DLSポッドキャスト epi543 情報過多の時代のダンサーへ

情報があふれる時代、あなたはどう考え、行動しますか?

たった1つのケガの質問から、現代のダンサーやその周囲が直面する課題を掘り下げ、

インターネット上の情報をただ受け取るだけでなく「選び、考え、行動する力」をどう育むかを深く探りました。

あなた自身や大切な人の未来を守るために、今こそ「情報リテラシー」を考えてみませんか?

Transcript

母がポケットベルをもち、父が第一世代のたまごっちを買ってきた子供時代を送った佐藤愛です。

 

この前読んでいた本に、たまごっちの話が乗っていまして、久しぶりに思い出しましたよ。

たまごっち公式サイトによると、1996年11月に発売、いや発見されたということで、

11歳だった愛ちゃんはドンピシャたまごっち世代でした。

 

父がミーハーで、なんでも新しいこと、ものが好きだったので

私と妹が欲しい、と言ったのではなく、彼が2つ買ってきたのがスタートでしたね。

 

ちなみに、現在でも愛パパのミーハー度は変わらず、

雑誌に載ってた、テレビでやってた、などが大好物です。

 

去年日本に帰る際のお土産でどうしても

「T2」というメーカーの「Melbourne Breakfast」というお茶が欲しいと言っていたのね。

近くのお店が改装中だったか、そのほかのお茶にしようか、と言ったんだけど「T2」がいい!と一点張り。

もちろん、探して買ったんだけど、その時に

「お父さん、このお茶、メルボルンって書いてあるし、T2はメルボルン発のお店だけど、お茶自体はメルボルンでは採れないからね、中国かインド産って書いてあるからね、知ってるかと思うけど…」

と伝えました。

そのLine返事は

「俺が知っているわけないよ、てっきりメルボルンかと思っていたよ。わっはっは」

でした。

 

 

2025年2回目のエピソードとなる今日のポッドキャストでは、「情報過多の時代のダンサーへ」がテーマ。

特に2011年~2014年の間に大幅に普及したスマホより、10年以上経った今

ダンサーたち、先生たち、もちろん保護者も知っておきたいことを考えてみましょう。

 

バレエ解剖学が珍しかった時代とスマホ

私がDLSを始めたのは2013年からです。

2012年に個人的に来日セミナーをして、その後にサイトを作って公式オープンしたので、

多くの皆さんがご存じのように2013年8月1日がDLSのお誕生日になります。

 

つまり私が日本でセミナーを始めた時、スマホを持っていた参加者はほとんどいなかったということになるんですね!

もちろん、今ではスマホでDLSセミナーを申込するでしょう?

会場にスマホ持ってきて、一緒に写真撮ってください、ってするでしょう?

 

この何年の間、デジカメで写真撮ってください、と言われたイベントは

プロのカメラマン以外ありませんでしたから。

 

ほぼDLSと同い年のスマホのおかげで、DLSスタート当初はFacebookにブログのリンクを乗せれば

みんなが読んでくれるという形でビジネスが出来ました。

今では、それでは足りません。

 

なぜかって?

Facebook以外に多くのSNSがあり、DLS以外に多くの人たちがバレエダンサー向けの情報を発信しているから。

 

そう、私がスタートした時は、片手で数えられるくらいしか、同業者がいなかったんですよ。

バレエ解剖学なんて言葉はなかったし、それで本が出ることも珍しかったでしょう。

特に、子供用の本、雑誌に載ることはなかったです。

 

バレエ雑誌クララは、1998年に創刊されました。

ちょうど、たまごっちとスマホの間ですね。

 

もちろん、バレエ少女愛ちゃんは、初刊のクララから定期購読し、

クララの裏に載っていた情報でセミナーを探し、

新宿村で行われたバレエ学校のオーディションを見つけたのも、この雑誌でした。

 

時は経て、2022年8月1日に私がクララで連載していた内容をまとめた本

「解剖学バレエレッスン」が出版されました。

ぐるっと一周まわった感じですね。

 

このように、DLSをやってきた12年の間でも、情報量が大幅に変わったのを第一線で感じてきました。

「東京に行かないとバレエ講習会を受けられない」から

「オンラインで、無料で、プロダンサーのインスタライブが見れる」まで。

 

「バレエを全くしらないお医者さんじゃない人から解剖学が学べるなんて!」から

YouTubeで簡単に、ダンサー向けエクササイズが解剖学の模型と共にみられる時代へ。

情報が多くて困っちゃう!という人は多いのではないでしょうか?

