背中の大きな筋肉 僧帽筋を勉強しよう

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*このブログは2014年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。

 

ブログのタイトルを見たらすぐに分かるだろうけど、今日の主役は僧帽筋です。

背中にあるかなり大きな筋肉。

なのにダンサーが「背筋を鍛えたい」「背中を強くしたい」と言う場合、この子の事は指していません。可哀そうに…

 

漢字を見るとお坊さんの帽子の筋肉、ってなっていますが、

お坊さんって帽子被ってたっけ?って思ったのは私だけではないはず。

 

実はお坊さんはお坊さんでも、昔のカトリック系の人がかぶっていた帽子に似ている形だからだそうです(出典元)

私たちの想像する、典型的な「日本のお坊さん」とはちょっと違いましたね。

 

僧帽筋はどこにあるか?

僧帽筋(そうぼうきん・Trapezius)は背中にある筋肉で一番皮膚に近いところにあります。

この子の下に、菱形筋(りょうけいきん・rhomboids)とか脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん・erector spinae)だとかバレエ解剖学が好きな人が知っているであろう筋肉たちが住んでいます。

 

僧帽筋は

  • 頭蓋骨(ずがいこつ・skull)
  • 頸椎と胸椎の棘突起(+項靱帯とかいう靱帯だけど、面倒くさいので無視)
  • 肩甲骨の肩甲棘(けんこうきょく)や肩峰(けんぽう)
  • 鎖骨(さこつ)

にくっついています。

頭、背骨の半分以上、肩甲骨と鎖骨。

ね、大きいエリアをカバーする筋肉でしょ?

 

→頸椎、胸椎、棘突起…背骨の部位を勉強したい人はこちらからどうぞ。

→肩甲骨にトゲ?と思った人はこちらから肩甲骨のでっぱりを復習して。

僧帽筋の仕事は?

大きな筋肉のやっかいなところは、筋繊維の場所によってお仕事が変わること。

ここから先はかなり分かりづらいし、ダンサーだったら知らなくてもいいから飛ばしたい方はどうぞ。

 

 

僧帽筋の場合、3方向に筋繊維が走っているので、それを使って

  • 上部(upper fibers)
  • 中部(middle fibers)
  • 下部(lower fibers)

と分けられています。

なんで筋繊維の方向が大事かって?

筋肉の動きはすんげーシンプルで、筋肉の始まりの点と終わりの点を理解したら、

そこが縮まる動きをするって分かるの。

 

3つの繊維が全て一緒に収縮すると肩甲骨を内転(ないてん・背骨の方に寄せること・adduction)をします。

 

 

上部(upper fibers)だけ働くと

  • 肩甲骨挙上(きょじょう・上に持ち上がる事・elevation)
  • 上方回旋(じょうほうかいせん・ソケット部分が上に向かうようにローテーションすること・upward rotation)

のほかに、背骨の点と肩甲骨の点が近くによるってことは

  • 内転のお手伝いもします。

 

 

下部(lower fibers)だけ収縮すると

  • 下制(かせい・下に下がる事・depression)
  • 上方回旋
  • 内転のお手伝い

という動きをします。

 

 

あれ?上部が働いたときも上方回旋って言ってたから、逆の動きをするんじゃないの?と思う方もいるかもしれないけれど、

上方回旋は上部の繊維でも、下部の繊維でも両方起こる奇跡の動きとなっております。

(いやー私も勉強したとき、意味が分からなかったよ…だけど実際に骨を動かしてみるとあー!となりますので体験したほうが早い気がします)

 

繊維がどーのこーの、を一度頭から外して、

  • 頭蓋骨の点から背骨の点

という単純思考をしてみると、

左右両方の僧帽筋が一緒に縮むと、頭を後ろにそらせる動き、頸椎伸展(けいついしんてん・extension of the neck)を行い、

片方だけ縮むと、筋肉と同方向に頭を傾けたり、筋肉と反対側へ首をローテションさせるという動きのお手伝いもしてくれます。

 

うわー面倒になったね…

ここらへんをダンサーが知っている必要はないので嫌気が指したら忘れちゃってくださいませ。

 

