思春期の理解ちゃんとできていますか?
思春期は身体的な成長だけでなく、認知や感情、社会的な発達も重要な時期です。
思春期ダンサーの心と体の変化を理解し、レッスンでの支援方法や注意点、スタジオに導入できるアイデアをお話しました。
大人が理解し、適切なサポートを提供することで、ダンサーの健やかな成長と夢の実現を応援しましょう。
Transcript
こんにちは、DLSの佐藤愛です。
今日のポッドキャストでは、思春期についてバレエの先生&保護者が知っておきたいことについて、
The Dance health Alliance of Canadaの資料と共に見ていきたいと思います。
実は、思春期ダンサーというテーマをより深く掘り、心と体の変化を理解しながら、
どうやってレッスンでサポートしていくか、何に気をつけたらいいか、どんなアイデアをスタジオに導入できるか?
を考えたシークレットライブが2月に行われていました。
シークレットライブとは、DLS教師のためのライブラリ1年会員さん達だけが参加&録画に1年間アクセスできる授業のことね。
その授業から1ヵ月半が経った今、復習のためにもポッドキャストで少しだけカバーしたいなと思ったんです。
ライブラリ1年会員の皆さんは、録画に1年間アクセス出来るようになっていますから、
見逃してた!という方から、今日のポッドキャストを聞いてもう一度復習しておきたいなと思った人は、
特設サイトからご確認くださいね。
2024年1年アクセスが出来るため、今からライブラリ1年会員になる人もアクセス出来ますよ。
でもその話は今は置いておきましょう。
知識があれば、サポート出来るダンサーが増える
バレエ学校で10年以上12~20歳くらいの子達と仕事をしてきた経験から、
私は思春期の子供達と上手く向き合えてると思っていました。
ところがシークレットライブの準備のために、リソースペーパーを読んでいたら、
学校で働いていた時にこの知識があったら、もっと良くサポート出来る方法があったかもと気づきました。
“知識があれば、サポート出来るダンサーが増える。”
様々なセミナーやライブラリクラスでもお話していますが、
ケガだけでなく、今回の様に人間の成長過程を理解すれば、
サポート出来るダンサーが増えるという事でもあるんだな、と再確認しました。
ちなみに、私の旦那は中学校の音楽の先生なんですが
彼の学校の生徒達はほんとうに思春期特融のやんちゃぶりで大変なんだそうです。
バレエ学校に来る子達は、
- 自分がやりたいことが分かっている
- ある程度お金があり、良い教育を受けてきやすい
- 小さい時から、先生の言う事を聞くようにしつけられている
などの点から、普通の学校と比べ「指導しやすい子達」が集まっているんですよね。
もちろん、日本の場合は普通の学校でも
- 先生の言う事を聞くようにしつけられている
の部分は良く出来ていると思います。
でも今日の話はそこではないので、思春期の話に戻しましょう。
思春期と成長期の違い
まずは、思春期という言葉の定義について確認していきましょう。
だって成長期とどう違うの?と思う人もいますよね。
思春期とは10ー20歳初頭までの時期をさすそうです。
成長期とは体の成長する時期を指すため、正確には0歳から大人まで幅広く指すそうですが、
多くの場合は第二次性徴をさすため、
- 女性の場合10~14歳くらいから20歳まで
- 男性の場合12~16歳くらいから20歳まで
を指すそうです。
数字で見ると、成長期と思春期ってほとんど同じじゃない?と思いますよね。
成長期は身体的な成長の時期のこと。
ですが思春期は体の成長だけでなく、認知、感情、社会的な発達が進む時期と分けて考えることが出来るそうですよ。
ということは、思春期とは人間として大切な
- 体の成長
- 心の成長
- 社会での立ち位置や考え方
- 周りの人間との距離や関係
「も」成長する時期だという事なので、1人の人間として成長する大切な時期だと言えますね。
人間としてとても大切な時期だからこそ、
上手くサポートしてあげればいい人間になるだろうし、そうじゃなかったら…ねぇ。
初期思春期(10-14歳)
シークレットライブでもお話したのですが、なんでだかリサーチ系、ケガ系、病気系は3段階に分けるのが好きみたいで、
思春期も初期、中期、後期と分かれるそうです。
初期思春期とは10-14歳の子達。
この時期はプロダンサーになりたい!と言っていても、
夢を叶えるためには、継続的な練習やトレーニングが重要だという理解をするのが難しいとされているそうです。
