DLSの元にはいろいろな質問が来ます。
ほとんどの質問は基本的なテクニックについてなのね。
例えばターンアウトとか、つま先を伸ばす、とか引き上げるとか。
難易度の高いテクニックで質問されることはあまりないのですが、グランフェッテは違います。
これね、よく来ます。
多分、発表会などでなんとかの3幕、だとかなんとかのグランパドドゥ、だとかをやることがあるからでしょうね。
見栄えはするしね。
今日はグランフェッテを分析してみます。
が。
グランフェッテにチャレンジする前に、自分はフェッテができる実力があるのか冷静に見直してください。
舞台でフェッテが使われる時。
それはcorps de balletではありません。ソリスト以上です。
それだけのテクニックがついているのか…その答えはご自身でわかるでしょ。
グランフェッテという動きを分けてみましょうか。
- ピルエットでスタート
- 軸足の強さ・正確さ
- 動足の動き
- 胴体(体幹)の強さ
- コーディネーション力
- 体力
もちろん、意志力も必要だと思われますが、どうです?
ピルエットでスタート
ピルエットとフェッテは違う動きですから、ピルエットが3〜4回転できるから、といって
フェッテが32回転できる事はありません。
ただし、動きの最初がピルエットだから、それがうまくできなかったら全部うまくいきません。
- しっかりとピルエットが回れること。
- コントロールしてどのポジションにも降りてこれること。
つまり、5番にしっかりと入れたり、軸足でバランスをとったまま、次のステップに動けるだけの体のコントロールができなかったら、フェッテを始めることはできません。
ラッキーなことにDLSにはピルエットを分析した記事がありますから、この部分をもっと練習したい人はそちらも読んでくださいね。
軸足の強さ
5月の名古屋セミナーでも、9月に行われたダンサーの足セミナーでも見ました。
ルルベがしっかりとできない人はすごく多いです。
正しいルルベができていなければ、フェッテはできません。
無理やり回ったとしても、軸足首の痛みや、ふくらはぎの痛み、そして軸足だけすごく太くなる!
なんて問題がついてきます。
正確に同じ位置に毎回ルルベできていないと(かかとの高さ、重心の落とすところなど)、フェッテがうまくいかないのは当たり前ですが、
片足プリエ(フォンジュ)がしっかりとできていないのもダメです。
毎回フォンジュする度に膝が前に落ちたり、
早くフォンジュするとかかとが浮いてしまったり、プリエが使えなくなってしまったらフェッテを回り続ける力は生まれません。
膝が前に落ちる人はのフェッテはどんどん前に移動しちゃう傾向にあります。
もちろんひざを痛める傾向もありますよ!たぶんジャンプの時もそうやって着地しているからね。
もう一つ忘れがちなのは、ポワントにのっかちゃう癖のある人。
フェッテはほとんどポワントで行われますから、ポワントに乗っかっちゃう人、フラットシューズだったら、回れるけどポワントになったら無理、という子は足の裏も鍛える必要があります。
っていうかさ、ポワントに乗っかっちゃうような人はフェッテするべきでないと思うけど・・・
それは私個人の意見ですから飛ばしましょー
動足の動き
今まで私が観察したところによると、体が柔らかく、アラセコンドに簡単に足が上がる子が、フェッテができるわけではないようです。
フェッテの動足は回転のエネルギーを作っています。
だから、グニャグニャだとダメで、しっかりとアラセコンドでホールドできることの方が、
床で開脚が出来るよりも重要です。
ただし、骨盤を持ち上げながらアラセコンドにあげてしまったら、軸がスッ飛んじゃいます。
デヴァンで腰が落ちちゃう人も、デヴァンからアラセコンドに足を動かす時に体がずれてしまう人も残念な結果になります。
このロンデジャンプの動きだけれど、フェッテの時はすごく早く行われますね。
なので、早く動いても正確か?ということはもちろん、早く動くだけの筋力があるか?も練習しておきたいね。
胴体の強さ
プランクはダンサーに向かないよ、とか体幹を鍛えることにはならないよ、なんて言われることがあります。
踊る時の体幹は柔らかく、かつ強くなくてはいけない、ってことね。
でも、フェッテの体、っていう時にはプランクやってたらよかったと思うと思うよ?
胴体は動かないんですから。
- 動足をロンデジャンプアンエールしてもずれない体。
- 32回確実にしっかりと軸足に重心を落としておける体。
- ダブルなどを入れれば特に大事な遠心力にやられない体…
- 軸足がルルベ、プリエ、ルルベ、プリエ…を繰り返しても強く保たれた体。
- 腕を開いたり、閉じたりしていても肩甲骨をしっかりとホールドできる体。
それら「全て」。そう全てができていなければフェッテは回れません。
→強い体幹を作る(そして私の叱咤激励がつく音声付き)プランク攻略本PDF
コーディネーション力
上で挙げたようなエリアが全て一緒にできないといけないので、コーディネーション力が必要になるんですよね。
もちろん、ここにはタイミングや、魅せ方、軸が崩れた時の持ち直し方…
なんていうコーディネーション力も含まれます。
いくら素晴らしいプロを見ていても、ガラコンサートで全幕を踊っていないとしても。
最初から最後までずっと同じポジションで、確実に回れる人はいません。
ただ、バランスを崩れた時に持ちかえしたり、前に移動してしまっても回り続けるという事は出来ていますよね。
だから32回転を回りきれるんですから。
んでもってそれをeffortlessにやりのける。
だって超頑張ってます!って分かっちゃう力んだ、必死な黒鳥ってヤでしょ。
→effortlessに脚を上げる記事。同じ原理を回転でも考えてみてね。
あ、もちろん、スポットを確実につけるという首と胴体のコーディネーション力も必要だけど、
これはピルエットでお話しているから飛ばします。
体力
と、ここまでくれば32回転分、コーディネーション力や筋力をホールドし続けないといけないってことで、
体力が必要になってくるというのもわかりますね。
バレエではマラソンランナーみたいな持久力と、短距離走みたいな瞬発力が必要になります。
爆発的なエネルギーの必要なソロが入っているグランパドドゥ、とか
何度も見せ場がある3時間全幕とか。
バレエを知らない治療家・トレーナーに説明する時、私はバレエはテニスみたいっていう事があります。
集中力も必要だし、臨機応変に動くことも必要だからね。
まとめ。
フェッテではこの持久力と瞬発力、両方必要になってきます。
諦めない根性とかも必要ですが、正しいテクニックが事前についている、というのも大事です。
これはケガを防ぐためもそうだけれど、筋肉のつき具合が汚くならないためにも考えておきたいこと。
最初にも書いたけれど大事なので再度。
グランフェッテができるだけのテクニックが身についているのかしら?
グランフェッテを夢見ている人達は、今日挙げたポイントを研究し、一つ一つこなしてからチャレンジしてください。
変な癖をつけて回っているのを直す方が難しいですからね。
Happy Dancing!