ロルフィングを勧められたのだけど、どう思う?ダンサーが絶対に受けておきたいエクササイズってありますか?という質問メールに答えたポッドキャストです。
確かにどのバレエ学校でもなんらかのフロアワーククラスがカリキュラムに入っています。
バレエ団のSNSを見ていてもエクササイズをしています。
だからエクササイズをやることは大事なんだろうけど、じゃーなにをする?って話。
聞きたい人はこちらから
<スクリプト>
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
DLSポッドキャストはプロの現場から健康なダンス生活を応援する情報サイト、ダンサーズライフサポートドットコムの
ブログ音声バージョンプラスポッドキャストだけの裏話などを毎週金曜日にお送りしています。
このポッドキャストをリアルタイムで聞いてくださっている方はご存知のように今日は2019年5月31日。
今年もあと少しで中間地点ですよ。
早いですねーこのまえ、ターンアウトイベントを冬の東京でやった気がするのに。
さて、今月最後のポッドキャストにもなりますので、今回もメールで来た質問に答えましょう。
長いメールだったので必要なところだけ抜粋しました。
こんにちは。
愛先生のブログ、セミナーで娘が勉強させていただいております。
私も大変興味深くブログを拝読しております。
あるバレエの先生からロルフィングというものを勧められました。
娘の今の身体の状態・使い方を見ると、ロルフィングが良いのではないかと思う。
ロルフィングを受ける事でレッスンも身体に入りやすくなる。
ロルフィングを受けて何も感じなければ、ダンサーとしてのセンスは無いのでは…と言って良いのかも。
との事でした。
私は以前、一年程前でしょうかピラティスについても愛先生にご意見を伺っております。
ピラティスを受けないと、根本的な身体の問題は解決しないとバレエの先生に言われてしまったからです。
その時愛先生からは、ピラティス教師の指導力にかなり左右されるという事を教えていただきました。
その言葉を参考に、周り(同じ教室)でピラティス(パーソナルレッスン)を受けている方たちの意見や様子を伺って、結局ピラティスを受ける事は選びませんでした。
今現在もピラティスは受けていません。
娘はそんなにも身体に偏りがあるのだろうかという不安を感じました。
ロルフィングを知る人、経験者が周りにいないので情報不足でもあります。
バレエの世界ではどのような位置づけなのか?果たしてバレエに繋がるものなのか?
そして、こんなにもバレエのレッスン以外でのフォローが必要なのか?と改めて感じています。
是非ともロルフィングについて、愛先生のご意見を伺いたいと思いました。
という事でした。
まず最初に、バレエダンサーが絶対にやらなければいけないトレーニングはありません。
ありません、というか1つではないですし、名前も付けられないと思います。
例えば、ピラティスが上手だったら舞台でも踊れるか?と言われたら、みんないいえ、って答えるよね。
世の中にはピラティスをしているサッカー選手もいれば、
ジムで健康のためにやっているおばさん達もいます。
ダンサーになるにはレッスンやリハーサルをしないといけない。
これは絶対です。
ただ、どんなスポーツでも本職だけやっているよりもクロストレーニングとか、
コンディショニングとか言われる、他のエクササイズを取り入れている人が多くみられます。
これにはいろいろな理由があるのだけど、プロのアスリートの場合とバレエ生徒の場合はちょっと理由が変わります。
アスリートの場合、同じスポーツばかりを行うと同じ場所に負担がかかるよね。
ということは、その部分のオーバーユーズといわれるケガに繋がりやすくなります。
鍛えたい場所を、いつもとは違った形で使うこと。
それができたら、オーバーユーズのケガのリスクを下げつつ、トレーニングを進める事ができますよね。
ここまではダンサーも一緒。
だけど、チームスポーツの場合、一人じゃ連係プレーは練習できないし、ケガ復帰後いきなり、今までずっとプレーしてきた人と同じフィールドで練習できないから、
個人で、自分のレベルに合わせたトレーニングを入れつつ準備してきたりします。
バレエに近いといわれるフィギュアでもアイストレーニングだけでなく陸トレというのがあり、
この場合も、フィギュアの技を練習しているだけでなく、
バレエやトレーニングなどでアイスの上で使える体を作っています。
もちろん、フィギュアの様に特殊なフロアを使わないとトレーニングできない場合、
陸トレも混ぜたほうが金銭的にも優しいし、様々なスケジュールを組むことができるというチームのメリットもあります。
私はバレエ学校の子達にピラティスをベースにしたボディコンディショニングクラスを指導してきました。
例えば、レッスンで何をやっても大腿四頭筋ばっかり感じちゃう、という子がいたり、
側弯症で、真っすぐがイマイチ分からないだったら、レッスンの中で修正するのはほぼ不可能になります。
特にバレエ学校のレベルになったり、リハーサルになったら。
だから、音楽がなく、振付を覚える必要もなければ、フォーメーションも覚えなくていいエクササイズの時間に、じっくりと自分の体に向きあうことができるのね。
また、今ケガしていて、全てのクラスを100%受講できないって子たちがいた場合、
クラスを見学しながら、ジャンプをしなくても動き続け、体力をおとさないようにすることが出来ます。
エクササイズのやり方、プログラムがあればお家で自主練することも出来るし、
リハーサルで呼ばれていない時に必要なウォームアップをすることも出来るしね。
全幕ものを行うバレエ学校年末公演の場合、例えば2幕に出ない子達は2幕リハの時暇なのよ。
だけど、3幕リハがその後にあるから帰れない、と。
そしてスタジオは他の学年が使っているから踊れない、だったら