また、仲間との比較や自分の身体的な違いへの懸念が生まれる時期でもあるそう。
このデータから先生&保護者が理解したいのは、
プロダンサーになりたいという夢を口に出していても
「努力をしていないように見える」可能性があるかもしれないということ。
それは、彼らが中途半端な気持ちなわけではなく、
まだどのような行動が必要なのかを理解するのが難しいだけだという事が分かります。
つまり、周りの大人たちがサポートしていく必要があるという事ですよね。
(サポートですよ、大人の夢を押し付けるわけではないですよ)
また、身体的な違いへの懸念が生まれる時期だからこそ
- ダイエットについて言わない
- 他人と比較するような言葉を言わない
- 体型について言わない
は絶対でしょう。
- 発表会の為に絞りましょう
- OOちゃんは、もう出来ているのに…
- あなたの太ももは~
等の言葉を言わないってことね。
ブログのアーカイブに「何を言わないか?の大切さ」という記事があります。
「言わない」だけでいいの?「言わないってどういうこと?」と思った方は、そちらも一緒に読んでみてください。
皆さんがこのポッドキャストを聞いてくださっている時には、私は無事にメルボルンに戻っているはずですが、
いくつかのセミナークラスでもお話したように、勉強した後最初にやるべきことは
「何を辞めるか」の部分です。
新しい事を取り入れるのも大切ですが、
もうすでにタンスがいっぱいだったら、いくら体にあったお洋服を買っても収納できませんよね。
まずは、不要なものを抜く作業が必要です。
そして指導者の場合、使えるツールは言葉ですから
「何を言わないか」をしっかりと判断する事は、最初の1歩になるはずです。
中期思春期(14-16)
中期思春期は14-16歳の子達、この時期は中学生に当たりますね。
ここらへんで反抗期かしら?と思われる行動が出てくるダンサーもいるのではないでしょうか?
- 独立心を身につけ、よりリスクが高い行動に惹かれる事がある
- 感情の反応性と感受性が発達し、自分が誰なのか?という意識がはっきりとしてくる
- 親に頼るより、友達に頼るようになる
- ゴール設定や何をするか?などの行動を決める時に、仲間の意見や行動を基準とする
そうです。
だから、反抗期っぽい態度になってしまうんですね。
そしてそれは、健全な成長の過程ともいえるかもしれません。
先生&保護者が知っておきたいことは、
この時期は周りに誰がいるか?が大切になってくるということ。
友達に頼ったり、友達や周りの人の行動を見て、自分の行動を決める時期ですから、
- 体型について色々言っている人達がいる
- へんな(流行りの)ダイエットが好きなグループ
- 痛いのは努力、ケガは自慢
というような友達、先輩、バレエスタジオの雰囲気だと、残念ながらいくらDLSで勉強しても上手くいきません。
保護者は、子供たちの安全を守るために、間違った事をしているスタジオを辞めて、他の場所を探すのも大切になってきます。
勉強していない先生の元には、その先生の下で育ってきた先輩がいることでしょうから。
ちっちゃい時は「可愛いね」で終わっていたかもしれませんが、
思春期になり体型が変わってくると、先生の態度が変わってくることも良くありますし、
自立と放棄を勘違いし、中学生を大人扱いのようにしていている先生も少なくないでしょう。
中学生は確かに、身長が伸びたり、体が変わったりしてくる時期だけど、まだ子供。
成長期の目線、つまり先ほどお話したように身体的な変化だけにスポットライトを当てても、
この時期は一番ケガをしやすい時期でもあります。
もちろん、自分たちで先生に立ち向かう事は出来ないし、
周りがストレッチばっかりしている中でウォームアップを行うのは勇気が必要でしょう。
もしくは、残念ながらイジメの対象になってしまう可能性もあるかもしれません。
しかもスタジオに送り迎えしない年齢にもなってきますよね。
なので大人がしっかりと見たり、話を聞いたりしてあげてください。
とはいえ、話をしたがらない年齢かもしれませんが、
今までと違う行動や、バレエへの向き合い方が変わってきたら気づくかと思います。
先生は、スタジオの雰囲気、規約、バリューをしっかりと決めておくことで、後輩たちが辞めない環境を整えてください。
- 学校も大変だと理解して、時間通りにクラスを終わらせる
- 試験で休む子がいても、文句を言わず応援してあげる
の2点は大切になると思いますよ。
特に2つめ。
休んだら文句言われるなら、バレエを辞めるでしょう。
