DLSポッドキャスト epi550 もしも私が大人になってからバレエを再開するんだったら? もしもシリーズ その4

もしもシリーズ最終回は「もしも私が大人になってバレエを再開したら?」がテーマ。

プロを目指していた過去を振り返りながら、再開組の悩みである「頭ではわかっているのに体がついていかない」問題や

オンライン活用、大人のバレエクラスに適した先生選びについて深掘りしています。

趣味としてのバレエを楽しむためのヒントが詰まった内容です!

Transcript

もしもシリーズ最終回!今日は大人バレエ生徒になる予定の佐藤愛です。

2月のポッドキャストでは

と様々なパラレルライフを生きてみましたが、実はまだ、結構ネタがありました。

 

例えば、

  • もしも私がコンクールのジャッジだったら?
  • もしも私がバレエ学校の校長だったら?
  • もしも私が今疲労骨折中のダンサーだったら?

など。

 

もしWhat ifシリーズを楽しんで頂けていたら、ぜひメールで教えていただくか、

インスタのDMで教えてくださいね。

 

色々と候補があった中で、最終回に選ばれたのは「もしも私が大人になってからバレエを再開したら?」でした。

「大人になってからバレエを始めたいと思ったら?」バージョンと最後まで悩んだのですが、

実際体験に近い方を選びました。

 

体づくりから始める

2005年にバレエ学校を卒業してから20年が経ちました。

実は何度か、大人のバレエスタジオに足を運んだことがあります。

でも残念ながら失敗続きでした。

 

  • 他の生徒さん達から先生の代わりに質問されたり
  • レッスン中、先生に生徒にセミナーをやってくれないかと聞かれたり
  • 基礎クラスをやってたんだけど、踊れちゃうから辞めてくれと言われたり

まー色々ありまして、現在はスタジオに行くことが出来ないでいます。

 

それぞれ笑える話なので、そのうち機会があったらお話しますよ。

だけど、今日はそれは置いておきます。

 

でも、何度か大人になってからレッスン再開を試みた中で分かったことは、

「脳みそは覚えているが、体がついてこない」ということでした。

 

こういう感覚で踊っていたはずというのを覚えているんですね、鮮明に。

でも、年齢は20年プラスされているし、ブランクはある。

もちろん、私の最後の記憶は、バレエ学校でプロを目指して毎日トレーニングしていた時代です。

よって、そのレベルで踊れるわけがないでしょう。

 

でもギャップは絶対にあるので、

再開するんだったらまずは体づくりから始めると思います。

今でも日々エクササイズはしていますが、レッスンに戻るためのトレーニングはしていません。

 

このポッドキャストが皆さんに届くころには、

私は既に日本に到着していて、多分東京のホテル生活一日目なはずです。

 

明日、3月1日からスタートする解剖学エクサ

今年初めて日本で指導するダンサーの為の解剖学 基礎を皮切りに

3月いっぱい来日セミナーインストラクターコース4期生の最終試験や

アドバンストコースの再試験、スタジオ訪問など濃い時間を過ごしているはず。

 

そのため、ポッドキャストを準備している1月には

来日セミナーに向けてのトレーニングをしています。

 

来日セミナーに向けてのトレーニングとは何か?

まず、オーストラリアの車社会から、東京での生活に変わると大きく異なるのが歩く量

そのため、ウォーキングを増やしています。

 

その他には、セミナー会場にもっていく荷物を考慮して

ウエイトトレーニング。

 

空港の荷物のピックアップから、大阪に向かう新幹線など

荷物を持ち上げて階段を使う、引っ張って歩く、などの行動が出てきます。

 

会場に向かう途中でケガしたら困っちゃうので、

背中や腕など上半身のトレーニングが必要だって考えています。

 

他にもいくつかあるけれど、

目的としている内容に合わせてエクササイズ内容を変更するって感じが伝わりました?

 

同じようなことをバレエ再開でも考えていきます。

まず、ターンアウトやつま先を伸ばすという動きは、

バレエ特有の動きになりますので、練習が必要です。

 

大人になるとジャンプすることが殆どないため、

アレグロ練習の為に縄跳びなども入れていくでしょう。

 

もし私が、大人になって初めてバレエを習いに行くなら、

このようなトレーニングは不要です。

 

今回は再開するなら?というテーマでお送りしていて、

再開組の大きな問題は「頭で分かっているけど体がついていけない」なので

ケガ予防のためにバレエレッスンへの筋肉を育てたいってことね。

 

オンラインを有効活用する

レッスンはスタジオで行いたいのですが、

トレーニングはオンラインの活用を考えると思います。

 

