題名を見て、なんだそれ?って思いました?
賢く、スピーディーに上達したかったら、このコンセプトを頭に入れておく必要があります。
大丈夫、一度分かるようになると、分かるから!
題名の説明はこちら。
自分の分からない事は、分からない事も分からないから、
結果どうやって勉強したらいいのか分からないので、分からないままである。
これで説明したの!?と思う方もいらっしゃると思うので、例を見ながら詳しく研究していきましょう。
例1 フェッテができないと悩んでいるダンサー
練習しているけれど、グランフェッテができない。だからいつも後ろに回されてしまう。
と言ってきたダンサーがいました。
(彼女はクラシックバレエダンサーではなく、ジャズダンサーでした)
そこで、何ができないの?何がいけないの?と聞いてみたところ、
「分からない」
何ができないのか分からないから、どうやって練習したらいいのか
「分からない」
必要な練習が「分からず」がむしゃらに繰り返すだけなので結果が変わらず。
本人は努力しているつもりだし、これ以上どうしていいのか「分からない」。
例2 いくつもセミナーを受けても指導が変わらない先生
子供の時にバレエレッスンはできてたと思ってたので、スタジオを開きました。
ひょっとした事からDLSを知って、教えるって、体って、こんなに複雑で、自分は何にも分かっていなかった…と凹んだ。
なので毎回DLSセミナーがある度に申し込んで、無料のビデオも全部見て勉強しています!
ビデオを見ている最中や、セミナー会場では「うんうん、分かるようになってきたぞ!」と感じるんだけど、
生徒に質問されたら…やっぱり答えられないし、SNSで見る有名ダンサーがやっているストレッチを見ると「あーやっぱりこうやって指導しないといけないのか」と心が揺れる。
「勉強した内容は復習していますか?」には大きくYESと答えられるけど、
- 今のスタジオ(レッスンプラン)に足りない部分はどこですか?
- 今から発表会までに、生徒さんたちに必要な事、絶対に準備しないといけないことは何ですか?
には答えられない。
- クラス内容や、復習をして出てきた質問はありますか?
には「分かりません」。
ただし、エシャッペ1000回は毎日やらせます。
理由は?と聞くと「分からない」ですが…
脳みそが理解できる事
この写真を10秒ほど見てください。
2015年の1月に行われた、DLS冬期バレエ講習会の一部です。
スクロールして写真が見えなくなったら質問です。
私、髪の毛上げていました?おろしていました?
次の写真。
一番最初に目が行ったところはどこでした?
私の髪の毛じゃなかった?
ちなみに、最初の写真でダンサーが行っていたパは何だったか覚えてる??
見えてると分かる、は別
先ほどの写真でテストしてみたように、「見えてる」と「分かる」は別です。
何を見ているか?という理解があると、そこに注意を向けることができます。
例1で挙げたダンサーのように、グランフェッテが出来ない、という場合、
自分がどこが出来ていないのか?が分からなければ練習も出来ません。
でも、どこが出来ていないか?を理解するためには、やっている行動(ここではフェッテ)の正しい形や動きが正確に分からなければいけないですよね。
「正しい」が頭にあって「出来ていない」自分が分かって、はじめて
ここが足りないんだ!って分かるんですから。
例1の彼女は、フェッテの「正しい形」と「やり方」を知りませんでした。
1回転が終って、次の回転に進むときに、脚をデヴァンに出して、ロンデジャンプする事で回転力を作りますよね?
デヴァンに足を出すとき、クロワゼになるじゃない?
その時にね、脚もクロスするのだと思っていたんだって!
