DLS11周年イベントがいよいよ終盤を迎えましたが、
イベントやクラス、ポッドキャストを楽しんでいただけましたか?
私は、競争ではなく共存の考え方を大切にし、仲間と共に成長できる環境を作ることが
ダンサーや人としての成長に繋がると信じています。
今後もDLSの理念に共感してくださる方々と共に歩んでいきたいと思います!
Transcript
梅の木が満開を迎え、桃の木にも動きが見えているメルボルンの佐藤愛より、
夏休みもあと少しで終わりな皆さんへお送りしております。
11周年イベント、あと少しでゴールです
DLS11周年イベントの動画購入期間が明日までとなり、ようやく通常生活に戻りつつありますが、
イベント楽しんでいただけましたか?
クラス、受けて頂けましたか?
ボーナスポッドキャスト、聞いてくれた?
私はというと、今回数年ぶり?に保護者向けセミナーを行いまして、
そこで頂いたコメントや感想を読んでたくさん考えることがあった11周年イベントでした。
このセミナーのアナウンスがきっかけで、昔DLSのキッズセミナーや保護者セミナーを受けてくださった
今はお子さんがバレエをやっていない人や、お子さんが大人になった方からもご連絡を頂きました。
クラスでお話したことが役に立っていること、
それが数年後でも、受講時は小学生が中、高校生になった今でも役に立っていること、
そういう意見を聞けて心がいっぱいになりました。
流行りではなく、データやエビデンス。
甲出しセミナーやターンアウト整体、開脚エクササイズではなく、
あまりにも基本的な、食事・正しいレッスンなどをお話し続けているため、
他のホットトピックをアップする人達と比べると派手さにかけるDLSですが
それでも長期的に誰かの人生を豊かにすることが出来ていると思うと
これからのやる気にもつながります。
ご存じのように、8月1日はDLSのお誕生日だけでなく、
DLS公認スタンスインストラクター1期生がスタートした日にちでもあります。
今年の8月1日も小鬼たちと大勉強会を開くことが出来ました。
実際に、現場で、保護者の悩みを聞いて、ダンサーの悩みを聞いて
改善出来るように活動してしているであろう、この人達、小鬼たちがいるからこそ
私も情報を発信できるように頑張らないと!と思うんです。
バレエの先生は競争相手?
インストラクター、トレーナー、先生という職業は
他の人達が競争相手だと思う人もいると思います。
多分、そのようなエリアはあるでしょう。
同じ駅からの距離で、2つスタジオがあったら、競争相手に見えますよね。
でもね、私はそれだけではないと思う。
その距離なら一緒に出来る様々な事があると思うんですよ。
人数が少ない年齢のクラスを合同クラスにするとか、
発表会の費用を下げるために合同発表会にするとか
ゲストの先生を呼ぶときも、2つスタジオがあったら割安になるでしょう。
生徒側としては、大人数クラスで見てもらえないのではなく
少人数制のクラスを続けられるうえで
ちょっと違う緊張感で出来るクラスがあったり、講習会があったり。
他のスタジオの友達も出来るでしょうし。
バレエやりたいと思っていても、学校が終わる時間の関係上
自分のレベルのクラスに参加出来ないという子がいても、
バレエを辞めることなく、他の場所で出来ます。
先生同士は愚痴も言えるし、衣装や小物も貸し借りできる。
このように多くの良い面があると思います。
インストラクターも同じで、
仲間がいるから出来ることはたくさんあると思うんですよね。
実際に、小鬼たちもこの夏お互いの発表会のサポートやら
講習会のアシスタントやら、
一緒にオンラインでライブにチャレンジしたりなど
忙しく飛び回っている姿を見られました。
鬼の母ちゃんとしても、とっても嬉しいです!
競争の環境で成長するのか?
同時に、数か月前DMに入っていた悲しいメッセージも思い出します。
バレエの先生が、敢えて友達同士を競争相手にしたり、比較する言葉を使い続けたり、
「仲良しなんてさせないから」と言ってきたりなどということがあったそうです。
バレエ団は、ダンサーが集まるところ。
ツアー中だったら本当に、衣食住すべて一緒になる人達。
そのような中で、競争相手だと思って生活しているわけがないのに。
バレエ学校も、一緒に課題の振付を考えたり
作品を踊ったりするため、競争場所ではないんですよ。
私がバレエ学校で働いていた時、
クラスの雰囲気が良いグループはレベルも高かったです。
お互い頑張ろう!と言い合える環境は、人を育てます。
保護者セミナーでもお話した、心理学で使われる「マスローの欲求階層」でも
「所属へのニーズ」という部分があります。
ここにいていいんだ、と思える環境や仲間、友達がいる環境は、
ダンサーの、そして人間のポテンシャルを最大限に発揮できる環境の1つです。
これがなければ、ダンサーは成長しません。
でも、バレエダンサーって競争がつきものではありますよね。
例えばコンクール、オーディション、配役など。
だからこそ、それらが必要な年齢の「前」に、
仲間との協力や、他人との距離の取り方、人間関係などを学んでおくべきではないでしょうか?
