バーレッスンの時に、1番から2番ポジションへ移動する際踏み変えるな!というのは
多くの(…そう思いたいがどうだろう…)バレエの先生から聞かされていると思います。
でもそこで出てくる悩みが
そうしたら、グランプリエでかかとが浮いちゃうのよ!
というダンサーの心の声。
先生が見ていない隙を狙って、そそっと軸足をずらしてみたりとか、
タンジュ アラセコンドの時に体重を移動させて、大きめにステップするとか
涙ぐましい(間違った方向への)努力を重ねている事でしょう。
この2つの問題はDLSにも質問が来ますし、グランプリエについての質問を募ったインスタストーリーでも話に出ました。
こちらのビデオから、グランプリエのQ&Aをしているので
- グランプリエではどこまで下がる?
- かかとが床から離れるタイミングは?
- グランプリエでおしりが出ちゃう(逆にタックになる)
など気になる人はそちらのビデオを見てください。
踏み変えって何?
踏み変えなんて聞いてことないよ、と思った方へ。
1番ポジション→タンジュアラセコンド→かかとを下ろして2番ポジションへ
ではなく、
1番ポジション→タンジュアラセコンド→かかとを下ろして2番ポジション→バーの方の足をタンジュアラセコンド→広い2番ポジションへ
と軸足をウロウロと踏み変えるので、このことをバレエの世界では踏み変えといいます。
あ、ダメな事です。
はい。
2番ポジションでかかとが浮いてしまう
インスタライブでも2番でかかとが浮いてしまう人は、特に初心者は、正しい形に向かって日々努力してくださいね、という話をしました。
アキレス腱が短いとか「体が恵まれていない」とかそういうところよりも
- グランプリエは難しい=だから練習が必要だよ、という前提で
- 2番ポジションでかかとが浮かないところで練習し続けて
- 徐々に深さ(=可動域)を育ててください
というところでお話しました。
何でグランプリエが難しいのか分からない人はこちらの記事で
ジャンプの着地等でかかとが上がるのはアキレス腱よりもほかの原因がある、というのはこちらの記事へ
正しい2番ポジションのグランプリエ知ってる?
ライブ後にちょっと考えたんだけど、正しい深さを知らない人、もしくは無意識にやっている人がいるんではないか?と思ったのね。
- プリエはかかとが浮かないギリギリまで
- グランプリエはそこから先、かかとを浮かせる
と「だけ」理解している人は、2番ポジションのプリエとグランプリエがヘンです。
ヘンです、って失礼な!
でもね、2番ポジションの「プリエ」で「かかとが浮かないギリギリまで」とやってしまうと、
グランプリエでそれ以上深く動けないくなるよ。
…
でしょ?
だって2番のグランプリエはかかとが浮かない、っていうのが正しい形なんだもの。
1番ポジションと比較してみようか。
かかとがうんぬん、ではなく骨盤とひざの位置に注目してくれる?
- 1番プリエの時は、骨盤が膝よりもかなり上にあります。
- 1番グランプリエでも、骨盤が膝よりも高い位置にあります。
見えた?
骨盤が膝と同じ高さ、もしくは骨盤が膝よりも低くなってしまうといわゆる
「プリエに座り込んでいる」状態になるよね?
かかととおしりはつけません!って言われるし。
自分でやってみると分かると思うんだけど、
3番だろうが、4番だろうが、5番だろうが、同じことになっているでしょ?
骨盤と膝のバランスを2番ポジションで当てはめると、どっちのグランプリエが正解だろうね?
右?それとも左?