肩こり、頭痛と僧帽筋

僧帽筋の仕事は忘れちゃっても、僧帽筋が首や肩に関係していて

  • 頭痛や肩こりの原因になっている可能性がある

というのは覚えておくと便利です。

 

さっき僧帽筋は3つのエリアに分かれているって説明したよね。

上部の筋繊維は、パソコンやスマホ姿勢のように背中を丸め、首が前に出た状態で、腕を体の前で支えるという現代人だったらかなーり長時間行っているポジションで働きすぎてしまいます。

 

筋肉が縮んでいると固まっている、というイメージになりやすいと思うけれど、

筋肉は運動などで使われず(つまり血の流れがあり、暖かくなり、動きやすくなる!)、伸ばされた形にいるのが一番嫌い。

よってパソコン・勉強・スマホを長時間行っていると肩こりや筋緊張製頭痛と呼ばれる頭痛に繋がるってわけ。

 

肩こり解消にはマッサージもいいけれど、肩周りを動かす(=肩関節を作っている骨の一つである肩甲骨が動く)エクササイズが一番安くて、早くて、簡単です。

 

でも何をやればいいのか分からない!という人のために、10分で出来る肩こり解消エクササイズビデオもつけておきますね。

 

僧帽筋上部が緊張してしまうもう一つの理由に精神的ストレスがあります。

こちらの研究はケースが少ないのでちょっとバイアスがかかっているけれど、日本語だったので興味がある人はどうぞ

 

セルフケアで筋肉を動かす+自分と向き合う時間や、スローダウンする時間を作る事は、慢性肩こりなバレエ教師、頭痛薬に頼りがちな先生方はどうぞ。

痛みをカバーしても、姿勢や筋力不足などの問題の根底をクリアにしていなければ、頭痛は戻ってくるからね。

 

 

肩のラインと僧帽筋

頭痛や肩こりとまだ縁のない若手ダンサーでも、衣装やレオタードから見える肩のラインは気になるんじゃない?

 

さっき勉強した僧帽筋がどこにあるのか?の図を再度見てみてね。

この筋肉、背中の後ろ側だけでなく、肩の出っ張っている骨肩峰や鎖骨の外側にもついていたよね。

猫背のように胸の前が縮まり、肩甲骨が背骨から離れてしまう(外転)姿勢をしていると、

もしくは(それと共に?and /or)僧帽筋中部や下部が弱いと、

僧帽筋上部だけが不必要に筋肥大し、首から肩にかけてのラインがもっこりしてしまいます。

 

そういう場合、必死で肩を下げよう!と考えないでくださいね。

問題となっているのは肩関節(肩甲骨・鎖骨・上腕骨の関節)ではなく、僧帽筋上部の緊張なんですから。

 

 

  • 普段から良い姿勢を意識する事(=正しいバレエスタンスを保つこと)
  • 背中を伸ばすよりは、胸の方を伸ばすこと(=肩を前に持ってきてしまう筋肉をリリースすること)
  • 背中、特に肋骨の裏側を鍛える事

を行えば

  • 舞台映えする姿勢
  • 強く腕を動かすことが出来る背中
  • バレエダンサーに求められる肩のライン*

を作る事が出来ます。

 

具体的に何をしたらいいのか?は「バレエの立ち方できてますか?」本

猫背解消エクササイズや、机のセッティング方法が書いてあるので今日は省略しますね。

 

*ここでいうバレエダンサーに求められる肩のラインというのは、体型の話ではなく、

バレエに使われる筋肉のバランスや強さによって生まれるラインの事です。

僧帽筋についてダンサーが知っておきたい事は?

  • 僧帽筋という大きな筋肉が首から肋骨の後ろ側にかけてついているよ
  • 肩こりや頭痛の原因になっているかもしれないよ
  • 肩のラインを向上するときにも、僧帽筋の癖や性格を理解すると便利だよ

そして

  • 結局正しい姿勢、立ち方、バレエスタンスが出来ていたら、筋肉もバランスよく働きやすくなるんだよ。

という当たり前だけど忘れられがちな事実でした。

 

 

Happy dancing!

ai

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