この記事は2017年に書かれたブログを、新しい研究リンクなどを追加して大幅アップデートしました。
バレエ学校で働いていた時、殆どの日本人生徒「だけ」がしていた行動として「湿布を貼ったままでレッスンに出る」というものがありました。
今日は湿布について勇気を出して書いてみます。
というのは、私、湿布についてよく知らないんです…知らないからリサーチしてみました。
役に立つエビデンスを知っているよ!という方はhello@dancerslifesupport.comのメールアドレスに送ってくださいね。
湿布とは何?
まずはここから始めたいのですが、序盤からリサーチの足(パソコンの前でリサーチしているので、足ではなく指、が正しい表現だろうけど…)が止まっちゃいます。
湿布とは何か?という定義が見つからないんです笑
見つからないというか、曖昧と言うか。
ネット検索の王様、Wikipediaによると
湿布(しっぷ)とは、ある程度の水分を含んだ布を意味し、主に物に効果を与えるために貼って用いるものである。
と書いてありました。
主に物に効果を与えるため…って何!?
同じくwikipediaの英語版で見ていると
A poultice, also called a cataplasm, is a soft moist mass, often heated and medicated, that is spread on cloth and placed over the skin to treat an aching, inflamed or painful part of the body. It can be used on wounds such as cuts.
柔らかな、湿っているモノ、多くの場合それらは温めたり、薬用だったりするんだけど、を布の上に広げて、皮膚に貼り、痛かったり、炎症がある部分に使う。
また、傷口や切り傷にも使える。
と書いてあります。
ただし、日本で言われる湿布の場合、薬剤師さんによると
どちらにも皮膚を刺激する効果があります。皮膚に傷があるときは傷の状態が悪くなってしまうので貼らないほうが良いと思われます。
と言われています。
今回リサーチして初めて知ったのですが、湿布の中には第一類医薬品から第三類医薬品まであるみたいですね。
皆さん、知ってました?
日本に住んでいる皆さんの方が医薬品分類をご存じだと思われるから、深くは見ていきませんが同じ(ような)見た目の湿布でも、レベルが違うってことですね。
湿布の効果をリサーチしてみた
ここも大変でした。
というのはリサーチ(プライマリーソース、と定義づけされる論文)が出てこないのよ!
なので記事冒頭に書いた「リサーチを知っている人はメールで送ってください」に至ります。
ただ、色々と見てみたところ
- 昔の湿布は濡らした布を貼ることから、熱が冷たい方に移動するため効果があったらしい
- 今の湿布はプラスチック製なので、水蒸気として熱が逃げる事はなく、逆に湿布を貼っている=レイヤーが1枚追加されるという事だから保温になってしまう
- 皮膚から吸収される抗炎症剤(非ステロイド抗炎症薬、NSAIDs)が入っている事はある
- 温湿布のメインはカプサイシン、スースーするのはメントールらしい(=皮膚感覚のみに影響)
という事らしいです。
本当に冷やす必要があれば、氷嚢やアイスバケツが、
本当に温める必要があればヒートパックなどツールが熱を持っているものの方が効果的です。
ただ、最近は急性のケガの応急処置に冷やす(Ice)が認められなくなっているので、
- ケガしました!
- 冷やします!
- 湿布しましょう!
にはならないはずです。
バレエ団で研修した時も、ダンサーを治療する人たちのセミナーに行っても、
テーピングやら、痛め止めやらは使っているけれど、そして塗り薬は使っているところもあったけど(が、使っている専門家に聞いたら、よくわからんが効く気がする、と言われた笑)
私自身はバレエ学校で湿布を使ったことはありません。
生徒たちが冷えピタをトウパットの代わりに切って使っているのは見たことあるけど笑
熱が出た時におでこに貼るから、冷却するんでしょ?
湿布にはアイシングの効果がないって言っても、”熱さまシート”とか”ヒエピタ”とか売ってるじゃん?
だからやっぱり、熱をとってくれるんじゃないの?
