健康第一。
言うのは簡単で、理論的でもあるけれど、実行するのが非常に難しいコンセプトですよね。
3冊目である「プリエ使えてますか?」を執筆した2019年の私は、
かなり健康を後回しにしていたようです。
今だから言える、大変だった執筆裏話をお送りします。
聞きたい人はこちらから
スクリプト
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
DLSポッドキャストはプロの現場から健康なダンス生活を応援する情報サイト、ダンサーズライフサポートドットコムのブログ音声バージョン
プラスポッドキャストだけの裏話などを毎週金曜日にお送りしています。
今週のポッドキャストは先週、先々週の続きとなっています。
とは言っても、知っていなければついて来られないというような、勉強ポッドキャストではないため
もし良かったら、エピソード425、426を先に聞いてもらったら流れが分かりやすいよ、
とだけお伝えしておきますね。
さて、今日は東洋出版から出ている「本気でうまくなりたい人のためのダンス解剖学教室」シリーズ
三女、プリエ本を書いていた時期の、今だから言える裏話をお話していきたいと思います。
この子は私が一番好きな子なんだけど、一番売り上げが低くて、アマゾンレビューも少ない子です。
もしこの本を持っていたら、アマゾンでレビューを残していただけませんか?
これからお姉ちゃんになる、現在末っ子なのでちょっと拗ねてます。
スタンス本、ターンアウト本は、DLSの誕生日である8月1日に出版されました。
でもプリエ本は11月1日に出されました。
理由は、私の入院があったから。
正確には入院したのは11月19日だったかな?だったので本の後ではあったのですが、
オーストラリアの公立病院の関係上、手術日を選ぶことが出来なくて、
本の準備をしている最初の方では、まだいつ手術をするのかが分かっていなかったからです。
お手紙が来て、この日に手術が決まりました、ってなるの。
私立の病院だと、こちらで日にちが選べるんですけどね。
なんで手術をしたのか?
子宮内膜症という病気のレベル4の治療のためです。
レベルは1から4までなので、最後までやり切った感がありますが、稀に見るひどさで手術も6時間以上かかったそうです。
私は寝ていただけなので分かりませんが。
子宮内膜症という病気を聞いたことがない人もいると思うので簡単に。
子宮の内膜の病気、という感じに聞こえますが、
実は子宮内膜という組織が、存在するはずのない部分に増えていってしまうという病気です。
簡単に言うと癌のようなイメージというのでしょうか。
命に影響はありませんが、そもそも子宮内膜があるはずもないところにどんどん増えていってしまう事と、
現時点では治療法はあっても完治はしません。
実際、今年再手術を受けています。
さ、本題に戻りましょう。
この時の話は既に過去のブログなどでもしているため軽く飛ばしていきますが、
どんな様子だったかを知りたい人は、
術前の様子は「愛さんについていこう」というYoutubeのビデオ、
そして術後は、今も話題に上ることがある幻の2019年12月の愛さんとティータイムをどうぞ。
「愛さんについていこう」ビデオは多くの人からすごくいいクオリティだと言われたほど力を入れていました。
なぜかというと、ビデオ編集とか、YouTuberという仕事が
自分で好きなのかを試していた時期だからです。
やってみた結果、私はリアルタイムで皆さんとつながることができるライブでお話することが好きだけど、
ビデオ編集はとっても嫌いだと分かりました。
試してみないとわからないことはたくさんあります。
クラシックバレエが好きだと思っていたけど、コンテをやってみたら大好きになって、現在はコンテメインのカンパニーを探している。
という話を、過去に冬期バレエ講習会を受講してくれた子とこの夏お茶したときに聞きました。
知っていると思っていた、体の知識。健康の大切さ。
初めて自分がケガをしたり、気持ちがとても沈んでバレエと向き合えなくなった時期にようやく分かったとも、彼女が言っていました。
愛さんから学んだと思っていたのに、まだ分かっていなかった、と。
私自身も偉そうに「だから言ったのに!」とは言えません。
出版というプロセスにはかなり慣れてきた3冊目でしたが、
今回の大きな学びは、健康第一。
知ってる、とやってるは違う。
この言葉は何度もDLSユニバースでは出てきます。
DLSユニバースって何かって?DLSのブログ、セミナー、ポッドキャストなど
DLSを作っている様々な部分で、という意味です。
その言葉を言っている、DLSユニバースの真ん中にいる私も、
ここ最近といえるであろう2019年の年末にまだ分かっていませんでした。
分かっていないというか、学んでいないというか、甘く見ていたというか。
さっき、「術後は、今も話題に上ることがある幻の2019年12月の愛さんとティータイムをどうぞ。」って言ったじゃない?
なんで幻なのかといいますと、
術後、2週間くらいだったのかな?で初めて行ったFBライブだったのですが、
2週間経ったし、手術医には2週間経てば普通の生活に戻れるよと言われていたので、
ライブくらい出来ると思っていたんだけど、まー甘かった。
メイクはしたんだけど、そこで力尽きて、結局パジャマとガウンでライブ。
しかもすぐに疲れてしまうからライブは30分。
そして、あとから皆さんに愛さん大丈夫かと思いながら見てたと言われました。
本来なら術後6週間は飛行機に乗っていけないと言われていたのですが、
1月の来日セミナーと本の先行予約イベントがあったので4週間ちょっとで日本に戻りました。
ちゃんとお医者さんに聞いてから飛んだんですけど、
今思えばどうしてちゃんと休むスケジュールを組んでいなかったのか?
