プレゼン力。
そう言ったら日本語ではビジネス用語みたいに感じるかもしれません。
確かに「明日プレゼンがあるから」とか言ってパワーポイントを作っている合間にこの記事を読んでくれている大人バレエトレーニーさん(大人でバレエレッスンを受けている方々をDLSではトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいます)がいるかもしれません。
(って書いて気づいた。最近の子はパワポって知っているのだろうか・・・?)
プレゼンってグーグルさんに聞いてみると
情報伝達手段の一種で、聴衆に対して情報を提示し、理解・納得を得る行為を指す
なんて出てきます。
これがバレエに関係するのかしら?
ダンサーのプレゼン力というのは、コンクールの採点基準にも含まれているほど。
バレエ学校試験でも絶対に見られていますから、言葉を知らなかった人は今勉強しておきましょう。
日本語英語、と本当の英語が違うっていうのはよくあります。
ダンサーのプレゼン力
ダンサーのプレゼン力というのはなんでしょうか?
プレゼンテーションする相手はオーディエンス(観客)だね。
なので観客に対して自分の踊りを表現する力の事となります。
(試験の場合は試験管、コンクールの場合はジャッジに変更されるけど)
表現力とも言われるけれど、
表現するものがなければ(役のない踊り、学校の試験、コンクールの予選)、
踊りの雰囲気や音楽の感じを伝えたり、踊る楽しさを表現したりすることを指します。
今日はプレゼン、として役柄に対する表現力とか演技力とかではなくって、バレエ学校の試験やコンクールの予選などで行われる普段のレッスン+αに使えるヒントを書いていきます。
って事は、今夜のレッスンから練習できるって事。
なのでそれぞれのヒントにレッスンヒントも付けておきました。
試してみて下さいね。
プレゼン力アップ ヒント1 目線と目の向き
目線と目の向きって一緒じゃないの?って思った人。
そうですが、ここでは
- 目線=スポット、エポールマン
- 目の向き=目の黒目の部分
だと思って下さい。
目線は非常に大事です。
しっかりとつけたスポット、エポールマンはたとえ残りの表情が無表情でも、プレゼンテーションにつながります。
強い意志の見える目線、集中している目…
これだけで試験官に与える影響は大きく違いますよ。
特にバーレッスンでやたらとニヤニヤしても意味がないですが、
強い目線で、しっかりとつけたエポールマンは横顔にプロの雰囲気を漂わせることが出来ます。
かといって、エポールマンを付けようとして、黒目だけ横を向いていたら変です。
でもねーこれよくあるんですよ。
特に、順番をはっきりと覚えていない時(=つまり自信を持ってエポールマンを使う余裕がない時)とか。
後、ちらっと見た試験官パネルで目が合っちゃったとき!
顔をそむけるとばれちゃうからって、急いで黒目だけ方向を変えるダンサーの多いこと・・・
これは、いつも鏡ばっかり見て踊っている子たちによく見られますが、
集中力が欠けている証拠です。
敢えて試験官に目線を合わせて踊ることもあります。
クラシックであればマズルカ系の強いキャラクターダンス(もしくはその音楽に合わせた振り付け)などでは、
それ自体がプレゼン力になるのですが、その場合は、試験官に負けて目を逸らせたり、
途中で目線が弱くなっちゃったり、難易度の高いテクニックが入ってくるときに目線が落ちてしまったりしたらバレます。
継続してプレゼンできるのも大事な力です。
レッスンでどのように練習するか?
しっかりとエポールマンをつけましょう。
そう、最初のプリエから、グランアレグロまで!すべて、正しい方向へ。
- 意識を継続できているか?
- 途中で忘れてしまっていないか?
も常に確認しましょう。
目線も、顔の向きも振付の一部です。
勝手に好きな方につけるんじゃないっていうのは覚えておいて、
先生が指導しなければいけないというのも肝に銘じておいてくださいませ。
もちろん、黒目は目のセンターで。
つまり首の可動域が必要になるから、首の力みがあると難しいね。
プレゼン力アップ ヒント2 お化粧
これは「メイクとオーディションとプライドと」という記事で説明しているのでそっちも読んでください。
舞台メイクではないですよ!
ただ、オーディションとかワークショップなどでに出る年齢であれば、気を付ける必要がありますね。
顔の形に合わせてメイクをするのは大事です。
例えば、グーグルやピンタレストとかで「how to make your eyes bigger」と調べたら色々な写真が出てきますね。
目が小さい、という人がどうやったら目を大きく見せられるか?という化粧法があるわけです。
別に、バンビみたいに目が大きくなくては!というわけではないけれど、
真っ黒のアイライナーをがっつり引くだけ、では目が小さく見えることがあるのです。
そうしたら、せっかく目線に意識をつけていても見えないわけね。
眉毛もプレゼンで大事な部分。
同じ表情でも眉毛の形によって見えるものが変わります。
日本で流行っているもの=海外でかわいいと思われるとは限りませんし、自分が一番美しく見えるかどうか?も違います。
確か、前の記事でも書いたけれど、海外の子たちは若いうちからメイクを練習しています。
学校にもメイクしていたり、バレエ学校で言われていたり。
日本を出るオーディション、コンクールを考えているのならば、彼らと同じ土俵に上がる必要があるのです。
特に日本人は眉毛を短くするのが好き(若く見えるから?アイドルがしているから?)だけれど、
丸顔でそれをやったら顔がもっと丸く見えるし、エポールマンをつけたら眉毛半分以上なくなっちゃうことになりますからね!!