たぶんだけど、向かって左の「グラン」プリエが正解じゃないかな?って思うよね。
ここに解剖学知識を取り入れると
- 足(Foot)がセンターから離れれば離れるほど、足首の屈曲角度は和らぐ
というのを考えて、
2番の時にいつも以上に深くプリエをしても、footの場所の関係上かかとが上がりづらい
という事も見えてきました。
踏み変えが必要なダンサーの秘密
どうして踏み変えしないとかかとが浮いてしまう…という悩みを持つダンサーがいるのか?が分かったかしら。
踏み変えする=footをセンターから離すことで、足首の可動域を軽減させている
ので、深くグランプリエが出来ている「気持ち」になるのです。
気持ち、ってところがキーポイント。
確かに股関節の外転位屈曲だと深いグランプリエの方が動いているけれど、
正しいところにfootを置いた場合、足首の屈曲は大きいのさ。
(だからかかとが浮きそうになってしまうんだものね)
膝関節に関しては、大腿骨が動くVS脛骨が動くなので実は角度的にそんなに変わらないから無視。
だから、股関節と足関節、どっちの練習をするために2番ポジションのグランプリエをやっているのか?っていうのがを考えなければいけないのよ。
余談。
股関節と足関節、どっちの練習をグランプリエでするべきか?と申しますと、ワタクシの勝手な考えでは足関節だと思いますぜ?
だってその後のバーレッスンの内容を股関節視点と、足関節視点で見ると明らかに股関節の可動域を使う振付が多いもんね。
そうすると、練習不足になってしまうのは足関節じゃね?と思うんですけどね。
踏み変えに関する指導者の責任
まーいつもここに行きついちゃって、バレエ教師の皆様に申し訳ないとは思うんだけど、
- 深いプリエが出来ない
- 足首が硬い
- ジャンプの着地でかかとが浮く
なんて問題がある生徒がいる場合、先生たちがどんなクラスを指導してきているか?が
- ダンサーの体が恵まれているかどうか
- ダンサーが努力しているか
- トレーナーがどんなエクササイズを処方しているか
よりも大切になってくるわけさ。
踏み変えをしちゃいけない、というのを知らない指導者はいないとは思う(願う)んだが、
踏み変えを許す(もしくは黙認している・この子はそうしないとかかとが浮いちゃうのよ、と言い訳する)というのも問題だし、
正しいプリエをグランプリエの前に指導しているか?というのも問題。
結局バレエテクニックって積み木みたいに順番を追って練習していくものだから、
- プリエで深さを「作る」
- 深いプリエをキープする「筋力」を育てる
が出来たら「その後」に
- グランプリエに行こうぜ!
ってなるべきなんですよね。
プロだって踏み変えしてるじゃん?
あーはいはい。
何度もになりますが
貴方がプロダンサーとして契約をもらっていて、それで税金払って社会貢献しているんだったらどうぞ。
グランプリエQ&Aライブでもお話したけれど、
- プロがやっている事=正しいこと
ではございません。
- プロダンサーは「自分の踊りを魅せる」プロフェッショナルなんですから、自分の体のいいところ、悪いところを熟知していて魅せ方を知っている可能性もあります。
- プロになるとカンパニーでテクニックを直されなくもなります(惰性、流れでレッスンをする人も出てくる)
- プロにとって、毎朝のバレエレッスンは長いウォームアップであり、完璧に踊る場所ではありません。
そういうプロだって怪我をして引退していきます。
そうそう、舞台上のプロは指導のプロではないことも頭に入れておきましょう。
純粋数学の大学教授が、小学校の算数を教えるのが一番上手か?というとそうではないようにね。
まとめ:2番ポジション踏み変えとかかとが浮く問題について
- 2番ポジションのプリエ、グランプリエの正しい形を理解しましょう。
- 踏み変えてしまう原因を考えましょう(足首の硬さが原因だったら、そこを重点的に練習したいんじゃないの?)
- 自分にとって「楽な方へ」逃げているのであれば、そんなレッスンでは上達しないと心に留めておきましょう。
くれぐれも、私はアキレス腱が短いんだと思ってアキレス腱伸ばしをプリエが始まる直前までやっていないでくださいね。
柔軟性セミナーやsafe danceでもお話しているように、静的ストレッチは筋出力を低下させる(そのほかにもいろいろと問題アリ)のだから、ケガの原因になります。
Happy Dancing!