 

情報がいっぱいあるはずなのに…

指先から、世界中の情報にアクセスが出来て

言葉が分からなくてもAIが翻訳してくれる時代になったのに

ダンサーはまだ困っているようです。

 

この前来た質問は

「どの病院に行けばいいか分からない」

でした。

 

ケガの名前+だれに見てもらう?と検索すれば、整形外科とグーグルで出てくることを確認しましたが

どうしてネット上の会ったこともない人に、ネット検索できる内容を聞くのでしょうか?

 

その前にあったDMの会話では

「股関節と膝を痛めていて、どうすればいいか分からない。

病院に行くことができないけど、行った方がいいですか?」

でした。

 

それに対して

「もちろん!まずは診断してもらってください」

と答えた数日後、

同じ人から

「足をあげるとき股関節が痛いのですが、原因ってなんですかね?」

とDMが届きました。

 

情報はたくさんあるはずです。

 

トイレの中でも携帯を見ながら、近所の病院を探すことも出来るし、

クリニックの診断時間や、値段、電車の乗り換えまで数秒で確認できます。

 

こうなってしまう原因はどこだろう?

この質問に答えるヒントを、私の義理のお姉さんで、16歳の子供を持つSarahから聞きました。

私たちの時代は、ネットは検索するものだったけど、

16歳の息子は、ネットはソーシャルの場だと理解している。

とのことでした。

 

2008年に生まれたYouTubeとほぼ同期の甥っ子は、生まれた時から携帯があって、ネットが繋がっている。

でも、ネットは友達や家族との連絡の場所であって、ボタン1つでエンターテインメントが届きます。

 

世界中の会ったことがない人が出している情報を、パッシブに、スクロールするだけで見ている生活だけど、

自分が興味をもったことを深く検索する場所ではないようです。

 

この考え方を使ったら、さっきお話した2人のダンサーからの質問の意味が分かります。

私に聞いた質問をその通り、検索バーに入れたら答えがでるのに、

検索機能を使わず、ソーシャル機能を使っていたってことですね。

 

残念ながら、学校では自分で考える力は学ばないし、検索する力も学びません。

だって暗記することが大事だから。

 

暗記するということは、正しい答え1つを覚えるということ。

どうしてその答えが正しいんだろう?と考えることもなければ、

他にどういうアイデアがあるだろう?と検索することもないでしょう。

 

さっきのダンサーの話だけど、もし質問内容が

「股関節のインピンジメントだから安静にしなさいと言われました。

レッスンは全部だめですかね?」

だったら答えが変わります。

 

「膝が痛いから、病院に行ったんだけど、

原因が分からないから様子見てと言われました。

でもバレエは続けたいです。どうしたらいいですか?」

だったら答えが変わります。

 

そう、質問をしちゃいけないとは言っていないんだよね。

 

自分で考えるには知識がいる

愛パパとお茶の話に戻りましょう。

 

新しいものが大好きな愛パパは情報を手に入れるのが早いです。

たまごっちが売り切れになる前に、初期バージョンを2つも手に入れて帰ってきたんですから。

 

そして、彼の時代だったら、というかたまごっちの時代だったら

それは問題がない行動でした。

 

だって、私と妹には調べるすべがなくて、

東京の会社に通勤していた愛パパが見ている世界と、千葉の田舎にいた小学生の私たちでは

情報量が異なって当たり前です。

でも現在は情報が足りないことはありません

 

2025年の私たちは情報を探すことが大切なのではなく、

情報を選択する力と、良い質問をする力が必要なんです。

 

「メルボルンって書いてあるし、メルボルン発のお店だから中身もメルボルンに決まってる!」

という考え方では足りないってこと。

 

バレエって書いてあるし、大きなバレエ団のダンサーだから

この人の言うとおりにやったら、同じように大きなバレエ団のダンサーになれるにきまってる!

 

痩せるって書いてるし、ダンサーたちは細いから

このサプリを飲めば、ダンサーになれるに決まってる!

 

股関節が痛いけど、先輩たちも更衣室で同じことを言ってたから

バレエやるって股関節が痛くなって当たり前なんだ!