*髪の毛についてもここで言いたかったけど・・・別記事に書いたので飛ばします。
- 後れ毛!
- 出っ張り過ぎたお団子!
- ピンだらけの前髪!!
辞めようねーーーーー
レッスンでどのように練習するか?
バレエ雑誌などを見て、海外のバレエダンサーや生徒たちがどんなメイクをしているのかを研究してみましょう。
舞台メイクではなく、普段のレッスンの写真がいいですね。
今でこそYAGPやローザンヌの写真がアップされていますから、ネット検索して勉強してみてね。
- どんな色を使っているかしら?
- どんな傾向がある?
学生、もしくは研修生のhead shotなどもいい研究材料になると思います。
別に毎日フルメイクでレッスンを受ける必要はありません。
だけど、オーディションの時だけ、バレエ学校試験の時だけ!だと
- 汗でパンダ
- 肌に合わなくて途中で痒くなる
- なれないので、集中出来ない
なんてなりたくないので、意識的に練習は必要だと思います。
(再度になりますが、日本の場合学校生活で練習していないので)
プレゼン力アップ ヒント3 音楽の種類に合わせて表情を変える
これはちょっと中級者向けですが、オーディションを考えている年齢の子たちならば必要ですね。
アダージオの表情と、アレグロの表情が同じだったら幼稚に見えます。
たとえ役がないとしても、音楽の表現しているものはあるはず。
- 優雅でスムーズなのか
- エネルギッシュで、元気があるのか
- スタッカートなのか
- 徐々に音楽が大きくなっていくのか
オーディションでプレゼン力を見せる場合、どれだけできるのか?の幅を表現するのも大事。
テクニックと一緒でね、見せつける必要があるってわけです。
この子、アダージオも綺麗だったけれど、アレグロになったら跳躍力がすごい!
っていうのと同じように、優雅なワルツもできるけれど、力強いコーダの音楽に合わせて目力が変わる。
っていうのも大事だよね。
レッスンでどのように練習するか?
音楽の種類をしっかりと聞き分けましょう。
先生が振り付けを音楽と一緒にマーキングしている時、音楽の様子もマーキングできるはず。
テクニックと音楽、両方を考えて踊れるか試してみましょう。
本来ならば、そういう部分「こそ」レッスンで指導してほしいところだと私は思います。
- 脚の高さ
- 回転数
- 跳躍力
というのは必要な時、役、振付というのがありますが、
音に合わせて&音を表現して踊らない時、というのはダンサーにはありません。
普段レッスン中に練習しないで、舞台の上でやれなんて、そんな酷なことを生徒にやらせないでほしいなぁ。
プレゼン力アップ ヒント4 あわてない
これは練習できる場所が少ないかもしれませんが・・・
オーディションも舞台も、コンクールも!生ものです。
って事は予想しない事が起こります。
例えば、音楽が流れない、CDに傷がついていて飛んでしまう。
前の子が転んだ、自分が間違えた、自分が思っていた動きと違ったスタイルのパだった・・・
などなど。
その時に動揺してはいけません。
落ち着いて。
自分ではどうしようもない事が舞台上ではたくさん起こりますが、試験官もプロ。
そんなの私たち知ってます。
ただ、それに対してどうやって反応するか?は力の見せどころだし、プレゼン力を上げてくれます。
- 常に堂々と
- 自分の世界を崩さない
- 次の小節で巻き返す
など、やり方はたくさんあるはず。
アクシデントは練習できませんが、心構えを考えておくことはできるよね。
レッスンでどのように練習するか?
レッスン中、どんなことが起きるか見てみましょう。
先生が違う音楽をかけた、とか、間違えた、とかはよくある事だと思います。
それを笑って流しちゃう?それとも集中力を切らさないでいられる??
- CDの音が違くても、プレパレーションを崩さないで待つ
- 振付を間違えてもすぐに戻ってこられる
- ピルエットに失敗してもしっかりと終わらせる
- 場所がなくなっても最後のポーズまでやりきる
- 常に集中してレッスンに挑む
こういうことは普段のレッスンでも練習できますよね。
まとめ:ダンサーのプレゼン力
こういう部分、普通に考えずレッスンしていたり、地元のコンクールに出ていたら勉強できません。
が、ダンサーとして必要な知識です。
そして読んでみて分かると思うけれど、そんなに難しいことではないんですよ。
何年もかけて習得するターンアウトとか、筋トレをして生まれる跳躍力とかと違って、
気をつければ出来たり、日々2-3分で練習できたりするもの。
だからこそ、知っておいたら便利だと思いますよ!
表現力を指導する自信をつけたい先生方、
指導する表現力への理解や、実際にレッスンに取りいれるアイデアを勉強したいバレエ教師の方には
DLS教師のためのライブラリにある「レッスンで育てる表現力」がオススメ。
表現力のない子達をどう指導したらいいか?
レッスンで培う事が出来る”バレエ”の表現力の基礎を身につける方法について、一緒に勉強しましょう!
Happy Dancing!