レッスン中、周りの目が気になって思ったように踊れない…と13歳のダンサーから質問をもらいました。
お客さんはジャガイモ、と考えるのもいいかもしれませんが、問題の根底とダンサーに必要な練習をメインに考えてみましょう。
同じ悩みがある人はもちろん、生徒でもこういう気持ちの子がいるかも?と気になった先生も聞いてみてくださいね。
聞きたい人はこちらから
スクリプト
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
DLSポッドキャストはプロの現場から健康なダンス生活を応援する情報サイト、ダンサーズライフサポートドットコムのブログ音声バージョンプラス
ポッドキャストだけの裏話などを毎週金曜日にお送りしています。
今日はポッドキャストリスナーさんからもらった質問にお答えしましょう。
実はこの質問は結構前にもらっていたのですが、スケジュールの関係上今になってしまいました。
遅くなってしまってごめんなさいね。
内容は、レッスン中にほかの人の目線が気になるということについて。
この話に行く前に、ちょっとお知らせ。
ご存じのようにこの冬もDLSはオンラインセミナーを行います。
冬セミナーの申込は12月1日、朝6時からですので、朝早起きして学校に行く前、仕事に行く前に申し込んでいただいて、その後ベッドに戻るか、早起きした一日を楽しんでくださいね。
セミナー内容に疑問がある方、私でも受講できるかな?と気になった方は、申込する前にhello@dancerslifesupport.comにメールで質問してくださいね。
では、頂いた質問を読んでいきましょう。
愛さんこんにちは、ポッドキャスト質問失礼します。
私は13才(バレエ歴10年)の匿名希望です!
週三回バレエのレッスンにかよっているのですが、いつもレッスン中に他の人の視線が気になって、レッスンなのに緊張してしまうんです。特にセンターレッスンの時が多いです。
気にしない、気にしないと自分にいい聞かせ続けても、どうしても気にしてしまって、思うようにのびのび踊ることができません。
このような時、どうすればいいですか?
ポッドキャストで答えていただけるとうれしいです。よろしくお願い致します。
舞台で緊張して力を出し切れないとか
緊張しないように舞台慣れする、など緊張、プレッシャーについての質問をされることがありますが
文献をたくさん読んでそのエリアに関する記事を書こうと思っていながら後回しにされています。
ごめんなさい。
私の専門エリアではないので、リサーチに時間がかかるんですよね。
ちなみに私が働いていたパフォーマー専用のクリニックでは、そのようなエリアに特化するカウンセラーがいました。
今日はバレエ学校で試験官をしたり、舞台に立つ人達と長く仕事をしてきた経験からお話していきたいと思います。
だから、エビデンスとしてはとっても弱い、体験談だと思って聞いてくださいね。
まず、このメールの中にあったキーワードを書き出してみましょう。
- レッスン、特にセンターでの緊張
- 他人の視線が気になる
- 気にしてしまって、のびのび踊れない
この3つですね。
文章だけで見ると
レッスンで他人の視線が気になった結果、のびのび踊れない
なんだけど、本当にこの3つに因果関係があるのか?を考えなければいけません。
例えば
「レッスンで、特にセンターで緊張する」
とあるけれど、ほかだったら、例えば学校で発表するときや、先生と一対一でお話するときなどは大丈夫ってことなのか、どんなシチュエーションでも他人がいると緊張しちゃうのか?
ここはレッスン内の問題を解くべきか、日常生活の問題を解くべきかを考える大きな一歩となります。
股関節の痛みを例にとってお話しましょうか。
- レッスン、特にセンターで股関節が痛い
- 痛みが気になってしまって、思ったように踊れない
という人がいたら、レッスン「だけ」で股関節が痛いのか、それとも日常生活でも階段を上る時や体育の授業で痛いのか?