コロナの後、オンラインバレエレッスンが多く行われているのは知っていますが、

私はバレエレッスンはスタジオでやるべきだと考えています。

ゴールによって左右されるけど、今回のケースだったらね。

 

でもエクササイズはお家からやるかもしれません。

理由は、通える距離で、バレエダンサーに特化したエクササイズを

大人向けに提供している場所がないからです。

 

継続した習い事の場合、通える距離というのが大切だよね。

年に1度のセミナーなら、ちょっと遠いけど2-3日だから問題ないけど。

 

私も、自分の勉強のためなら、国内線はいくら乗っても気にしません。

同じ2時間なら、飛行機に乗っている方が、渋滞にはまっているより気分が楽だし。

 

でも週に1回のレッスンだったとしても、

飛行機で通いに行くことは出来ないからね、オンラインって便利ですよね。

 

再開組なんで、バレエのステップが分からないわけではありませんし、

一応、脳みそでは正しい足や腕の位置が分かっているじゃない?

出来るかどうかは別として。

 

昔は簡単に出来ていたことが、今は思ったように出来ないと

イライラすることもあるかもしれませんから、

オンラインで誰にも見られていないところでやった方が気が楽だとも思います。

 

移動時間を無駄にしなくて済むっていうのも、忙しい大人にはピッタリでしょう。

 

先生選びはうるさいと思う

もしもシリーズでは、今の私の理解、体験、経験で、違う生活をするというルールがありますので

先生選びにはうるさいと思います。

大人で再開する際、先生の輝かしい舞台経験は不要だと思うのは私だけ?

 

別に先生がどのカンパニーで踊っていようが、

どれだけきれいなお手本を見せてくれようが、私には関係ないです。

私は、私のレッスンがしたいので。

 

私のレッスンとは何か?

もしも私が、大人になってからバレエを再開するなら、きっと

  • 子供の時に出来なかったことをやりたい
  • 子供の時の楽しみを思い出したい
  • 昔好きだったことをもう一度趣味としてやってみたい

という気持ちがあると思うですね。

 

この中に、

  • どこまで足が上がるか
  • どれだけつま先が伸びるか
  • ポワントで踊れるか
  • グランパドシャでスプリッツジュッテが出来るか

は含まれていません。

 

そりゃ出来たら嬉しいよ。

軽々と足が上がったら気分は良いだろうし、

思ったようにつま先が伸びる方が、伸びないよりマシだろうし。

 

ただ、ポワントで踊りたいとは現時点では思っていないですし、

グランパドシャでスプリッツ、つまり180度に前後開脚が出来ていなくても、

グランアレグロが通せたら、それだけで万々歳だと思うの。

 

プロを目指し、痛みを抱えながら、

楽しい気持ちが殆どなくなってしまっているけど、毎日朝8時にスタジオに向かうというのではなく、

毎週、レッスンが楽しみだった時代の気持ちに戻りたい

 

先生の為、オーディションの為、リハーサルの為ではなく、

自分が思ったように動けることが楽しいし、

新しいアンシェヌマンが脳トレみたいに感じて面白い、というのを感じたい。

 

なので、バレエ再開したい私が選ぶ先生は

  • 基礎レッスンをやってくれる人
  • 注意はしてくれるけど、叱られにレッスンに通っていないと分かっている人
  • 知的欲求を刺激してくれる人

を探すと思うのです。

 

「基礎レッスンをやってくれる人」というのは言葉通りなので飛ばしますが、

「注意はしてくれるけど、叱られにレッスンに通っていないと分かっている人」という部分は説明させてください。

 

大人のクラスだから先生が甘いんです

という意見をDMでもセミナー会場でももらうことがあります。

時々、昭和な感覚が残っている先生ですと、

厳しい指導と、怖い指導をはき違えていることがあります。

 

もちろん、

  • 振付を間違ったら、注意してほしい
  • 危険な動きをしていたら、止めてほしい

けれど、それは怒鳴ること、叱ることとは異なります。

 

また、最近疲れててちょっと手を抜いていたら

愛さん、疲れてきても腕が落ちない!

