解剖学と表現力、という記事で、解剖学を知っていると表現力にもつながるってことをお話ししました。
今日の記事は、それの応用というか教師用。
指導者として大事なことの一つに、より多くの生徒が理解出来る注意をする、というものがあります。
ほら、レッスン中に注意を言うって、(もしくは言われるって)かなり短い時間ですよね。
- アンシェヌマンを覚えている途中に言われれる
- みんなでマーキングしている時に言われる
- 踊っている途中に音楽、振り付けを考えている途中で言われる
- センターのグループとグループの間(特にアレグロ系)で言われる
- ・・・
どれを取っても、先生に言われた注意に対して質問する時間はありません。
なので、生徒は先生の求めているもの(=正しいバレエ)をしっかりと理解し、
言われたことに対してすぐに反応するための理解力が必要ですね。
先生は、というと
- 生徒たちに、短い言葉で注意をしっかりと伝えられるようにする
- 様々な癖のある生徒たちが他の子の注意を聞いても変な形になりづらいものを選ぶ
という努力は必要です。
特に習い事レベルの子達であれば、毎日顔を合わせ、注意を確認することができませんし、
理解力の差がバラバラでしょうから、十分気をつけたいですね。
今日はよくあるレッスン中の注意を様々な方法で言いかえるヒントをあげてみました。
このような練習は教師のためのバレエ解剖学講座のマスタークラスでもやっていますが、
マスタークラスを受講するためには教師講座を受講する必要があるため、狙っている人は次回2018年1月をお待ちくださいませ。
参考になりますように。
胸を開いて!
よくあるでしょー?猫背の子達もいますしね。
でも、これを言ったら肋骨が開いてしまう子達もたくさん!
鎖骨を左右に引っ張る(肩関節は鎖骨、上腕骨、肩甲骨だから)
胸骨を高く持ち上げる(肋骨の前を持ちあげる事で肩の場所を変える)
肩の出っ張りを遠くへ(肩関節のつくり)
肩甲骨を広げて(肩関節のつくり)
背中を広く保って(胸が丸い時は反対側の背中もまるくなるため)
脇を持ち上げてみよう(広背筋への意識)
自信を持って
笑顔で!
など感情に対する言葉をかけることで猫背が治る子もいます。
2017年教師講座モジュール3のマスタークラスでこれは実際にやってみました。
ピルエットの感覚さえ、感情で変わります。
足のアーチをあげて!
土踏まずをあげて!系に言われるやつですね。
これを間違えたら小指重心になるし、怪我もしやすくなります。
足のアーチって3つあるしさ。
この部分は今年も秒殺だったダンサーの足セミナーにてお話ししますので、それがゲットできたラッキーな人は詳しくお話ししましょうね。
内くるぶしを落とさない(下半身のアライメント)
親指の付け根でしっかりと地面を押して(重心の位置を直す)
足の指を長く伸ばして(足の固有筋をスイッチオン)
両方の坐骨を寄せてきて(外旋六筋を使い、安定を作る=足首も安定しアーチが上がる)
膝を引き上げて(足首の骨=膝の下の骨だから)
骨盤の前を引き上げて(脛、大腿骨は繋がっているから)
というような注意も非常に有効です。
ターンアウトを減らすというのもアーチを上げるためには非常に有効です。
お腹を入れて!
これもよくありますよねー。
ウエスト全体を引き上げて(腹横筋のイメージ)
肋骨と骨盤の距離(前だけでなくって360度)を長く伸ばして(これも腹横筋)
地面をしっかりとおして(脊柱起立筋は下向きに伸びるため、それを使って引き上げ、お腹をいれる)
背骨のカーブを感じて(脊柱起立筋、多裂筋を使い体幹を安定=腹筋が使える)
下向き腹筋をウォームアップとして使ってあげたら、その時の感覚だよ、って説明することができますので、初心者クラスだったら是非有効活用してあげてね。
膝を伸ばして!
これも失敗率の高い注意です。
膝を押し込む子達がいるから。
膝を伸ばすってことについて詳しく書いた記事がないので、そのうち書きます(遠い目)
膝のお皿を引き上げて(本当に、物理的に持ちあげます!)
骨盤(お尻)を持ち上げて(膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋の始点を引きのばす)
地面と骨盤との距離を長くして(物理的にひざを曲げる距離を作らない)
大腿四頭筋の下半分を感じて(太ももの上の方をぎゅっとしてしまわないように)
かかとを遠くへ(物理的にひざを曲げる距離を作らない)
どうですか?
解剖学がわかると1つの問題(これは体の問題ですから、解剖学で解決できます)を様々な見方で指導することができます。
でもね、それを伝えるのも表現力なんです。
ほとんどのバレエの先生は口頭で注意を伝えるだけでなく、自分も踊りながら見せますね。
(私はしませんが。。。)
なので、自分の体でできるようになっておくというのも大事なトレーニングですよ。
Happy Dancing!