 

お茶だったらね、笑い話になるのよ。

ポッドキャストのネタにもなる。

頑張って探し回ったお茶が、実は近所のスーパーで売っているのと同じものだったとしても、

思い出になるだけかもしれません。

 

でもね、大事な生徒の健康だったら、愛する子供の将来だったら

自分の夢をかけて努力する方向を勘違いしていたら、笑い話にはなりません

 

言われたこと、流れてきた情報を鵜呑みにするのではなく、

  • 出典元を調べること
  • 情報と自分の立場に当てはめること
  • 事実と照らし合わせ、情報を選択すること

など、自分で考えて、自分に必要な質問をする力がないと

自分の将来や大事なこと、人を守ることはできません。

 

  • この情報と私のケガは当てはまるだろうか?
  • この人の言っていることは、私レベルのダンサーでも使えるだろうか?
  • 70年代の先生がやっていたレッスンで、21世紀ダンサーでも適応できるのだろうか?

とかね。

 

このように自分で考えて、自分に必要な質問をするためには、

ベースラインとなる知識が必要です。

暗記ではなく、知識、ね。

 

情報過多は言い訳

OOさんがこうやってストレッチしてたから

だったらまだしも、

名前も職業も知らない人が言ってた気がする…?

みたいな情報に踊らされているとしたら、それは情報過多のせいではありません。

 

ケガしてるけど、どの人に見てもらえばいいか分からないから、

放っておいていいかネットの中にいる人に聞いてみる。

としていたら、情報過多の問題ではないですよね?

 

自分で考えず、他人になんでも任せているという

レイジーさが問題です。

それでケガしたなら、あなたの責任です。

 

16歳の甥っ子がそこまで考えられないのは分かる気がするけど、

ネットで流れてきたやつを指導内容にしている先生や

他の保護者が言ってたから…と信憑性をチェックせずに

子供にOKを出している保護者は覚えておいてください。

 

  • 勉強する時間がない
  • 調べる方法が分からない

という言い訳で苦しむのは、あなたではなくって、子供たちだということを。

 

忙しい現代人にとって、時間は勝手に出てきません。

やらなきゃいけないことが、落ち着く日は来ないでしょう。

歴史的に見た時に、物価が下がることはないです。

 

だからこそ、

自分の知識を増やしませんか?

自分で考えて行動出来る子供たちを育てませんか?

 

感覚ではなく、理論的にバレエ上達を考える

SNSで見てくれた人も多いと思いますが、年に1度の来日セミナースケジュールが発表されました。

このポッドキャストをリアルタイムで聞いてくれていたら、お申込みは来週1月15日からです。

 

私は、元バレエ学校専属治療家であり、

解剖学とエクササイズ講師を担当してきた学歴と経験を使って

ダンサー、先生たちへのセミナーを開催していますが、私もオンラインにいる人の1人です。

もし、私のクラスを受けたことがなかったら、自分で調べてみてください。

 

こうやって540エピソード以上出しているポッドキャストで、

「こいつ、本当に分かってるか?」って厳しく見てやってください。

 

5冊出版されている本を見ることも出来るし、

1年以上雑誌に掲載されていたシリーズを読んだり、

特集をチェックすることも出来るはずです。

 

2013年からネットで仕事をしてきたので、

今までやってきた無料ライブや授業の様子がDLSのYouTubeチャンネルから見られます。

 

教師のためのライブラリというオンラインセミナーが無制限で見られるサブスクにも

2週間のサンプルクラスがあります。

 

バレエ団プリンシパルとか、大学病院院長とか、煌びやかな肩書ではないかもしれませんが、

生徒の安全と将来の健康を第一に考えるレッスンが「当たり前」になるように、

10年以上、エビデンスベースのケガ予防と、上達への情報を発信してきました。

 

1つしかない体と、バレエ人生を無駄にしないために、

感覚ではなく、理論的に踊れるように。

 

現在の医療や解剖学知識をベースに、21世紀ダンサーに必要なことを一緒に勉強し、

ネットで目にする情報の真偽を自分で考えられるようになりたいダンサーやバレエの先生は

DLSサイト、www.dancerslifesupport.comから来日セミナーをチェックしてください。

 

リンクが見つからなかったら、自分で調べる方法が分からなかったら

インスタのDMhello@dancerslifesupport.comで教えてくださいね。

 

どのクラスが自分に向いているか分からなかったら、質問してください。

自分で考えて、自分に適した質問をする。

その先は、自分で考えて参加を決めてください。

 

今年の3月に、何が正しいのか分からなくなっちゃった先生や、

正しい方向に努力したいダンサーとお会いできるのを楽しみにしております。

同じことを繰り返していても、同じ結果しか出ない。

 

今ケガに悩んでいたり、伸び悩んでいる子達がいたら、

違うこと、試してみませんか?

 

Happy Dancing!

今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

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