とか指導してほしいです。

 

とはいっても、年齢層からすると昭和な感覚が残っている大人生徒が多いのも事実で、

先生が叱ってくれない、間違えても怒鳴らない。

 

なんて、本来ならば正しい行動が「大人だから甘くしているんだ」と勘違いしちゃう人もいますし、

時間通りにクラスが終わったら「先生、私たち大人は甘く見てるのね!」なんて思っちゃう人もいます。

 

私個人は、家族とのスケジュールがありますので、

レッスン終了時間を15分以上超えたら、次のレッスンにはいかないと思いますが…

 

趣味という素晴らしい世界を忘れない

バレエ学校後、何年もしてから、最初に大人レッスンに戻った時のレッスンは楽しかったです。

またスタジオに戻れたという感謝の気持ちと、

鏡の自分と向き合う心地よい緊張感がありました。

 

でも、その後の私の考えは

  • 上達するためにレッスン数を増やさなきゃ
  • 苦手なステップのエクササイズをしなきゃ

でした。

 

ラッキーなことに、そう考えている自分をすぐに発見することが出来たので

ある意味、客観的に自分のことが見られて面白かったのですが。

 

別に「レッスン数を増やしてはいけない」と言っていません。

苦手なステップを克服したい、という向上心を持つな、と言っていません。

 

ただ、何かおかしいのに気づきました?

 

もう一回読んでみるよ?

でも、その後の私の考えは

  • 上達するためにレッスン数を増やさなきゃ
  • 苦手なステップのエクササイズをしなきゃ

でした。

そう、語尾が「しなきゃ」だったんです。

 

自分のためにレッスンに戻りたいという、Wantからはじまったはずだったのに、

やらなければいけない(Should)になってしまっていたんです。

 

楽しいからレッスンを増やそう!ではなく、増やさなきゃ。

苦手なステップを克服したいからトレーニングをしよう!ではなく、しなきゃ。

これは私がプロを目指していた時のバレエの考え方です。

 

  • 上を目指すために、やらなければいけないことがある
  • レッスンだけでは足りなくて、それ以外の努力をすべきだ

これらがダメなわけではないですが、今年で40歳の私は、人間80歳まで生きるとしてまだ中間地点ですが、

バレエ再開してプロを目指そうとは思っていません。

 

舞台の上で16歳のお姫様になりたいとも思わないし、

毎日レッスン、リハーサル、舞台という生活に憧れはありません。

舞台裏で誰かに運ばれて、楽屋に戻るなんてしたくないです。

 

大人になって、自分で稼いだお金と、自分でやりくりした時間を

大好きな趣味に使うことができるって、素晴らしい、という事実を

再開組は特に忘れたくないと思うんですよ。

 

上手になるためにレッスンに行くのではなく、

楽しみのためにレッスンに行く。

 

運動生理学的に、運動を継続すれば強くなりますから、

自然と上達していきます。絶対に。

 

同じ趣味を持った人達と、スタジオでちょこっとお話する楽しみや、

一緒に舞台を見に行く仲間が出来たり、

年齢や住んでいる場所も、スタジオも違う人達とセミナーを受けたり。

 

こういった、レッスン以外の社会的な刺激や、知的欲求、向上心をもちつつ、健康にもなれる。

素晴らしいじゃないですか!

 

自分で自分のリミットを作らない

昨年、父の70歳の誕生日を祝うために、日本に帰国した際、彼はしきりに

「動けるのはあと5年くらいで、その後は旅行もゴルフも出来ない」

と言い続けていました。

 

その数字がどこから来たのか分かりませんが、

彼の中では、譲れない信念みたいに強く残っています。

 

何度か、じゃエクササイズして、足腰強くしたら?と言ったのですが、そういう努力をする気はないらしく、

大好きな旅行は、出来ない日までのカウントダウンだし、ゴルフで腰が痛いのに、エクササイズは嫌みたいです。

 

  • 健康年齢とはこれだ
  • 腰が痛いのは年のせいだ
  • エクササイズは辛いから嫌だ

というリミット、思い込みがあるみたいです。

 

年齢から考えて、彼の周りの人達が80歳前に動けなくなるのを目にしてきたのかもしれませんし、

昭和世代の彼は、エクササイズは痛いもの、辛いものだから、やりたくない

腰の痛みは我慢すべきだと思っているのかもしれません。

 

もしかしたら、痛くなければ努力しているとは思えない

という考えがある可能性もあります。

娘はこういう仕事をしていて、

機能性慢性腰痛には、エクササイズが効果的だという論文をかざして

日本語訳して、分かりやすく説明していてもこんな感じ。

これは、彼が頑固おやじだというわけではなく、

人間とは、周りが何を言っても、本人が行動を起こさない限り変わらないという証拠だと思います。

 

なので、大人な私たちこそ、特に古い指導を受けてきた再開組は、

こういった、リミットがある考え方が残っていないか徹底的にチェックすべきです。

 

そうじゃないと、せっかく楽しみで始めたのに

  • バレエをやるのに、痩せてないとみっともない
  • 発表会の練習は痛くて当たり前
  • 出来ないのは年のせい

なんて考えてしまいます。

 

こうなっちゃうんだったら、他の趣味をやった方がいいじゃない?