クロワゼを正しく知らないダンサーが多い事には来日セミナーのたびにビックリするんです。
右足前5番ポジションクロワゼってセンターレッスンのプレパレーションでたくさん使われるけど
- 体の方向が変わっても胴体に対する腕の位置は変わらない
- クロワゼは「クロス」だけどタンジュで出している足をいつも以上クロスする事ではない
- 8の方向におへそ、2の方向に顔はつけるけど、それは上半身をひねる事ではない
が「分からない」から、自分がどうして間違っているのか「分からない」ので、
- 直す方法
- 注意され続ける理由
- 出来ない原因
も分かりません。
表現力が上達しない理由も「分からない」から
お客さんの立場でバレエを見に行くのがつまらない人は、バレエを習っている人達の中でも多いのね。
自分が職業にしたいと思っているのに、(指導者の場合は、自分が存在する理由となる)職業をサポートする事はやらない。
とても残念な事。
ここにも「分からないことは、分からないから、分かりません」が当てはまります。
多くのダンサーが”分かっている事”はバレエで必要な事は
- 足を高く上げる事
- 膝がしなり、甲が出る事
- 回転やジャンプなど”難易度の高い”テクニック
だから、そこにしか目がいかない。
よって、ストーリーバレエ全幕や派手なテクニックが入っていないバレエは詰まらなくなってしまう。
- 細やかな表現
- 細やかな、精密なつなぎのパ
- 点数をつけるのではなく、アートとして舞台を見る
という事が「分からない」と、何を見ていいのか「分からない」から、その舞台を見て学べる事も「分からない」。
そしてそのような総合芸術として大切な事が「分からない」から、自分の表現力に何が足りないのか「分からない」ため、そのキャラクターに合わない動きや表情、表現をしていることにも「気づかない」。
先生が分からなければ、生徒も分からない
指導者が表現力が何か?分からなければ、どうやって指導していいのか?も分からないので、結局生徒達も「分からない」という、
負の連鎖みたいなこともよくあります。
例1で挙げたダンサーの先生が、例2だったとしましょう。
ダンサーはフェッテが出来ません。
先生はフェッテを正しくは知りません。
自分が知らないことは教えられないため、その子に合った指導方法も分かりません。
- 回転が出来ない理由はなんだろう
- 脚が上がらない理由はなんだろう
- ケガする生徒が多い理由は何だろう
と思ってくれて、勉強してくれているのはいいけれど
自分の分からない部分が分からないと、何を勉強していいのか分かりません。
これは教師のためのバレエ解剖学講座の最初にお話していることです。
解剖学を勉強しても、正しいバレエのステップが分からなければ、使えない。
「バレエ」が先で、そこが分かっている前提で
- 求められるパで行われる体の動きは何か?(解剖学)
- 求められるパをこなす力を育てるには?(エクササイズ)
- 求められるパをレッスンで育てていくためには?(レッスンプラン)
というように勉強した内容が使えるようになるんですから。
勉強=暗記、だと思っている先生方は特にこの穴に落ちやすいので気をつけて。
勉強=正しくできる事、ではなくて
勉強=正しく出来る方法を学ぶ、出来ないことを理解する、という事なんですから。
自分が正しい!というプライドがある先生も同じく穴にハマります。
分からない自分を認めないと、その先に進めないのですから。
分からない事が分かると、世界が変わる
一度注意を向けることができると、視界が広がります。
視界が広がるというと、new world!みたいに大袈裟に聞こえるかもしれないけれど
- 今まで見えなかった事
- 感じなかった事
- 知らなかった事
が分かるというのは言葉通り、new worldですよね。
もちろん私たちが生活している中で、全てに注意を払っていたら疲れちゃいます。
残念ながら悲しいニュースは毎日流れてくるし、文句を言い続ける人はたくさん存在する。
そういう場合は意識的に自分が取り込む情報量をコントロールする必要があると思います。
特に自分自身が疲れているときは。
だけど、注意を払いたくても、何を注意していいのか分からなければ、視野は狭いままです。
「分からないことは、分からないから、分からない」が正しいと仮定すると
「分からないことが分かれば、分かるようになる!」も成り立ちます。
才能、生まれた国や環境、年齢に関係なく「分からないことが分かれば、分かるようになる!」ということ。
それって素晴らしくないですか?
誰でも、知識があれば前に進めるってことですもの。
ただし、分からない事を放っておいても分かるようにはならない。
これも覚えておいてくださいね。
Happy Dancing!