学校試験でも話題になったケースの子
「力の出し惜しみ」するダンサー。
これは1月に行われる冬期バレエ講習会でも見られる事があるので、
トピックにしておきたいなと思いました。
スタジオにもいると思います。
幼い子達(小学生中学年くらいまで?)の場合、ここでお話するケースに当てはまらないかもしれません。
見ている人がいると頑張っちゃう!というちびっこダンサーの場合、プロになるかどうかを決定しているわけでもないですから、
スポットライトを当てられると頑張っちゃう=レッスンでもスポットライトを当ててあげるようにする
などの処置が必要ですね。
ここらへん、お家での育ち方や環境なんかが影響してくる精神的な部分が強くあります。
今日お話するのは、いつも通りプロを目指す子達、って事で聞いて下さい。
見ている方には見えている本気度
うちの学校試験では、そのクラスを指導した先生はパネル(試験官)に入りません。
もちろん、1年間指導している中でクラスでの態度とか、成長とかを知っているのは担当者なんだけれど、
そうすると冷静に試験を見ることが難しくなるからです。
外部からの先生の場合、その日だけの踊りをみるわけですから、当日の出来だけを(ある意味冷たく)見放すことができます。
同じ学校の先生でも教科が違う場合、他のジャンルと比べてバーサタリティ―をチェックすることができます。
ちなみにこの前、クリニックに来た他のバレエ学校の子達と話していた時、
その子の学校(そっちの方が大きい!)では1-2人しかパネルがいないそうで。
規模の小さなうちの学校がここまでやるのははやっぱりちょっと特殊なんだな、なんて思いつつ。
試験が終わった後、担当の先生が一番嫌いだっていうのが
「今まで今日みたいなレベルで踊っていたら、もっと指導してあげられたのに」
「ここまで本気で毎回踊れば、すごく上達したのに」
という言葉。
見ている方は知っているンです。
本気で踊っているのかどうか。
本番に強い、弱いとはまた違う
本番に強い子、というのは存在しますし、
緊張しちゃっていつもの力が出せなかった、という子もいます。
そういう子達もいますが、それは表現力の部分で見られる事が多く、実力で・・・という事はほとんどありません。
- 試験だから、しっかりとお化粧をし、いつもよりもちゃんと表現力をつけて踊った。
- 鏡が見えないため、緊張してすべてワンテンポ早く踊ってしまった
- バーでは緊張して動きがよくなかったけれど、センターで落ち着いてきた
このような部分は私たちにもよく見えます。
本気で踊ってこなかった子達、というのはまた別。
なんていうのかなー
見ている人にしか分からないというか、文章力がなくって伝えられないというか。
私たちもダンサーを見ることを何年もやっていますからね。
そうすると本番に底力を出した子と、本番だけ本気で踊ってみました、という子の差は分かるのです。
いつも100%で踊るからその先にいけるのよ
いつも100%で踊るから、上達する。
当たり前みたいに聞こえますが、できていない人達はたくさんいます。
レッスンを最大限に使っていますか?という記事でも色々な方法を説明したけれど、
1回のレッスンをほんとーにすべて使いきって踊っている人は少ない。
だからこそ、上達とレッスンの数は比例しないんですよね。
ケガして踊っていなかったのに上手になった子。
毎週7日レッスンに通っているのに、6か月前のビデオと今の踊りにあんまり差がない。
そういう子達いますでしょ。
筋肉も、脳みそもそうだけれど、毎回使うから強くなるわけね。
人間の体は必要だと思ったら新しい組織(筋肉だろうがシナプスだろうが)を作ってくれるでしょ。
筋トレや肉体改造を見て分かるように、体も変わるっていうのはよく分かると思います。
目で見えるから。
ひどいO脚のダンサーがとってもきれいな足になったり、
柔軟性のなかったおとこの子が毎日柔軟してプロになったり・・・
手術した後に、この部分の筋肉は戻りません、と言われた子が(しかも25さいくらい)努力で筋肉を変えたり。
この仕事をしていると毎日見られる素敵なミラクルがあります。
目で見えない部分だけれど、研究で分かっているのはトレーニングすることで脳のサイズさえ変えることができちゃうとかね。
そんなミラクルを起こすためには、本人が100%努力をする必要があるんですけどね。
上手な子と上手になる子、という記事でもこのミラクルをご紹介しましたね。
どうして本気で踊らないのか?
みんな、本気で踊らないと上手にならないのは分かっているのにどうしてそうしないのか?
これは大きな問題ですよね。
努力をする才能という記事、そしてその続きになっている努力をしているつもり、という記事でご紹介したように、
みんながみんな、努力が出来るようになっているわけでもなく、
努力をする練習をして来なかった子達は、大きくなっても出来ない事がよくありますし、
自分では努力しているつもり、っていうのも多くあります。
(私も頑張っているつもりちゃんでした、という記事でも説明しましたねー)
踊りのザツな子について書いた記事でお話した子達は、動けちゃうので、しっかりと注意されていない事が多く、
自分はできているんだーなんて思っていたりします。
そういう子も、本気で踊れなくなります。
本気で踊ることで仲間外れにされてきた子、というのもいるでしょう。
みんながプロを目指しているスタジオではない場合、一人だけ頑張ったり、テクニックができたりすると、
仲間外れにされちゃうとかね。
指導者の腕にかかっている部分もたくさんあります。
派手に、年齢よりも難しいテクニックを指導する事=その子の本気を出す、というわけではありません。
細かい部分を丁寧に、根気よく指導する。
出来ていなかったら放っておかない・・・
もちろん、そんな指導をみんなにしたら、バレエがつまんない!という子達もいるでしょうから、
バランスは難しいですよねー。
だからこそ、プロを目指す子達はバレエ学校にいったり、スタジオを変えたりするのでしょう。
悲しいけれど、生徒たちが伸びるためには環境がやはり整っていたほうがいいとかね。
ここでいう環境っていうのは、
同い年の子達で同じように頑張っているダンサーとか
憧れの先輩とか。
人間がソーシャルアニマルである以上、周りからの影響はやはり必要なんですね。
最終的には本人の努力次第。
忘れてはいけないのは、本人の努力です。
確かにそれを指導する、育てる、というのは大事だけど、プロを目指すという決意をしたんだったら、自分で行動しなきゃ。
行動、っていうのはほかのダンサーを研究したり、留学について考えたり、自分のレッスンを見直したり。
どんなに上手なバレエ学校にいても、自分から行動しない子達は上手になりません。
ポジティブに考えるとレッスン、という記事でもご紹介しました。
ポジティブ=積極的に。
そうすることで道は開けるのです。
プロダンサーは狭き門。
毎日本気で踊って、汗が地面に垂れるほどがんばって、
そうしてミラクルを起こして下さいね。
追伸。
ロイヤルバレエ学校に留学している生徒がクリスマスホリディで帰ってきています。
毎日のレッスンがオーディションみたいだって言っていました。
レッスンで本気をださなかったら・・・なんて悠長なことを言っていられない環境だそうです。
Happy Dancing!