DLSが11周年を迎えました。
今回のテーマは、ダンサーにとっての「つま先の伸び」と「足の高さ」。
バレエの練習を通じてこれらの技術を育てる重要性について解説します。
特に、成長期のダンサーが健康であることの重要性を強調し、保護者にも知っておいてほしい情報をお届けします。
11周年記念イベントの情報もお見逃しなく!
Transcript
11歳になったDLSより、ポッドキャストエピソード520をお送りしております、佐藤愛です。
昨日、DLSお誕生日にお祝いしてくださった方、
昨日行われた小鬼大勉強会に参加してくれた小鬼たち、
昨日アップしたボーナスエピソードを聞いてくださった皆さん、どうもありがとうございました!
お陰様で、11年目突入ですよ。
11というナンバーは私が個人的に好きなので
この1年、DLSにとっていい年になるんじゃないかと勝手に期待しております。
昔、母がよく地方紙の占いを見ていて、
そんなどうして見ているの?と聞いたことがあったんですね。
そうしたら、気分がいいから、と言っていました。
上位に入っていると嬉しいし、
ラッキーアイテムとか書いてあると楽しいんだって。
小さなことに幸せが見つけられるなら、それって大切だから。
私は11という数字が好きです。
今住んでいる、マイホームの番地が11なので、というとっても簡単な理由ですが。
DLS、11周年を迎えました!
さて、11歳になったDLSは何が変わるか?
いい意味でも、悪い意味でも変わりません。
というか、人によっては逆戻りしていると思うかもしれないけれど、
初心に戻ろうと思っております。
初心とは、どうしてDLSを始めたのか?という部分もそうだけど、
提供する情報もシンプルに、基本に戻ろうと思うし
ナントカ筋がどう、とかそういう話ももちろん大切だけど、
人間としての土台である、健康、つまり食事や睡眠、休息や考え方の部分に
よりスポットライトを当てていきたいと思っています。
ポッドキャスト「エピソード490 実りある1年にするために」でお話したように
今年はfruitfulという言葉をテーマに、実りのある1年にするために
種をまいたり、お世話していきたいと思っていました。
気がつけば、今年も下半期に突入しちゃったじゃないですか。
そのエピソードでもお話したけど、いくら実りがある1年にしたいと言っても、
種から実がなるまでに時間がかかるのは、自然の摂理。
成長が見えないからって、せっかく出てきた芽を引っ張ったら
多分枯れちゃうことでしょう。
だからこそ基礎に戻って
水やり、雑草抜き、日当たりがいい環境、のような
どの植物でも必要な基本を再確認しようと思っております。
ダンサーが執着するつま先と足の高さ
ということで、11周年1発目のポッドキャストのテーマは何か?
それは、ダンサーあるあるのマインドセット
「つま先と足の高さ」について。
足の高さというのは、「股関節の可動域」と言い換えても良いかもしれません。
ターンアウトにも執着するんでね。
- つま先が伸びる
- 膝が入る
- 足が高く上がる
ことが恵まれた体だそうで、バレエ向きの体だそうです。
なので、SNSではこのエリアの投稿がたっくさんありますよね。
ですが、2004年に出版された研究で、ハイパーモビリティの体、
日本語では関節弛緩性とか、関節過可動性なんて言われますが
要は「体が柔らかい人は、ケガするリスクが高い」とあるわけです。
明日から始まる「保護者が知っておきたい成長期の体」セミナーでもお話しますが、
殆どの国が、18歳以上じゃないとプロダンサーの契約が取れないという事を考えると
最低でも18歳まで踊り続けられなければ
どんな体型だろうがプロダンサーになることは無理だと分かります。
が、つま先と足の高ささえどうにかしたら
マジカルにプロダンサーになれる、という夢を売っている人達がたくさんいる。
確かに伸びるつま先&高い足は素晴らしい!
