DLSポッドキャスト epi503 ワークライフバランスは存在しないんじゃないか?という話

ワークライフバランスについて考えたことありますか?

今回は、バレエの世界での勉強とパフォーマンスの両立、そして家族や仕事とのバランスについてお話しました。

忙しい時期とリラックスできる時期の両方が必要であることや、シーズンに応じたセルフケアの重要性について、

新しい視点でのワークライフバランスの解釈をお楽しみください。

Transcript

こんにちは、DLSの佐藤愛です。

4月、新学期になりましたね!

このポッドキャストは2月に事前収録はしておりますが、たぶん無事にセミナーが終わり、メルボルンに戻ってきていることでしょう。

 

今月は、セミナーの裏話をポッドキャストだけでお話していきたいと思っております。

レコーディング時点では、まだ申込終了ではないのですが、

今のところ約350人のダンサー、先生、小鬼たちと一緒に時間を過ごす来日セミナーになっていたと思います。

来日セミナー自体は3月1日に東京で行われる、行われた?

教師のためのバレエ解剖学講座からスタートするのですが、

その前にDLS公認スタンスインストラクター3期生の最後の授業と実技試験があり、

アドバンストコースの試験もあり、

東京と札幌セミナーの間では、小鬼合宿もあります、ありました?

 

なんだか、過去形でお話するべきなのか、未来形でお話するべきなのか分からなくなってきました…

今日は来日直前の真夏のメルボルンにいる佐藤愛が、

スーツケースに6週間分の荷物を詰めながら、ワークライフバランスを考えてみました。

ワークライフバランスというと、学生は関係ない感じに聞こえるかもしれませんが、

勉強とバレエの両立という風に見ることも出来ると思いますし、

学生という時間が終ってしまえば、みんな必要になると思うので聞いてみてね。

 

ワークライフバランスの悩み

お仕事と家族とか、自分の時間と家族や仕事との時間とか。

ワークライフバランスで悩んでいる人は多いと思うんです。

特に女性。

 

なぜ女性かというと、日本では特にだけど、多くの国で家事をするのは女性だという考え方が残っているじゃないですか。

お母さんが夕飯作るのは当たり前だけど、お父さんがやると「イクメン」と呼ばれるとか、

お母さんがアイロンかけるのは当たり前だけど、お父さんがやるとインスタのインフルエンサーになれるみたいな感じ。

 

そうは思いません、という方々も多いとは思うですよ。

だけど、「子供の夕飯の支度があるから帰ります」という言葉が女性から出た時は

周りはそっかー、仕方ないねと思うと思うのですが、

男性が同じ言葉を会社で発したら、周り、特に女性から「すごいな!」と思うのですがいかがでしょうか?

なので、私たち女性の立場からも「すごい事」だと思っているのかもしれません。

 

でも今日の話は、見えないワークロードと言われる家事についてや、

日本がジェンダーギャップ指数で146カ国中、125位と2006年の時の80位からどんどん下がっている話がテーマではありません。

大事な話だし、ダンサーの収入や生活基準にとっても大きく影響する部分だけど、今日のテーマではない。

 

ワークライフバランスとは?

バランスという言葉はバレエでも使われますよね。

兼ね合いとかつり合いという意味の言葉だそうです。

ちなみにバランスをとる=ポーズで止まると思っている人は、バランスについて再度考え直してみましょう。

 

止まる事、固める事をバランスをとるとは言いません。

ということは、仕事と私生活の

  1. 兼ね合いをつける
  2. つり合いをつける

ことがワークライフバランスと言うという事になりますね。

 

そしてね、これは私無理じゃないかと思うんです。

大きな目線では可能だけど、みんなが思っているような兼ね合いではないと思う。

 

どういう意味かというと、

発表会の前だったら、忙しくなってしまって当たり前だし、

セミナーで勉強したいなら、いつもは家族の時間の週末に家を空けることになると思う。

逆に卒業式があったら、その日のレッスンは代講を立てるでしょう。

なのでいつも50:50、いい感じでバランスというのは無理だと思います。

 

だけど、長期的な目線で

発表会の前は忙しくなってしまってしまうから、3か月前から自分の時間を多めに確保するようにスケジュールしておくとか、

発表会が終ったら、2週間お休みをとるとか計算して、

1年のスパンでみたらバランスが取れているようにすることは可能かもしれません。

 

セミナーで勉強したいなら、いつもは家族の時間の週末に家を空けることになる場合、

家族と一緒に居られる時間は100%集中する。

携帯を見ないとか、一緒の部屋にいるようにするなど意識することも大切ですよね。

 

バランスというのは比重ですから、時間の長さではありません。

週末、ほとんど会話もなく、携帯みているか、ネトフリばっかり見ているのであれば、

週末にセミナーに参加しても問題はないでしょう。

 

私の場合は、来日中はいつもに増して忙しいです。

いつもだったら、日本との時差もあり朝ジムに行ったり、泳ぎに行ったりできますが、

セミナー会場への移動時間も、会場準備もあると、たとえクラススタート時間が10時でも

その何時間前から支度をする必要が出てきます。

 