そうすれば、1つのオーディションが上手くいかなくても
- お互い応援出来る仲間
- 戻れるスタジオ
- 一緒に再チャレンジする同僚
などの協力体制が出来ているはずです。
ちなみに、ハーバード大学卒で様々な本の著者でもあるマーサ・ベックの言葉に
The way we do anything is the way we do everything.
その人が1つのことを行う方法は、その人が全てのことを行う方法だ
というものがあります。
訳するとちょっとへんな日本語なんだけど、
雑な仕事をする人は、人生の他の部分も雑だろうし
バレエは競争だと考えている人は、他の部分でも全て競争に見えてしまう
ということですね。
だから、バレエの先生が他の先生を競争相手だとみていたら
バレエをやっていないとしても自分の子供と周りの子を比べてみているだろうし
過去の自分と、今の自分を比べてもいることでしょう。
そういう先生の下で育ってしまうと、
スタジオで長い時間過ごしている頑張り屋さんのダンサーにも、
その考え方が身についてしまうのも分かります。
一緒に、より良い世界へ
今年の1月にRADカンファレンス、3月にJADMS学会に参加した時も思いましたが
同じくバレエダンサーを診る治療家やトレーナー、研究者や先生が集まって
一緒によりよい世界の為に協力していく。
それが出来ると早く理想の世界に到達できるだけでなく、
自分自身も気持ちよく生活できると思うんですよね。
ほら、Happyだとダンスが上達するように、
自分自身の生活や仕事環境が良い場所だと、仕事のレベルも上がるでしょう?
今回、11周年記念イベントとして
- ダンサーの食事
- バレエシラバスから読み解くバレエ教育
- 保護者が知っておきたい成長期の体セミナー
- スタジオ内熱中症予防アイデア
を準備しました。
そのうちの2つは、私が信頼できる人と一緒に行ったイベントです。
私からのインプットだけでなく、他の人達の意見を聞くことで
参加者にとっても良い時間を提供できたと思いますし、
私自身も、自分の頭の中を飛び出し、違う視点で物事を考えることが出来ました。
- 考えた事がない方向からの視点
- これでいいんだ、と自信が持てたこと
- もっと情報が必要だと再確認できたメッセージ
など、刺激がありました。
昔、オーストラリアバレエ団のプリンシパルの人と
プリンシパルになってしまったら、その後何があるの?みたいな会話をしていた時、彼女は、
インターナショナルガラなどで
他のカンパニープリンシパルと一緒に踊ったりレッスンすることで、
刺激がもらえるし、もっと頑張れる
と言っていました。
それもあるから、多くのダンサー達が
この夏休みにガラコンサートに出ているのかもしれませんね。
ダンサー達も、他の同業者とのコネクションを欲しているのかもしれませんね。
そして、そこでは誰かを蹴落として一番拍手がもらいたい!というような感情ではなく
自由に自分の大好きなバリエーションを踊り、
多くのダンサーと出会い、
次のシーズンが始まる前に、刺激と一緒に時間を過ごす夏を過ごしているのかもしれません。
私自身、踊っていた時はとても競争心が強かったです。
常にだれかと自分を比べ、
常に自分は誰かに蹴落とされるんじゃないかと思い、
仲間が失敗すると、ちょっと安心したりもしました。
摂食障害はそのように周りが悪だとみてくる傾向があるそうですが、
私の場合、それだけではなく性格的な部分もあったのだと思います。
ラッキーな事に、ダンサーになれなかったから。
他の勉強をし、他の分野の人と出会い、バレエ以外のレンズで世の中を見ることが出来たから
そのような考え方、競争というものの見方が危険な事を知っています。
でもね、さっき挙げた学会の裏話。
昔、DLS初期に何かあるたびにライバルと言うか競争心が見え隠れする人がいたのだけど
その人も参加していたの。
1人で座っていらっしゃいました。
1人がいけない、ってことじゃないよ?
ただ、年齢を重ねて、大人になって、様々な理由で周りの人達はどうしても離れていく一方で、
今周りにいる人達を大事にしないとな、と背中を見ながら考えたのを覚えています。
もちろんそれは、
足を引っ張る人や、時間を経て同じ方向性を向いていないと気づいた人と
無理やり腕を組んで生活しなければいけない!ではないです。
人間として成長すると、
同じ道を歩まない日は来るのでね。
それまでの時間は大切にしたいなとは思います。
競争ではなく共存へ
ポッドキャストの最初の方にお話したように、
ようやく11周年も落ち着いて、次のチャプターに進む準備が出来てきました。
これからも、DLSが皆さんのダンス生活にお役に立ち続けられるように
内側の改革も、外側の改革も、次の来日セミナーのプランニングも始まります。
もし、今の時間をDLSと同じ方向を向いて進んでくださっていたら、
つまりダンサーの安全と将来の健康を第一に考えることが当たり前になるべきだと思ってくださっていたら
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
そして、今日が申込最後の11周年イベント録画も
見逃さないようにしてくださいね!
Happy Dancing!