とお説教モードに入りたくなります。
もちろん、答えは
本の出版があったし、
セミナーがあったし、
先行予約イベントがあったから。
なんだけど、ダンサーたちに休みなさい、体の声を聞きなさいと言っておきながら、
自分で出来ていない例ですよね。
休めないと思ってたけど、休めなかったのではなく、
休まなかった、という表現が正しいです。
I can’tとI won’tは似て非なるもの。
ロックダウンで外に出られない、は出来ない。
仕事が休めないから、というのは休まないという選択をしたということだから、やらない。
私を含め多くの人たちがこの言葉を混合しているように感じます。
- レッスン休めないんだ。
- YESって言ってしまったから、この企画を延期出来ないんだ。
- 生徒さんが待っているから、休めないんだ。
- バレエやっているから、痛くて仕方ないんだ。
これらは、I can’tではなくI won’tです。
出来ないではなく、やらないという選択を自分がしているだけ。
誰もあなたの首にナイフを突きつけて、やらなかったら命に関わる、とは言っていないんです。
選んだのは自分。
でもI can’tを使えば、責任を逃れられる感じがします。
- 仕方ないよね。
- しょうがないよね。
- 出来ないよね。
そう言っちゃえば、それ以上考える必要もなければ、責任をとる必要もない。
特に本人は、休まないことで責任をとっていると思っているもんだから、
お門違いもいいところです。
私の大好きな言葉の一つ、
「人生にとって健康は目的ではない。しかし最初の条件なのである。」
は武者小路実篤(むしゃのこうじ さねあつ)さんのものですが、
彼の「人生論」のフレーズはそれだけでなく、
「健康の価値は病気してはじめてわかる。
しかし健康になってしまえば、もう健康のことを忘れる。
忘れるところがおもしろいところだ。
人間の目的は健康にあるのではなく、地上でなすべきことを完全になしてゆくにある。」
と続くそうです。
これは、プリエ本の執筆でもずっと考えていました。
本の中にも何度も、リハビリという言葉が出てきますし、3章のエクササイズ部分には、ジャンプが出来ない時、など
ケガしているときに出来るエクササイズをご紹介しています。
ダンサーにとって、ケガをしない事がゴールではないです。
それは踊るというゴールのための、最初の一歩なんですよね。
もちろん、ケガをしてしまう事がいけないとか、
ケガしたあなたはダンサーになる資格がないと言っているわけではありません。
でも、コンクールで上位になるために、早く留学するためにと、
ケガをさせるようなレッスン内容を指導している人達を見ると
彼らのゴールは1位でもなく、留学でもなく、
踊ることを職業にすること、つまり長く続けることなのになと、残念に思います。
痛みをプッシュする事が努力だと思っているダンサーも
これだけ踊っているんだから、痛くて当たり前と思っている保護者もすべてそう。
健康が土台だという事は、自分自身が手術をして再確認しました。
先週のポッドキャストでお話したクリスタルクリアにしたビジョンがあっても、
それに対して進んでいく気持ちや、応援してくれる人達がいたとしても、
外野の言葉はシカトしたとしても。
自分自身が、一番いい状態で動けなければ、何も残すことは出来ないんですよね。
2019年の1月、5月の来日、つまり手術前の来日では毎回、痛み止めが100個入っているボトルを持ってセミナー会場に通っていました。
そして、その状態を見せないようにしながら、ダンサーのケガについてを語っていたわけです。
ツッコミどころが満載な事は分かっています。
でも、
- 治らないと言われていたし、
- 我慢したらどうにかなるし、
- 調子のいい日もあるし…
こういう言い訳は、
バレエ学校の時のケガで終わりにしていたと思っていたのですが、
そうではなかったみたい。
そうはいっても、薄々は気づいていた部分はあったようです。
DLS6周年感謝祭というブログ記事で、バレエ学校をやめる話をしたときに、こう書いてありました。
「健康で動ける時間って少ない事実を目の当たりにしたので、
どうやって時間を使うか、何をするのが自分にとって一番いいか。
そして何処で働く事がhappy dancingのレガシーを広められるか?を考えていました。
ネット媒体も使え、日本の教師や治療家トレーナーと連携出来るDLSの活動の方が、
メルボルンの小さなバレエ学校の生徒「だけ」より多くのhappy dancingをサポートできるであろう
という答えにはいきついたものの、
佐藤愛からバレエ学校を抜いたら何が残るのか?という疑問(というか自信のなさ!)が
常に付きまとっていたのね。」
続きも読んでみます。
「皆さんがサポートしてくれたおかげ、応援してくれたおかげで、
想像すらできない夢みたいな職業をさせてもらっている。
それってね、DLSで私がダンサーの子達に見せてあげたい夢なんだ。
- 自分では想像すらつかない踊りの強さを。
- 夢みたいなバレエに関わる生活を。
- 不可能だって思っていたキャリアを。
そして
- 治ることないと思っていたケガからの復帰を。
夢を見せてもらった恩返しって、こういうところでしか出来ないと思っています。
それが私のできる社会貢献なんだろう、と。」
そう思ってた矢先、
パンデミックで世界で一番長いロックダウンの街に住むことになったんだから、
オチまで完璧に作られている、
ユニバースの不思議を一緒に感じてくださいませ。
長いロックダウンと、パンデミック、世界の政治の動きや人種差別など、
見ないようにしていた社会的問題に目を向けることになった後に出版が決まった上半身本。
この本の裏話というか報告は、来週のポッドキャストを楽しみにしていてくださいね。
今週も最後まで聞いてくださってどうもありがとうございました。
また来週、金曜日のポッドキャストでお話しましょう。
Happy Dancing!
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