バレエレッスンって安くないんだから。

 

勉強すると考え方が変わる

ちなみにこういったリミテッドビリーフ、つまり考え方のリミットがある人は

父の世代だけではありません。

 

もしもシリーズで、様々な年齢を仮定して考えてきた中全てで、

「勉強すべき」というポイントがありましたが、

継続した勉強は、考え方のリミットを外してくれます。

 

OOはXXだと考えている人は、

生まれつきその考え方を持っていたわけではありません。

 

でも、育ってきた環境、特に周りにいた大人たちと社会からのメッセージで

  • バレリーナは細くなきゃいけない
  • 床でスプリッツが出来ないからターンアウトが出来ない
  • 私は甲が出ない骨格なんだ

という考え方が沁みついてしまったのです。

 

ほら、赤ちゃんは最初から日本語が話せるわけではないでしょう?

でも、周りの人、特に両親や社会、学校が日本語なので、言葉を学んでいきますよね?

 

同じ赤ちゃんでも、オーストラリアに生まれていたら、

オーストラリア訛りの激しい、英語を話す子になることでしょう。

 

遺伝や生まれつきという条件はなく、100%環境です。

 

つまり、自分の環境から抜け出して、新しいことを学ぶと

新しい世界が開けるはずなんですよね。

自分の中では当たり前だと思っていたことが、

全然当たり前じゃなかったことに気づくことが出来ます。

 

周りの人達は日本語を喋っていたけど、

世界的に見たら日本という小さな島国の人しか日本語を話さなかったと気づくみたいな感じ?

 

世界には日本語以外の言葉があるんだ!と気づくためには

英語がペラペラになる必要もなければ、世界に何か国語があるか知る必要もないです。

ただ、世界には違う言葉があるという事実だけに気づけばいいだけ。

 

来週から始まるDLS来日セミナーでは、

バレエ解剖学エクササイズを勉強しますけど、

体の中にあるすべての骨の名前を暗記しなくても、

与えられたエクササイズをグラグラせずに攻略しなくても、

バレエを解剖学の視点で見ることが出来るんだ

こういうエクササイズが、こうやってバレエに繋がるんだ

と気づくだけで、世界は広がります。絶対に。

 

もしも私が、大人になってからバレエを再開するとしたら

しょっぱなからセミナーは行かないと思います。

最初の方でお話したように、オンラインのエクササイズクラスはやるかもしれませんが。

 

ただ、レッスン復帰して数年経ったら

こういった勉強を、自分の楽しみのためにやると思います。

DLSでやるかは別としてね。

 

もしもシリーズを終えて

ということで、2月4回に渡ってお送りしてきたもしもシリーズは、

一旦終了となりますが、いかがでしたでしょうか?

 

4回とも今の私ではない生活を考えてお話しましたが、

やっぱり今の自分が選んだ道が一番好きなようです。

 

論文や参考書を読んで、ダンサーや先生たちに伝えたり

皆の悩みを聞いて、解決アイデアを考えたり。

 

1月に追加された、ライブラリの新クラス「今さら聞けないアライメント指導法」のように

スタジオで見られる1つの問題を深く掘ってみたり。

 

もちろん、明日から東京セミナーでお会いできる皆さん、

再会できる小鬼たち、6年振りとなる大阪セミナーで、

誰かのリミテッドビリーフを変えるきっかけになれたら嬉しいです。

 

既にお申込みをしてくださった皆さん、会場でポッドキャスト聞いてるよ!って教えてくださいね。

このポッドキャストは来日前に事前レコーディングしていますが、

年に1度の来日セミナーのスケジュール、空き情報、キャンセル待ち方法は

www.dancerslifesupport.comからご確認ください。

 

私たちはもしもシリーズの様に、今の知識や経験を

過去の自分に当てはめてあげることはできません。

だからこそ、この人生の中で一番若い今勉強することで

頑固おやじにならないようにする努力や、次世代のダンサー達を正しい方向に導いてあげてください。

 

もちろん、ダンサー達も自分の夢と将来を守るために

一緒に勉強していきましょう。

 

知識が増えても頭は大きくなりませんし、

筋力をつけても、無駄になりません。

2025年の最初で最後のチャンスに、実際にお会いできますように。

 

Happy Dancing!

佐藤愛

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