厳しいレッスンじゃないと上達しない?

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伝統あるクラシックバレエ。

先生に怒鳴られながら、体中の痛みを押し殺し、毎日夜遅くまでのレッスンを乗り越えてきた人だけがプロとして舞台の上で輝ける…

と思っている方は、この記事を読んで考え方を改めましょう。

 

臨床心理学のエビデンスをベースに、生徒が上達するレッスンについて考えていきましょう。

 

厳しいレッスンじゃないと上達しないのか?

厳しいレッスンが必要な時もあります。

が!

怖いレッスンは上達を妨げます。

 

 

  • 怖い=恐怖や不安を引き起こすことを表現する単語
  • 厳しい=物事や状況が非常に厳格であることや、要求や規則が厳しく守られることを示す単語

 

安全の為にも、規律を守ることは大切だし、

徹底した基礎への要求はバレエスタジオに必要です。

 

でも

  • 失敗すると怒鳴られる
    ケガの事を伝えたら怒られる
    レッスン中に露骨に無視される

という心理的状態で「しか」練習出来ない場合、

その環境でアーティストは育つのでしょうか?

 

答えはNOです。

 

     

    恐怖を感じる環境ではダンサーは育たない

     

    「どうせ怒られるから」と考えるダンサーの意欲は低下します。

    そりゃそうだよね、もっと怒られたいからレッスン行きたい!という人、いないでしょ?

    「失敗したらどうしよう」「失敗すると怒られるから怖い」というダンサーは

    挑戦、つまり自分を成長させるような行動を避けるようになります。

    だって、今の自分を守らないといけないから。

     

    毎回のレッスンで「私、やっぱりダメなんだ」と感じるダンサーは

    自己肯定感が低下しますし、「やっぱりダメだから、バレエ辞めよう」と思うことでしょう。

    つまり、生徒のレッスンを続ける意欲を損なってしまうことに。

     

     

    怖いレッスンは脳へ悪影響

    意欲、メンタル部分だけでなく、このような恐怖におびえるスタジオ環境は脳の働きにも悪影響を与える可能性があります。

     

    先生に叱られる!怖い!と思うような環境に置かれると、人はストレスを感じます。

    ストレスを感じると、人間の体は自分を守るためにコルチゾールというホルモンを分泌しますよね?

    コルチゾールは、短期的にはストレスに対処するのに役立つんです。

     

    なんだけど、長期的には脳に悪影響を及ぼします。

    海馬のサイズが縮小するため、

    • 記憶力の低下
    • 学習能力の低下
    • 認知機能の低下
    • うつ病や不安障害などの精神疾患のリスクの増加

    などが報告されているそう。

     

    という事は、

    • スタジオで先生に怒られ、怖い思いをしている(ストレス)→
    • 記憶力、学習能力が低下するため、振付や注意を覚えられない→
    • もっと怒られる→
    • ストレスが続く…

    という悪循環の元、練習をしているダンサー達がいるってことだよね。

     

    こんな環境で、上達すると思います?

     

     

     

    出典元:

    The Effects of Psychosocial Stress on Memory and Cognitive Ability: A Meta-Analysis

    Stress, Cognition, and Human Performance: A Literature Review and Conceptual Framework

    生徒が成長する環境作り

    では、具体的にはどんなスタジオ環境を作ればいいでしょうか?

    ストレスフリーで、好きな事だけ、出来る事だけやっていれば上達するの?

    答えはNO。

     

    こちらの研究によると、生徒が伸びる環境とは「促進的な環境」だそうです。

     

     

    促進的な環境とは、人が成長や発達を遂げるために必要な条件が整えられた環境のことです。

    具体的には、DLSではなーんどもお伝えしている安全で安心できる環境

    心も体も安全でないと、成長もしないのよ!

    という事をベースに

     

    • 彼らのレベルに合ったクラス内容(安全+個性の理解)
    • ちょっとチャレンジになる要素もある(学習意欲)
    • 先生のサポート(応援、支持)がある=適切な指導が受けられる

    が生徒を上達させられる環境となります。

     

    安全な環境って何?と思った人はライブラリのSafe Dance Studioを勉強しましょう。

     

    簡単すぎる、単調なクラスをやっていればOKでもないし、

    なんでもかんでも、先生が”お世話”しちゃう環境でもありません。

    代行サービスと生徒サポートの違いについての記事はこちら)

     

    もちろん、難しいテクニックをやったり、バリエーションを何度も繰り返したからといって

    上達するわけではない事を理解しましょう。

     

    先生が指導したい!と思える生徒になるために

    今日のブログを終わらせる前に、ダンサー達へのメッセージも残しておきます。

     

    いくら良い環境を先生が整えてくれても、

    上達する生徒にならなければ、宝の持ち腐れ。

    自分で出来る上達の方法と、該当するブログリンクもつけておきます。

     

     

    先生と生徒の関係も、人間関係。

    自分が相手だったら、どういう人と一緒にいたいか?を考えてみましょう。

     

    バレエスタジオが、

    生徒も、先生も寄り添い合える環境になりますように!

     

     

    Happy dancing!

     

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