最近、バレエママさんたちからメールをいただく事が多くあります。
なのでDLSでは「悩めるバレエママシリーズ」として、ダンサーの卵サポートセッションというセミナーも作りました。(2021年5月現在、ケガしたお子さんがいる親御さん向けの企画も検討中です。)
ダンサーの卵サポートセッション(通称卵の会)は、実際にダンサーの生活をお話したり、年齢別に何が必要かを考えていくセミナーです。
留学について書いた記事はこれの発端でした。
留学させるかさせないか、というのはダンサーだけの決断ではなく、家族全員が決断するからです。
ダンサーの卵を持つ親の悩み
この子はプロを目指したいと言ってはいるが、どこまで踊らせてあげるべきか。
学問と夢のバランス。
そして留学とかいろいろ壁があるけれど、どこまで手助けしてあげられるのか。
子供の痛みは親の痛みです。
子供が悔しくって泣いているのを見て、心の痛まない親がいるでしょうか。
それでも彼女が選んだ道。
涙を惜しんで背中を見守りつつ、カロリー計算したお弁当を作ってあげるのでしょう。
でも親の応援が「自己満足な応援」になっていると、残念な結果になります。
- 子供は踊りが楽しくって踊っているのに、プロになりたいと勘違いし押し続ける人。
- 年齢がとっても浅いのに難しく、長時間のレッスンばかり受けさせる人。
- 他の子やバレエスタジオと比較し、必要のないダイエットとかネガティブな事ばかり言いつける人。
- コンクールに出ないと、ポワント履かないと、と焦る人。
日本だけでなく海外でもこういう親はいるんですが、日本の方が多い感じはしますね。
バレエ人口が大きいからか、幼いころからの習い事が多いからか、
幼いうちに、受験などほかのプレッシャーがあるからか。
ま、こういう人を私はステージママ、と呼びます。
毎年絶対1人はステージママのせいで踊ることを辞める生徒を見ていました。
原因はいろいろだけれど、ネガティブに影響することには変わりありません。
でもね、彼女たちは子供を愛していて、助けてあげたくって行っているんです。
悪気があるわけでは全くないの。
ただ行動がマイナスな方向に働くことはたくさんあります。
これは教師にも言える事ですし、バレエ友達にも言える事です。
私を含める治療家もそう。
(あー自分で書いていて耳が痛い。ん?読んでいるから目が痛い?)
ダンサーをどこまでサポートしてあげるか?
どこまでサポートしてあげるか。
どこで線引きをするか。
残念ながら正解はありません。
子供だけでなく、ダンサー、人間は一人一人違います。
そして感情は生もの。
法則があればいいんだけれど、そうではない。
同じ注意でも、タイミングや精神状態によって受け取り方が変わってしまうでしょう?
ひいてはティーンエイジャー!
ホルモンは飛び回っているし大変です笑
でも、10年以上バレエ学校で様々なバレエママ+子供セット、そして日本でも毎回来日や毎日のSNSの質問などで気づく点がいくつかあります。
バレエの世界を知ってみる
- 幼い頃からのトウシューズレッスンは、大きなバレエ学校(ロイヤル、ABTなど欧州、そしてワガノワも!)では認められていません。
- そのようなバレエ学校の生徒達は先生に勧められない以外、小さなコンクールに出ません。
- オーディション用紙にコンクールの履歴を書く場所はありませんし、インタビューでも聞かれません。
このようなバレエ界では当たり前の部分はお母さんたちは知らない事が多いです。
そして残念ながらバレエの先生も知らなかったりします。
特に海外に出たことがない人は。
また、体型についても色々と聞かれますが、
- 巷で話題のダイエットは成長期の体用に作られていません。(ダイエット業界はビジネスです)
- ダイエットするから体が飢餓状態になり、貯めようとするんです。
- 無理やりストレッチはケガのリスクを上げ、バレエを諦める原因になるかもしれません。
- 成長期の体は横に伸びないと縦に伸びません
など、親としてだけでなく、1大人として知っておきたい事はカバーしておきたいですね。
だって、結局ダンサーだって人間であることには変わりないんですもの。
ダンサーだからって特殊なことをしているのではなく、
人間が、ダンスを職業に選択した、
という事実を忘れたくないですね。
DLSではそういったバレエ界の話(日本&海外)や、スポーツ医学などの情報を無料で提供しています。
是非ブログを読んで、本を読んで勉強してみてください。
質問があったら、SNSで行われるライブなどで質問してください。
ポッドキャストでもリスナーさんの悩みに答えています。
これら、全部無料ですから。
子供の進学校リサーチしますよね。
子供が友達と旅行に行きたいって言ったらチェックしますよね。
子供がなりたい、っていうバレエ界をリサーチするっていうのはそういった感じ。
バレエレッスンには口を出さない
お母さんはバレエの先生ではありません。
スタジオでも怒られ、お家でも怒られ、ダブルアタックしなくていいんです。
態度に出さなくても、子供達は何かがいけない、って事には気づいています。
バレエは厳しい世界です。
愛さんがそう言ってたからお家でも厳しく!
