踊っていると肩が上がっちゃう。
この「踊っていると」の部分を「ジャンプの時に」とか「腕を5番ポジションにしている時に」とか色々変えてもいいですよ。
この手の質問はよくあるのでぜーんぶまとめて答えてみましょう。
肩とはどこの事なのか?
まずは定義を考えなければいけませんね。
肩があがってしまう、という場合、どこが肩なのか考える必要があります。
肩関節、というのは
- 上腕骨
- 鎖骨
- 肩甲骨
という3つの骨でできている部分ね。
*ポーデブラをつくる、肩関節についてもっと知りたい人はこちらから
なので、肩関節が上がってしまう、と言った場合、これらの骨が動くことを指します(下の写真の黒い矢印)
でも、肩、といっている人にどこのこと?と指さしてもらうと、ココ(赤い矢印)
そう、肩関節ではなくって僧帽筋の部分を指したりします。
確かに、この部分が上がって見えるとき、その下にある鎖骨だったり肩甲骨が動いている可能性もありますが、
間違った筋肉(僧帽筋)で腕を持ちあげている可能性もありますね。
上がってしまう?上に動いてしまう?
ここもしっかりと理解しておきたいところ。
ジャンプとともに肩まで上がってしまう、というのと
手を上に挙げたときに、肩がついてきてしまう、というのは別問題です。
肩を下げて!というと下げられる子はたくさんいると思います。
え?それすらできないって?
そうそう、そういう所で何を直していいのか分かるようになるんですよね。
- 普通に腕を体の横に垂らしておいても肩が上がってしまう
=肩の形、筋力不足、肩関節の柔軟性、もしくは肋骨の位置の理解不足
*普通の時は大丈夫だけれど、ブラバーを作った途端!肩が上がってしまう、も含まれる
- ジャンプ(動き)とともに肩がぷかぷかしてしまう
=体幹の強さ、腕、背中の強さ、体力、息の吸い方が間違っている
*早い動きになってくると、センターでは・・・肩がぷかぷかしてしまう、というのも含まれる
- 腕を持ち上げたとき、動かした時に肩が一緒に上がってしまう
=ポーデブラの理解不足、テクニック不足、腕をホールドする筋力不足
*腕の一番ポジションで腕と一緒に肩が前に来てしまう、アロンジェすると肩も上がってしまう
と、簡単にわけるとこんな感じになります。
普通に腕を体の横に垂らしておいても肩が上がってしまう
<肩の形>
いかり肩、という人は存在します。
ただし、トレーニングや見せ方でどうにかする事ができますし、
若いダンサーの場合、長年のトレーニングで形を変えることができます。
ただし、覚えておいてほしいのは、鎖骨が下がることはないということ。
解剖学的に正しい位置に鎖骨がある場合、地面と水平(バレエ的:なで肩)、もしくはちょびーっと上がっている状態を指します。
無理やり下げた肩(解剖学的には下制:かせい:って言います)では、腕を上げた途端に肩が動いてしまうなんていう問題が生まれますよ。
<筋力不足、肩関節の柔軟性>
肩関節、そして肩甲骨は色々な方向に動きますって説明しましたよね。
なので肩関節をホールドしておく、(いかり肩の場合、下げておく)筋力が不足していたらやっぱりうまく行きません。
肩関節の柔軟性も大事。
いくら筋肉が強くても、正しい方向に動かなかったら筋肉が引っ張ってくれません。
色々な方向に動く肩関節の柔軟性はとても大事なので、しっかりと練習しておきましょうね。
<肋骨の位置の理解不足>
肩関節は肩甲骨、鎖骨、そして上腕骨でできているとお話しましたが、それらが乗っかっている部分は肋骨。
つまり肋骨が正しい位置にないと上に乗っている肩関節もうまくいきません。
これは特に、引き上げようとしたら肩も一緒に上がっちゃう、なんて人は気を付けて。
肋骨が開いてしまう理由を説明した記事を見ながら勉強してください。
この手の人は下向き腹筋を説明している記事を読みながら、
肋骨を閉めて、腹筋を使って、引き上げをして・・・だけど肩は使わない!という感覚を勉強してみましょう。
ジャンプ(動き)とともに肩がぷかぷかしてしまう
<体幹の強さ、腕、背中の強さ>
普通に踊っている時は大丈夫だけれどアレグロや早い動きになったら肩が一緒に動いてしまう。
という場合、体をホールドしている筋肉が弱いって事になります。
って事はたぶん、レッスン中に正しく腕をホールドしていないのかもしれません。
例えば、難しいステップになると、バーの方の肩甲骨が飛びだしたままで踊っている、なんて癖は
センターで支えがなくなった時にうまく行きません。
強いセンター、軸、を作ることはもちろん、
背中や腕を自分で支える筋力をつけましょう。
プランクや、腕立て伏せをご紹介してあるのでそれをやってみてね。
背中エクササイズについて書いていないので、そのうちタックルします・・・
<体力、息の吸い方が間違っている>
もう一つ考えなければいけない事は、またまた肋骨。
体力がなくなってはーはーしてきちゃったり、息を吸うときに肩まで上がってしまったらやっぱりうまく行きません。
体力の方は、縄跳びでもしてつけてください。
腕を持ち上げたとき、動かした時に肩が一緒に上がってしまう
<ポーデブラの理解不足>
ポーデブラへの根本的理解が出来ていないと、動き自体が間違っているため肩まで一緒に動いてしまいます。
これも結構多い。
ポーデブラっていうのはバレエシラバスでみるとそれだけで練習されるものだし、
アダージオで脚のステップが難しくなる前に行われるもの。
そういった練習で基本的な形や動き方を勉強するのですが、それを飛ばしちゃった人は形だけを追っている時があります。
特にポーデブラは先生の動きを見て覚えるので、先生に癖があったら生徒たち全員同じような腕の使い方をすることも。
音楽とポーデブラ。スタジオの癖が見えます。
この部分、記事にしていないので今度また作りますね。
<テクニック不足>
ここでのテクニックは手のポジションではなくって体全体。
いくら正しいポーデブラを知っていても、体の方向が間違っていたら肩が上がって見えます(見えるだけの時もあるし、本当に上がっている時も)
教師のためのバレエ解剖学講座では、モジュール3にポーデブラと上半身が出てきます。
でも、モジュール3を勉強する前にモジュール1と2(骨盤、コア、腹筋、股関節、膝関節そしてその周りの筋肉)をリピートし、勉強していなければポーデブラに進めないようになっています。
ここまで読んでくださったらみんな分かっていると思うけれど、
肋骨の位置やせぼねの引上げ、骨盤の方向や強い胴体などがなければ、その上に乗っているポーデブラはうまく行きません。
基本になっている部分が理解できなければポーデブラの解剖学も理解できない。
そして生徒が目で見て覚えるところだからこそ、しっかりと先生方に覚えてほしいのでそのような作りになっています。
<腕をホールドする筋力不足>
体がある程度出来ていても、ポーデブラへの理解が出来ていたとしても、
腕の重さをホールドするだけの筋力がなければ肩が持ちあがってしまいます。
これは幼いダンサーで、腕の長い子達によく見られる現象。
そういう子達は腕立て伏せを色々なレベルで行うって説明した記事を参照に腕と肩関節の強さを身に付けて下さい。
長くなってしまったけれど、アドバイスになったら嬉しいです!
Happy Dancing!