休憩ルームや廊下を駆使してエクササイズをしよう、って出来るのね。
私はたまたまピラティスを勉強したから、スタートはそこだったけど、
スタンスの本やターンアウト本で見て分かるように自分で作ったエクササイズもあれば、バレエの動きを融合させてよりダンサーに使えるように応用したものもあります。
でも、別にピラティスじゃなくてもいいし、ジャイロじゃなくてもいいし、この質問にあったロルフィングでなくてもいいです。
これ以上話を進めるまえに、ロルフィングってなに?って思う人もいると思うので、そこを。
超!簡単な説明としてロルフさんが作ったボディワークて、筋膜アプローチが他のエクササイズとは違った点だとも言えるらしいです。10回にわたって行われるベーシックセッションがあるそうです。
ロルフィング、バレエというキーワードで検索してみると
ダンサーからの感想、というのが出てきます。
ただ同じくピラティス、ジャイロ、ヨガ、クロスフィットという単語とバレエでもダンサーが推薦しているのが分かります。
例えば、ロイヤルバレエ団のyoutubeチャンネルを見ると、マシンのバリバリ筋トレから、ジャイロのマシンをつかったものまで様々。
だからね、別にその動きをやらなければいけない!メソッドじゃなきゃいけない、ではない。
振付じゃないんだから。
ただし、ある程度のレベルになったら、自分のやっている種目以外のトレーニングをやる必要も出てくるし、自分に合ったものを探す必要はあるかもしれませんけどね。
自分に合うというのは、考え方、キューイングと言われる注意の言い方、先生との相性、インストラクターの知識レベル、立地条件なんていうのや、値段も含まれます。
例えば、私のクラスを受講したい!と思ってくれたとするじゃん。
愛さんだったら、バレエも知っているし、ケガについての知識もあるし、ダンサーと10年以上仕事しているし、完璧!って思ってくれたとしよう。
でもさ、毎週メルボルンくるか?と言ったら来ないよね。
それそれ。
ボディワーク、コンディショニング系は継続も大事だから、
通える場所、値段というのも大事なんだよね。
その他、私が考えるダンサーのエクササイズはジャイロトニックレビューというブログ記事※にも書いてありますので、そっちも見てね。
メールの質問に戻ろうか。
「ロルフィングを受けて何も感じなければ、ダンサーとしてのセンスが無い」という部分。
これはねぇ、私はロルフィング受けたことないからわからないけど、
実際に私がバレエ学校の生徒だったとき受けたピラティス、なんにも感じなかったよ。
楽しくもなかったし、どーしてこれやるの?って思ってた。
だからかな、今もピュアなピラティスとか、クラシックピラティスといわれる、ジョセフピラティスが提案した「とおり」のエクササイズはダンサー達に使いません。
例えば有名どころでハンドレッドとかシザーズとか。
分からない人は、そういう名前のエクササイズがクラシックピラティスにはあるんだ、ってだけね。
首を床から持ちあげるって動きをほぼやらないというか。
だって、床に仰向けで寝ている時に持ちあげている首、って立つと前に出ている首だからね。
また、ダンサーが注意される姿勢って、体を前に丸めている、つまり背骨屈曲の時ではなく、逆に沿っている時、つまり背骨伸展の時。
カンブレでおなかが出るとか、アラベスクで背中に座っちゃうとか。
もしくは、体をまっすぐに出来ない問題。
正しく立てない、軸に乗れない、ってやつね。
こういうところの注意をバレエダンサー達はされてくるので、私もその部分を改善するエクササイズを考えていく様にしています。
あと、メールの中で昔ピラティスもやれと言われていた、というのがあったじゃない?
何度もボディワークについて先生から指摘されていたとしたら、もしかしたら彼女の体の使い方を見直してみる必要はあるかもしれません。
お母さんからのメールだからちょっと分からないけど、娘さん、先生の注意を聞いていなくて、もしくは反応できなくて、指導者としてお手上げなのかもしれない、というのは頭をよぎります。
集中していない、とか理解力が、ということもある可能性があります。
全体的に体が弱いというのもよくあるケースだけど、現時点では推測でしかないから、
私だったらその先生が求めるものをしっかりと説明してもらう、娘さん、貴方、そして先生の3人で話しあう必要があるんじゃないかなとは感じますよ。
ということで、私の意見をまとめると
ロルフィングがダンサーにとって絶対ではない。
ピラティスがいい、とかジャイロがいい、とかそういうのではなくその先生がその子と合っているか?バレエを理解してくれているか?という方が大事。
そして最後にエクササイズが必要だという意見の根底や、先生の求めているもの、そして子供自身がやりたいことを話しあう必要があるのではないか?と思います、ということでした。
どうだろう?答えになったかな。
長いポッドキャストなのでさっさとおわりにしますが、その前に。
明日、2019年6月1日よりDLS公認インストラクターコースの申し込みが始まります。
これは、ダンサーをエクササイズでサポートしたいと考えている人のためのコースです。
私のようにダンサーのトレーニングをしたい人、リハビリプログラムを作りたい人、そしてスタジオ内でレッスンだけでなくエクササイズクラスも指導したい人のためのコース。
エクササイズを学びたい人用ではなく、エクササイズを指導したい人用です。
詳細はブログでDLSインストラクターコース、と検索してみてください。
ではまた来週!ハッピーダンシング、佐藤愛でした。
※文中、音声内の「ジャイロトニックレビューというブログ記事」は古い情報が掲載されていたため削除してあります。ご了承ください。
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