみていきましょう!
p.s.
がたがたの軸足で、骨盤を逃がしながら脚だけ高く上げよう!
というのはアダージォではありません、
って事、言葉の意味からも分かりましたでしょ?
Happy Dancing!