階段は痛いと分かっているのでエスカレーターを使うとか、
体育の授業で痛いけど、手抜きしてやっていれば問題ないから大丈夫なんて人もいるかもしれません。
この手抜きや避けるというのを、先ほどの緊張に当てはめてみると
緊張するって分かっているからあえて授業中発表しないとか、後ろの方に立っていて、緊張を避けているだけ、かもしれないってことです。
その場合、レッスンよりもまずは日常生活で少しずつ勇気を出すことを練習していなければいけません。
でも、メールでの質問なので彼女に聞き返すことが出来ませんから、
今回はポッドキャストの関係上レッスン「だけ」で緊張して、学校で手を挙げて発表したり、人前で話すことには問題ないとしましょうか。
次の問題。
- 他人の目線が気になるから、のびのび踊れない
のか、
- 思ったように踊れないコンプレックスがあって「こんな風に踊ってたら友達が笑っているかもしれない」と周りの目が気になってしまうのか。
これもニワトリ卵の問題のように聞こえちゃうかもしれなけれど、何がトリガーになっているのかを見つけるためにはとても大切です。
- 自分のテクニック
- 振付を覚える力
- 体型
- 表現力
など自信がないところ、嫌いな部分があったとしましょう。
鏡の前にいるであろうセンターでは、それが顕著に見えてしまってそっちに気を取られてしまう。
その場合、他人の目線がうんぬんではなく、自分が自分の事をジャッジメントしていることに気づかなければいけません。
ちなみにジャッジシートとか、コンクールで言われる言葉ですが、人をジャッジするというのはいい意味の言葉ではありません。
英語だったらね。
裁判官、という意味で裁きをする人なんですよ。
最初にお話したように、バレエ学校の試験などで、先生方がパネルに座って生徒を見る事、この仕事を試験官と言います。
試験官は英語でexaminer、もしくはpanelistと言います。
試験官や教師の仕事はダンサーをジャッジして裁判することではなく、
試験、イグザムして出来ているところと、出来ていないところを明確にする人です。
だから、コンクールのジャッジって変な言葉だよなーって思うんですよね。
特にダンサーを育てる場所です!なんて言っているのに、役職は裁きをする人っていうの。
また話がずれましたね。
緊張の根本要因が他人の目ではなく、出来ていない自分が恥ずかしい、カッコ悪い、嫌い、というネガティブな感情から来ている場合、
どうにか出来るのは自分だけです。
その場合、
レッスンは上手な人が集まる場所ではなく、上手になるために練習する場所である
という理解を徹底しましょう。
出来ないことがあるから、レッスンに来るんです。
出来ている事しかレッスンで行っていないのであれば、そのクラスレベルは貴方に向きません。
周りからちやほやされる環境では、井の中の蛙になるだけで、切磋琢磨出来る環境ではないという事ですからね。
まーでも多くのバレエスタジオの床で、カエルストレッチを未だに続けている子たちがいるのを考えると、
そしてそれをターンアウトを調べる方法だと思って使っているバレエ教師がいるのを考えると、
スタジオの看板名をバレエスタジオではなく、カエル製造スタジオに変えた方がいいかもしれませんね。
うわー今日は、いろいろなところに話が飛ぶね。
今までの話をまとめてみると、
緊張するのがスタジオだけ、バレエだけなのか、日常でもそうなのか?を考える事がまずは大切だよ、ということ。
それによって、どんな処置やトレーニングが出来るのかが変わるから。
次に、人前で緊張する理由は、他人の目なのか、自分の頭の中だけの話なのか、を判断する事。
もし出来ない自分が嫌い、恥ずかしいという気持ちから来ているのであれば、
レッスンの意味を再度深く考えてみて、もしかしたらノートに書き出してみて、考え方の癖を外しましょう。
最後に、とても大事な事を2つ。
1つ目は緊張は悪い事ではありません。
緊張感がある演技、と言われたらどんなイメージが湧きますか?
ただ見つめあっているだけで、空気がピンとはるような舞台雰囲気。
それって表現力の一部ですよね。
緊張感が薄れてしまってミスが生まれた。
という言葉も聞きますよね。この時緊張していたことはポジティブな事で、それがなくなってしまったからミスにつながったという事でしょう?
緊張して思ったような力を出せなかったら、それは問題かもしれないけれど
「緊張」がいけないのではなく「思ったような力が出せなかった」ことが問題なのです。
だから、緊張しちゃいけないんだと思っていたら考え方を変えましょう。
緊張するのはいいこと。
緊張の中で力を出し切る練習を毎日しているんだ、と思ってくださいね。
逆に先生が前で見ていても、緊張すらしないレッスンだったら、上達はしません。
好きな人がたまたま電車で隣に座ったら緊張するでしょ?
でも知らない人が隣に座っても、何も感じないよね。
バレエが好きだったら、舞台が好きだったら、緊張して当たり前なんじゃない?
2つ目、バレエダンサーの仕事は人に見られることです。
表現したい人、表現してそれをオーディエンスに伝えたい人が集まる職業です。
なので人に見られるのが嫌いだ、と思うなら、バレエレッスンは楽しいかもしれないけど、プロダンサーには向きません。
プロになるためにレッスンしているのではなくて、バレエが楽しいから出来る限り続けていきたい!
と思っているのであれば、スタジオを変えてもっと人数の少ないお教室に行くのは手ですよね。
そうすれば必然的にレッスン中に気にしなければいけない目の玉の数が減ります。
そしてのびのび踊れるようになったら、もっとバレエが楽しく感じられるはず。
ただし、プロを目指しているならば人に見られることは職業なんだという事を忘れないでください。
そしてスタジオで緊張するならば、それは苦手なテクニックを練習している場所だと思って努力を続けてください。
ただし、その時に緊張しないように考える事、は努力ではありませんよ。
- 緊張は良いことで、緊張すべき場所で力を出し切ることを練習する。
- 周りの人を気にしがちなシチュエーションで集中力を磨く。
これが努力です。
いかがでしょうか。
このように私に聞いてみたいことがあったら、DLSのメルマガの一つ、DLSウィークリー、という毎週日曜日に届くメルマガのリンクから質問してくださいね。
来年のオニカツは、皆さんからもらった質問に答えていくので、質問箱を作りました。
DLSウィークリーに登録していない人は、hello@dancerslifesupport.comにDLSウィークリー希望、と一言書いて教えてくださいね。
もちろん無料です。
毎週日曜日、その週にアップされた新しいブログ、ポッドキャストそしてビデオのリンクが届くので、私からのアップデートを見逃すことがなくなりますよ。
そして質問箱にもアクセスできますから、ぜひ利用してくださいね。
ということで今日のポッドキャストはここまで。
質問をくれた匿名さん、どうもありがとうございました。
注)2022年12月にてDLSウィークリーの発行は終了し、質問箱の受付も終了しております。
長らくご愛読いただきありがとうございました。
Happy Dancing!
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