と思う方もいらっしゃるかもしれませんよね。
東京女子医大小児科の報告によると、15名(なので小さなサンプルではありますが)の使用者全てのケースで解熱効果を認めない、と出ています。
メントールでのリラックス効果はあったようですが…プラシーボ効果かもしれませんし、どうやって図ったのかも分かりませんでした。
プライマリーソースに到達出来なかったとしても、商品の宣伝(マーケティング)と医大小児科の人の言葉だったら、
私は後者を参考にします。
だって片方はモノを売りたい人達、もう片方は、患者と向き合う人達でしょ?
全てのダイエット、サプリメント系で一緒ですが…
痛み止めの効果は?
湿布は冷やしてはくれないと分かったとしても、第二世代の湿布、と呼ばれる(らしい)には皮膚から吸収される抗炎症剤(非ステロイド抗炎症薬、NSAIDs)が入っているとさっき書きましたよね?
つまり、痛み止めなんでしょ?と。
でもさっきリンクをつけた、ケガの応急処置(アップデート版)では上から3つ目に「抗炎症剤を避ける」と書いてあります。
ということは、医療系アドバイスですと、湿布をはじめ、抗炎症剤が入っているものは使わない、となるんですよ。
確かに痛みを消したい!と思うかもしれないけれど、
痛みは体の出しているサインだよ、と何度もDLSブログでお話してきましたよね。
- この動きをしたら痛い
- この部分が痛い
という情報は、どんなケガをしたのか、どの部分(組織)が損傷しているのか?を理解するためにとっても大切なもの。
これ以上ケガが酷くならない為のブレーキ作用もしてくれています。
それを麻痺させて、湿布をしたまま踊っていたら
- ケガが悪化する
- ケガが長期化する
- 体の声を聞く能力が育たない
という問題に繋がります。
ケガの原因を治さなければ再発する
ケガした原因を探さず、痛みだけ隠していてもケガは良くなりません。
発表会が終って1週間お休みがあった。だから痛くなくなったとしても、また再発します。
長く舞台で踊り続けたかったら、
痛みなく生活したかったら、
ケガの根本要因を探して、修復するというステップは絶対に必要です。
集中力不足で着地失敗して捻挫したんだったら、
- レッスン前に集中しやすいようにウォームアップルーティンを考える
- レッスン中に集中が切れないようにトレーニングを続ける
- 集中が切れる原因となる栄養不足、睡眠不足、休息不足が考えられるなら、そこから直す
ウォームアップなしで生徒の前でデモンストレーションをして肉離れになったんだったら
- 指導者もしっかりとウォームアップをする
- 体を使う仕事なんだから、週に1度は自分のエクササイズ(ORレッスン)時間を作る
- デモンストレーションしなくても指導が出来るように語彙力を磨く
会社で長時間座って、腰が痛いままでレッスンに来るんだったら
- 会社の椅子、机の高さを調整する
- こまめに休憩を入れてエクササイズやモーバライゼーションを行う
- レッスン前にしっかりとウォームアップを行う
このような事をしなければ、同じ痛みと向き合う事になりますよ。
- 捻挫を放っておいたら、足首不安定症に繋がるかもしれません。
- 筋挫傷は再発率が高いです。
- 慢性腰痛は、生活のクオリティを下げます。
小さな痛み、我慢できるけど違和感を感じる、くらいの時からしっかりと体と向き合う事で
大きなケガ、長期に渡る痛みを避けて、長く踊り続けられるようにしてくださいね。
特にプロを目指しているんだったら、もしくは自分の体が動くことで収入を得ている人達は
体に使うものをしっかりとリサーチしてくださいね。
そして、リラックス効果を信じて湿布を使ったとしても、つけたままで踊らない事!
→マッサージガンをリサーチした記事
→サウナパンツをリサーチした記事
→体の声を聞く練習をしながら、ケガしない体を作るボディコンサークル
Happy Dancing!