今日のテーマは「歩く」というステップでございます。
題名通り、舞台に立つ前に練習してください。
高く上がる足、ライン、回転…
だけどそのつなぎのステップである、歩く、走るがきったないこと!!
甘く見られているステップなんでしょうね。
つなぎのステップとして甘く見られがちなプリエは、本にしちゃいました。
先行予約は8月1日から、手に入るのは11月1日となりますのでお楽しみに。
なんでこんなことを書こうか?と思ったかというと、
2019年冬期バレエ講習会で参加者宛に書いた注意事項があったんだけど、
それを整理していたらたくさん書いてあったから!
バレエなのに「歩く」を練習するだって?
どんなバリエーション、男性だろうが女性だろうが。
というか、ソロじゃなくてもパドトロワとかソリストレベルでも、コールドバレエでもそうだけど、
舞台に立てばどんな役でも「歩く」というステップが入ってきます。
例えそれが、くるみ割り人形の1幕、お母さんたちだろうが、メイドさんだろうが、
歩きます、ね?
でも歩く練習したことありますか?
リハーサルで時間をとってやったことありますか?
場所とりやタイミングを計るためにやったことはあるかも。
でも「バレエ的に歩く」とか「綺麗に歩く」、もしくは「役がらに合わせて歩く」とかやったことあります?
ただターンアウトして歩けば良いわけじゃない
歩く練習なんてしなくても、みんな歩けますよ?って?
確かに。
スタジオに来るとき、多分歩いてきてるしね笑
バレエ的に歩くって、ターンアウトしてつま先のばして歩けばいいんでしょ?
確かに。
それは絶対ね。
でもね、考えてみて下さい。
普通に歩く=かかとが地面について、つま先が蹴る
なんだけど、
バレエで歩く=つま先が地面について、かかとが地面につく(バリエーションの出のようにつかない時も多い)
なんですよ。
だから、普通に歩くのとは足の裏の使い方から重心移動まで、ちょっと違うのね。
バレエの歩く、ってどちらかというとオンポワントからゆっくり降りてくる的な動きになるんですよ。
そして後ろの足が重心を「押し出す」という事。
歩き方が変わる時
履いているシューズによって、役によって、音楽のテンポによって歩き方が変わります。
いくつか例を挙げて、違いを考えてみましょうか。
ポワントとフラットシューズ
ポワントの場合、特にお姫さまなど位(くらい)の高い役では品格を表すために
オンポワントからデミを通過するけれど、かかとを付けないことが多いですね。
もちろん、ポワントでうるさく歩いていると下品に見えます…
ポワントとキャラクターブーツ
マズルカとかをやるならば、ロシアンキャラクター的な踊りであれば、
かかとから歩く普通の歩き方っぽくなります。
でもターンアウトはされていますけど。
あと、ヒールがある靴が多いので、シューズの中ではバレエ的に歩いていてもかかとが地面についているように見えやすいという視覚的なこともあります。
ま、キャラクターブーツを履いている「役」とポワント+チュチュの「役」では位が違うから、という言い方もできるかもしれませんね。
踊っている時と、舞台の端で歩く場合
バリエーションの一部として、走ってコーナーに戻る、という時でなくて、
誰かが踊っている時、舞台に立っているコールドが歩いている時がありますよね。
たとえそれが宮殿のシーンでも、バリエーションの出のようにゆっくりオンポワントで歩かないでしょ?
センターで踊っている人が注目されるはずなんだから、
後ろの人達は雰囲気を壊さない、役になり切る、というのは大事でも、
注目されるような動きではない、という事を頭にいれておかないといけないよね。
素に戻っちゃう人も多いので要注意。
時間稼ぎで歩く笑
あるよねー
グランパドドゥの場合、アダージオが終わって、男性ダンサーのソロの前。
敢えてゆっくりお辞儀などがあって、
女性がゆっくりと出ていく…と。
で、男性ダンサーが勿体ぶって笑 歩きつつポジションにつくよね。
あれは、時間稼ぎですよ。
息を整え、これから始まるテクニカルなソロに集中するため。
だけれど、舞台上には彼だけ。
スポットライトはその背中を追い続けている訳だから、素に戻ってはいけないですから難しいところね。
歩く、を練習してみてね
何がいいたいか?といいますと。
バレエの歩く、って結構難しいのよ。ってこと。
そして正しい形!っていうのがあるわけではないから、指導も難しいかもしれない。
だけれど絶対にやらなければいけない事はあります。
- つま先を伸ばす
- つま先から地面に触る
- ターンアウトはキープする
- 足をしっかりと揃えて歩く(内転筋を使って!)
- 気を抜かない!!!
ここに追加してほしいのは
- ポーデブラ(腕の動き)に歩くものが影響されない
→歩くテンポに合わせて腕がぶれるっていうのはダメですよ。
→肘がつっぱる、バレエの腕のポジションではなくなってしまうのもダメ。
- 背中が丸まらない
→特に舞台で歩く場合、背中を観客席に向けている事も多いので、上半身の正しいアライメントは大切です。
バレエの衣装は背中が大きく開いていますからね、
背中で魅せる、背中で語る、が出来ると踊りに迫力が出ます。
- 歩く、はどの振り付けにも入ってくる。
- 歩く、は小さいうちから練習できる。
- 歩く、がうまく出来ると踊りが上手に見える。
- 歩く、が表現になる!
この記事を読んでくれている先生方は、バリエーションの音楽に合わせて歩く練習をさせてもいいし、
踊っている子はバレエビデオなどでダンサーの歩き方を研究してみてくださいね。
!注意!
ターンアウトで歩くと足首をひねる動きが入るので普段はペンギン歩きをしないように。
つま先「だけ」でターンアウトし、大腿骨から回す、を忘れると足首が痛くなるから気を付けて。
Happy Dancing!