2017年5月に行われたDLSキッズではバーレッスンの時に目線についての注意をしました。
その時初めて目線の注意を「バーレッスンでされた!」という人、
目線そのものの注意が初めてだったひと(これはかわいそうだと思った。おーい先生方よ!エポールマンだぞ?)
そして目線に気を付けてみたら、出来ない自分を見付けちゃった
という声を聞きました。
という事で、今日は踊っている時の目線についてお話していきましょう。
目線の意味するもの
目線、というのはもともと業界用語だったらしいですね。
確かに、一般生活で使うのはもっぱら「視線」。ただ舞台演技では目線の方向などを考える必要があります。
辞書でチェックすると目線には下の2つの意味があることが分かります。
目が見ている方向
ものの据え方(考え方)を意味する
そう、目線とは目が向いている方向だけでなくって、ダンサーその人を表すものなんですよ。
自信。
簡単に言うとここに落ち着きますね。
絶対的な人間心理ですが、人は自信がないと目を逸らします。
これね、動物の中にもそういうところがある種類があるみたい。
目は心の鏡って言葉通り、その人(もしくは踊っている役)の人と成り、って目で見えるんですね。
生徒の目線を追うと…
はっきりとした目線は舞台だけで考えられやすいけれど、レッスン中だって非常に大事です。
そして目線は様々なことを私たち教師に教えてくれます。
例えば。
振り付けを間違えた時、生徒は絶対に一度目線をおとします。
振り付けがあやふやなときは、目線が泳ぎます。
エクササイズに集中していない時、生徒は色々なものをちらちら見るため、目線が定まりません。
鏡の中の自分に酔っている子は、目線で分かります。
集中力をチェックする部分でもあり、キッズセミナ―では「集中力を練習する」ために「目線をキープして」とお話ししました。
解剖学的な目線
心理的な部分と目線、っていうのは最近流行りのセルフィー(って英語で自撮りの事をいいます!)でも分かります。
カメラを真っすぐ見るのと、目をそらすのでは写真の雰囲気がガラッと変わりますでしょ?
でも、解剖学的な部分でも目線は非常に重要になってきます。
頭蓋骨、体重の10%ほどの重さになる骨の塊に影響するからです。
首の角度によって、首にかかるプレッシャーが変わる、というのは既に研究で知られています。
一番いい姿勢、とかバレエスタンス、まっすぐな背中とか色々な言われ方をする位置に頭蓋骨を置くと、頸椎(首の骨)にかかる負担が4-6キロだと言われています。
首が15度前に落ちるだけでその負担は12キロに、
そしてスマホとかを見ている角度30度前後だと、18キロ
まーその後はどんどんひどくなっていくので自分でチェックしてください。
なんでその話を?
そうそう、目線が落ちている時、眼球だけごろっと下を向いているわけじゃないでしょ?
絶対頭も傾きます。
そうすると・・・そう、頸椎に負担をかけて踊っている事になるんです。
- 首回りの筋肉が緊張し、肩のラインがきれいにならない。
- 首を膠着させてサポートするため、ピルエットのスポットがしっかりとつかない。
なんて問題の他に、
背骨のトップが落ちていたら引きあがっていませんね!
つまりバレエの立ち方さえ出来ていない事になります。
頸椎(首の骨)の影響は胸椎(肋骨回りの背骨)にも関係します。
ってことは呼吸、ポーデブラ、カンブレに影響すると。
んでもって、ドミノ見たいに、胸椎は腰椎に影響するので・・・・と繋がっていっちゃうわけよ。
目線を上げるだけで解決するかもしれないのに!!
レッスン中に注意しましょう
バーレッスンの時は特に、目線を気にしない事が多いです。
踊りじゃないから、とかさ思ってるのかもしれないけれどオーディションの最初はバーレッスンですからね。
ローザンヌのライブとか見ても分かると思いますが、上手な子は目線も定まっています。
センターレッスンの時は鏡を見る癖をなくしてください!
鏡は自分を直すために非常に大事なツールです。
ですけどね、踊っている時にあなたを直してくれるのは先生です。
そして動いている時に自分の事を直せるほどの知識(何が間違っていて、どうやって直していいのか知っている)があり、
コーディネーション力(見ながら踊る)があり、
運動神経(短い期間にすぐに注意を直すことができる)があるダンサーでなければ意味ありませんから。
そして何よりも!振り付けを覚えることは絶対です!!
だってそれが心理に影響し、目線に影響し、テクニックに影響するから。
Happy Dancing!