この時期に、ライフワークバランスを保とうとするのは不可能です。

そんなことしたら、よいクラスを提供できなくなってしまう。

ただ、この時期が忙しいと分かっていれば、対応出来る確率は高くなりますよね。

過去のエピソードでもお話したように、来日かなり前から体力づくりをしてみたり

来日スケジュールの中で、忙しい日が続く予定だから、事前に休みの日はカバーしておいたり、

もちろんオーストラリアに帰国してから1ヵ月はゆっくり目ペースで仕事をする予定になっています。

 

愛さんの失敗話

昔は、来日セミナーは朝から晩までツメツメにしていたんですよ。

食事をする時間がない事を自慢しつつ、毎日複数のクラスを指導していました。

ダンサーをサポートするという名目には嘘はなかったし、

バレエ学校のホリデー中にしか来日出来ないから、時間も限られていたし。

でも、正直なところダンサーをサポートしたいという気持ち「だけ」ではなかったと思います。

 

忙しくすることが偉いと思っていたし、

必要とされることが、価値があると思っていました。

忙しくても充実しない毎日もあれば、

目が回る程忙しくなくても、充実した一日を過ごすことも出来る。

この事実に気づいたのはパンデミックあたりだったと思います。

 

2019年末に大きな手術をして4週間で日本に戻る、なんて

健康な生活がどーの、と言っている人間らしからぬ生活をしていましたが、

2020年1月の来日を最後に、オーストラリアは鎖国状態になりました。

そしてようやく気付いたんですね。

 

ほぼスマホを見ているのに、長い時間家族といなきゃいけない、と思い込んでいる人がいるように、

1分もムダにせず、指導するのが偉いと思っている先生がいるように。

私もその1人でしたから。

 

そして、ワークライフバランスをとろうと頑張ってみましたよ。

50:50で出来るように調整してみましたよ。

でも無理でした

 

さっきお話したように、忙しい時期と、そうでない時期がある

それが人生のシーズンですよね。

そして、山あり谷あり、という道を平坦にすること、平均値の中にだけ存在すること、

普通として生きることが、ワークライフバランスなわけがないよね、と気づきました。

 

人生のシーズンを理解する

今年最初のエピソード、エピソード490 「実りある1年にするために」でもお話したように、

私の今年のテーマは「収穫」、正確には「収穫するための行動をとること」です。

そのエピソードでもお話したけど、シーズンによっては

種を蒔く時期だから、成長が見えない時期もあるし、

冬の様に、お休みの時期もある。

 

四季をなくし、「毎日同じ気温で生活しましょう!」だと桜の美しさや、青葉の光、

葉っぱの色が変わってくる時期や、冷たいピンとはった空気などの違いや素晴らしさを感じることが出来ないでしょう。

だからきっと、人間にも忙しい時期と、そうでない時期の両方が必要なんだと思います。

 

問題は、

  • 忙しい時期が”普通”になってしまうこと。
  • 忙しい時期が偉い、と思っていること。

もしくは、

  • 全てが均等にできる事がバランスだと思ってしまうこと

なのではないでしょうか。

 

日本を離れて生活している私が、日本に戻る度に

素晴らしいところ、改善が必要なところが分かったり、

家族や昔からの友達の絆を再確認するように、

外にでて勉強したり、体験したり、離れたりするからこそ

大切にできるもの、成長できるもの、見る目が育つものというのがあるのだと思います。

 

両立ではなく、シーズンと考えてみたら?

今日のポッドキャストは、エビデンスベースのどうのこうの、とかバレエ指導のポイントとかではありませんでしたが、

バレエ歴や職業に関係なくぶつかる「両立」の壁について

ちょっと違う目線で見られるヒントになっていたら嬉しいです。

 

そして、両立しなきゃ!と考えるのでなく、

  1. 自分が今どのシーズンにいるんだろうか?と考えること
  2. このシーズンに必要な事に100%向き合うためには何がいるのか?を考え、行動に起こすこと
  3. 次のシーズンに向けて、どんな準備や計画が必要なのかを考える事

ができたらいいんじゃないかな、と思います。

 

ダンサーにも見られやすい燃え尽き症候群も、

対策は、練習しない事ではありません。

年齢に合わせた練習時間、内容はもちろん前提ですが、

どこで休むべきか、どうやって休むべきかを理解し、準備することで、

予防できるように、もしくは軽度で済むようにすることが対策ですよね。

 

 

ということで、今日のポッドキャストはここまで。

来週からは、メルボルンに戻った、セミナー後の私がお届けすると思います。

2月の私からは、セミナーでお会いできるのを楽しみにしております。

今、このポッドキャストを聞いてくださっている皆さんの時間だと、セミナーに来てくださってありがとうございました。

来週は文法に困ることなく、お届けできるかと思います。

 

4月いっぱいは、日本で感じた事、学んだこと、疑問に思った事や壁など赤裸々にレポートしていきますので、

今のうちに携帯のポッドキャストアプリからDLSポッドキャストを登録しておくのをお忘れなく。

YouTubeでご視聴されている方は、チャンネル登録と、通知ベルをオンにしておいてくださいね。

 

Happy Dancing!

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