今日のポッドキャストもそうだし、セミナーとかでもそうだけど、
- ダンサーのつま先は伸びなくていいですよ
- 足が低くても問題ないですよ
とは一度もお話したことがありません。
政府認定のバレエ学校で、10年以上エクササイズクラスの担当と
毎年生徒達の身体測定をしてきたんですよ。
「つま先の可動域や股関節の可動域が不要だ」なんて言えるわけがないでしょう。
でもね、ダンサーだけでなく、
周りの大人、つまり先生と保護者に知っておいてほしい事。
それは、
つま先が「伸びるから」レッスンに行くんじゃないし
脚が「上がるから」バレエやるんじゃない。
実はその真逆ですよね。
バレエのレッスン、1時間30分から45分の中には
- つま先を伸ばす練習
- 足を高く上げる練習
が含まれています。
他のスポーツにはない、全ての動きでつま先が床から離れたらすぐに伸ばすという
ある意味、条件反射みたいな能力を
どのレベルでも、初心者クラスからプロダンサーのウォームアップクラスまで
全てで育てています。
しかもルルベのように、
自分の体重を片足で支え、そのうえでつま先を伸ばすという筋力トレーニングも含まれています。
だから、結果としてつま先が伸びるようになるわけです。
足の高さも同じように、タンジュ、ジュッテと徐々に足の高さが上がっていって、
バーレッスンの終わりにはアダージォやグランバットマンで自分の出来る一番の可動域を使い、
センターレッスンでも同じように下から繰り返す。
そして最後のグランアレグロでは、片足だけでなく両足の高さを使うジャンプが出てくるわけです。
つま先が伸びないなら、脚が上がらないなら
このような練習をしていて、つま先が伸びないとか
足が上がらないという問題があったら2つのことが考えられます。
1)練習量が足りない・バレエ歴が足りない
練習量というと、夜寝る時間を惜しんでまで練習しなきゃ、と思ってしまう人もいるので
バレエ歴と同義語でお話していきます。
バレエを始めて3か月だったら、つま先伸びなくて当たり前だからね
バレエを始めて5年だったら、脚が低くても問題ないからね
1か月前の自分、1年前の自分より成長していたら。
ボーナスエピソードでもお話したけど、
皆が言うような「体が恵まれた」ダンサーだけが集まる
ワガノワバレエ学校ですら、8年練習を続けるんだから
「うちの子、週に3,4回レッスンしてるのにつま先伸びないのよね、才能ないのかしら?」
なんて思わないでくださいね。
2)レッスン内容が良くない
いくら長く踊っていても、レッスン内容が良くなければ生徒の筋力は育ちません。
レッスン内容とは、言葉通りレッスンです。
「難しいバリエーションをこなすこと」とは言っていません。
世界各国にいるバレエの先生全員が、
- つま先を伸ばすこと
- ターンアウトをすること
- 足を上げること
は指導しているでしょう。
ということは、その部分の話ではないという事になりますね。
バレエだけでなく、全てのスポーツで使われるトレーニングの原理・原則を考えると
- 計算されたレッスンプラン
- 年齢に合わせたレッスン内容
- 個人に合わせた応用や説明
が必要になってくることでしょう。
ただし、1番を忘れずに!
いくら良い先生だからって、バレエを始めて数年で結果は出ません。
海外の世界トップと言われるバレエ学校でさえ、数年で卒業出来ないんだから。
早く上達したいなら土台が必要
ちなみにバレエシラバスというのは、今お話しているバレエ歴とレッスンプランを考えたものになりますので、
もっとこのエリアを知りたい人は、DLS11周年イベントで期間限定でアンコール視聴が出来る
「RAD VS ワガノワメソッド バレエシラバスから読み解くバレエ教育」クラスで勉強してみてください。
特に保護者の皆さんは、思ったよりゆっくりと進むことが分かると思います。
でもね、シラバスってレシピだから、
料理人の腕がなければ、同じ味にならないので注意が必要です。
その他につま先や脚の高さなど、早く上達したいのならば、
人間の基礎・運動の土台となる健康な体が必要です。
つま先の伸びというのは、自分で使えるつま先の可動域の話で、
足が高く上がるというのは、股関節の可動域とそれを踊りの中で使える運動能力になるからです。
ダンサーに一般人よりも優れた運動能力が必要だとしたら
一般人よりも健康である必要があるという事も分かります。
だって、一般人よりも体を使うのだから。
このエリアは、成長期の体を話すうえで大切な内容ですから、
明日、明後日の「保護者が知っておきたい成長期の体」でもカバーしますよ。
楽しみにしていてくださいね。
つま先が伸びるからダンサーになるの?
こういう理屈を聞いていても、
-
OOちゃんの方が後からバレエを始めたのに、つま先が伸びる
-
XXちゃんは練習サボりがちだけど、簡単に5番ポジションが出来る
と思ってしまう人もいるでしょう。
-
基礎が出来ていなくても、脚があがればコンクールで上位になれる
と思う人もいるかもしれません。
その気持ち、大切にしてあげてください。
だって、好きじゃなかったら、他の人に嫉妬しないでしょう?
大切じゃなかったら、他の人が何してても気にならないでしょう?
なので、自分の中でこういう他人との比較が見つかったら
「私にとって、バレエは大切なんだろうな」
と再確認する材料にしてみてください。
そのうえで、
- 大好きなバレエを長く踊るためには、健康を考えないといけないよな
- 大好きなんだから、より一層自分のレッスンに集中してみよう
と考えてみてください。
必要だったら
- 食事を見返してみること
- 睡眠時間を考えてみること
も大切です。
体を作る材料を入れて、体を作る時間を作ることが出来なければ
レッスンで学んだことが身に付きませんからね。
その他に、特に大人ダンサーは
DLSのボディコンサークルの様にバレエに必要な筋力をエクササイズクラスで育てることで
結果バレエ歴の少なさをカバーするという方法も効果的です。
今日の最初にお話したように、初心に戻る事。
基礎に戻ることは、最高の早道のはずですから。
「でも、コンクールの点数はどうなの?」と気になった方、
私からも質問させてください。
「そのコンクールの結果、バレエ人生を左右するくらい大切?」
ということで、今日のポッドキャストはここまで。
途中でお話したDLS11周年イベントは期間限定ですから、
お早めにチェックするのをお忘れなく。
ではまた来週金曜日のポッドキャストでお話しましょう。
Happy Dancing!