では子供の居場所がなくなってしまいます。
厳しい、は先生に任せてください。
お家では肝っ玉母さんを演じていてください。
たとえ、本音はバレエの事分からんから、これは大丈夫なのか?と思っても笑 表面ではどっしりと構えてあげてください。
よくない役っていうのはありません。
バレエは総合芸術ですから、舞台装置でさえ大切です。
よって、端で踊っている=才能がない、でもありません。
ただ、身長順ってこともよくあります。
だからそういうところで子供がブーブー言っていても、
貴方がやりたいことなんでしょう、与えられたところで、自分が出来る最高をやってきなさい、
って送り出してあげてください。
そうすることで、
真ん中で踊ればいいんでしょ、
っていうナルシストダンサーが減ります。
職業として踊っているダンサーでも、一生真ん中で踊れない人はたくさんいます。
そういう世界なんです。
話を「聞く」
愚痴でもいいし、悩みでもいい。
ジャッジメントをしないで、ただ「聞く」という事は難しいことですが、
そこから彼らの本音を聞き出してあげましょう。
もしかしたらただ、言いたい「だけ」かもしれません。
本人は何をしないといけないか?を知っているけど愚痴りたい「だけ」かもしれません。
もちろん、バレエの先生も人間ですから、相性が合う、合わないっていうのがあるので、
バレエが嫌だ、
ではなくその先生と合わない、
っていうのは十分あり得ます。
その場合、どっちが悪いとかでなく、ご縁がありませんでした、でいいわけだよね。
ただ、危険信号はあります。
例えば
- 先生が無理やりストレッチをしてきた
- レッスン中に痛い事、怖い事をされている
- ケガしているのに休ませてくれない
- 長いリハーサルで休憩をくれない、もしくは水を飲ませてくれない
- レッスン中にケガしたのに無視された
- スタジオで体重を測られた
- 発表会前に痩せなさいと言われたとか、痩せないと役から落とすわよ、といわれた
など。
ちゃんと勉強している先生だったらやらない事、っていうのがあります。
無理やりストレッチとか、水分補給とか、頭ごなしに怒られるとか。
体罰ですからね。
レッスン中のケガを無視する、というのはお金を払って子供を預けているのだから赤信号です。
もちろん、子供がふざけていてケガするっていうのはあります。
ケガしたのが先生のせい、って言っているのではないです。
でも、ケガした子がいたら放っておきません。
痩せないと役から落とすわよ、はパワハラです。
ただ!
そうはいっても私も10年以上バレエ学校で10代の子達と過ごしてきました。
この子達は、時々嘘をつくことがあったり、話を盛ったりもします。
だから子供100%善、バレエの先生100%悪って言っているわけではないです。
話を聞く、必要ならばバレエの先生にも相談する、など手を打つことが出来ます。
実際にDLSに来たメールで、
先生が罵倒し続けるため、笑顔で踊れなくなってしまった小学生
皆の前で体重を測られ、摂食障害になってしまった子
無理やりストレッチのせいで、20代になった今もハムストリングスが痛い人
などが存在するのを知っています。
悲しいけれど事実です。
そういう人達が減るように、DLSではHappy Dancingコンセプトとして、情報提供をしています。
鬼の愛から鍛えられたDLS公認インストラクターリスト
DLSの教師のためのバレエ解剖学を網羅した先生リスト
DLSで勉強してくれたダンサーをサポートしたい治療家トレーナーリスト
ダンサーの卵
ダンサーの卵はまだヒヨコにもなっていません。
その子にバレエの才能があるか、なんて卵だから分かりません。
でもね、卵が割れないように守ってあげるのは私たち大人の仕事です。
そして、卵たちがバレエの道を選ばないとしても、痛みのない幸せなヒヨコに成長してもらいたいと私は思います。
Happy Dancing!