学校は辞められないから。
そして先輩が辞める姿を見ていると、後輩は「この年齢になったらバレエを辞めるんだ」と理解してしまいます。
シークレットライブや、教師のためのライブラリは先生サポートのために行っています。
先生サポートというのはもちろん、ビジネスの面も考えるという事。
そのため、生徒が辞めないように努力するのは非常に大切ですよね。
レストランでも、近所のスーパーでもお客さんに戻ってきてもらえるよう努力しているでしょう。
「先生」とは呼ばれていますが、バレエの先生は生徒がいなかったら成り立ちませんものね。
後期思春期(16-24)
後期思春期は16歳から24歳までという広いエリアをカバーします。
日本では20歳で成人という考え方がありますが、体の成長の観点からはそうではない。
骨だけ見ても、成長が終わっていない骨が数多くあるんですよ。
後期思春期のポイントとは
- 自分のバレエのレベル、そしてバレエとどのように向き合っていきたいかについて、より現実的な目標を立てることが出来る。
- 行動を決める際に、未来のことを考える傾向があり、バレエよりも学業を優先する傾向もある。
そうです。
だからこそ、この年齢になるまでの間に
- 良いレッスンプランで、継続的な上達が見える
- ケガがない(少ない)ため、バレエ向きじゃないんだ、と諦める理由を減らす
- 出来ない事があっても、「今」出来ないだけで、成長している事を伝える
というようなレッスンを提供する事で、彼らが
- バレエを諦めずに済む環境
- 自分は向いていないんだ、と勘違いしない考え方を
指導してあげてください。
私がバレエ学校を卒業した時、校長先生からもらった成績表に
愛がバレエの道を諦めてがっかりだ
というような言葉が書いてありました。
担当の先生ではなかったけれど学校の先生が、
舞台の後に愛は素晴らしいダンサーだと言ってたよ、とその先生の旦那さんから聞いたこともあります。
それを読んだ時、聞いたときにがっかりしたのは私です。
だっていつもレッスンではターンアウトしか注意されないし、
ケガばっかりで迷惑をかけていたと思っていたし、
痩せなさいと言われ続けて、バレエ向きではないんだと思っていました。
でもこの一言を読んだら、こういう言葉を聞いたら、先生はそうは思っていなかったみたい。
辛い思いをしていた時に、こうやって声をかけてくれる先生が一人でもいたら、バレエを辞めなかったかもしれません。
もしくはもう少しハッピーな気持ちでお別れしていたかもしれません。
ただでさえ、体も変わるし、社会的な位置(子供 から大人への責任など)も変わるし、将来も決めなければいけない。
そんな大変な時期だからこそ、私たち周りの大人が理解し、知識を身につけ、
彼らをサポート出来るようなレッスンや家庭環境、そして言葉がけが出来るようになったらいいんじゃないかなと思いながら、
今日のポッドキャストをレコーディングしてみました。
もっと勉強したい人へ
今日お話したトピックについて、そして成長期という時期の骨や筋肉の成長スピードを含め、
どうやって10歳から20代前半の生徒達をレッスンでサポートしていくか?
何に気をつけたらいいか、どんなアイデアをスタジオに導入できるか?
を考えたシークレットライブの録画は2024年1年間アクセスが出来るようになっています。
去年のシークレットライブ動画はもちろん、
5月のシークレットライブのテーマは「コンクールに出る前に知っておきたい事、準備しておきたい事」。
こちらのクラスも受けたい人は、ライブラリ1年会員にお申込みくださいね。
現時点での年会費は、53990円。
この中には、ライブラリ内全てのクラスに無制限アクセス出来るほか、
今日お話してきたシークレットライブに年に4回無料ご招待があります。
セミナーの先行予約や、シークレットリソースとして、ミニeBookなども手に入るんです。
アクセスできるクラス数が増えるため、ライブラリの値段は定期的にアップします。
でも1度ライブラリ会員になったら、その時のお値段のまま更新が出来ますから、
将来の自分にとっても、生徒にとっても嬉しい投資になるはずです。
お申込みはDLSサイトよりライブラリをチェックしてくださいね。
ということで、今日のポッドキャストはここまで。
4月のポッドキャストでは、セミナーの裏話や赤裸々暴露などをお送りしますので、
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ではまた来週のポッドキャストでお話しましょう。
Happy Dancing!