基本、私はプロダンサーを目指している子達と、そこに関わる人達(親、指導者&治療家・トレーナー)としかお仕事をしておりません。
大人バレエトレーニーさん(大人でバレエレッスンを受けている方々をDLSではトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいます)がDLSを応援してくれているのも、ダンサーの卵たちに早くから正しいことを教える必要があるのも、十分知っていますけど、そこは私の専門エリア外だと線引きしています。
だからといって、
プロダンサーになったらハッピーエンド、幸せな生活へようこそ!とか
勝ち組とは思えないんですよね。
プロになる事「だけ」が幸せなのか?を考えたちょっとディープなポッドキャストです。
聞きたい人はこちらから
<スクリプト>
みなさんこんにちは、DLSポッドキャストへようこそ、佐藤愛です。お元気ですか?
DLSポッドキャストはプロの現場から健康なダンス生活を応援する情報サイト、ダンサーズライフサポートドットコムのブログ音声バージョンプラス
ポッドキャストだけの裏話などを毎週金曜日にお送りしています。
今日は2月最後のポッドキャストなので、毎月恒例のリスナーさんからの質問応答ポッドキャストをお送りいたします。
とはいってもね、今日のメールは質問、ってはないんだけど、
すごくいいメッセージがあったので「プロダンサーになるのが幸せか?」という事を考えていきたいと思います。
まずは、メールを読みますね。
初めまして。
いつもDLSの記事を拝読させていただいています。私の夫がアレクサンダーテクニークの教師になる勉強を始めた2011年から、
私も一緒に身体について、筋肉について、動きについて学んできました。
今は夫はATの教師になり、私や生徒たちのバレエをサポートしてくれています。
学んでいくなかで、ほんっっとによく自分これで踊ってきたな、教えてきたな(>_<) と思う事がものすごくあり、反省の日々です。海外標準の情報 プラス愛さんの仕事で自ら得た様々な情報を
こんなに親切に惜しげもなく(しかも本業でかなりお忙しいはずなのに高頻度で更新)
日本のバレエ人の為に教えていただいて、日本の教師が学ばせてもらっているだけでなく、
これからの子たちは本当に幸せだなぁと思います。あと20年(いや、30年か(;´д`))遅くに産まれたかったなぁと思ってしまいます。
私の生徒にもDLSを紹介して、上手くなりたい子は自分で情報を拾って学ぶように言っています。
愛さんからの厳しい質問や意見を読んでそれでプロになるのを諦める子がいても、それがその子の真っ当なのではと思います。
うちはプロになりたい!という子の方が少ないのですが、だからこそ無理をした身体で傷めるのがバレエとは思って欲しくなく、身体も心も幸せであれるよう教師として学び続けようと思っています。
素敵なメール、ありがとうございました!
バレエをやっていると、プロになった子が成功で、
プロにならなかった子は落ちこぼれ、断念、という考えがあると思うんです。
なのでよく「プロになれなかったからOOをしている」という声を聞きます。
OOに入るのは、教えでもいいし、ピラティスインストラクターでもいいし、なんでもいいんだけど。
なれなかった、のではなく、
バレエの経験を生かして、
って言葉を変えるだけで、なんだかポジティブな感じになりませんか?
管理栄養士ふみさんインタビュービデオもそうだし、
東大生なっちゃんのインタビュービデオでもそうだけど、
彼らが落ちこぼれ、とは私には思えないんだよね。
皆さんもそうじゃない?
フミさんの場合、今は踊っていないからバレエを「卒業」して、とかバレエへの愛情の形を変えて、っていう表現が適しているって私は感じるし、
なっちゃんの場合は、まだまだ踊っているけど、そのゴールはプロを目指す、ではなく
自分にチャレンジしている、とかまだ研究したいものがある、ってメッセージを私は感じます。
いただいたメールにもあったけれど、
「愛さんからの厳しい質問や意見を読んでそれでプロになるのを諦める子がいても、それがその子の真っ当なのではと思います。」
という部分、私もその覚悟で記事を書いたり、講習会で指導したりしています。
実際にね、過去の冬期バレエ講習会では、その後にバレエを辞めた、という子もいるんですよ。
その子のお母さんからメールをもらって、元々、セミナー前からバレエに進むか、心が揺らいでいたようですが、セミナー後やっぱりここじゃない、と確信できた、と。
メルボルンのクリニックで1年以上3か月に一度のペースで見てきた子も、
最後のセッションの時にお母さんと娘さんからクリスマスカードをもらって
「体の事を勉強するのはとっても楽しかったし、上達する自分や、弱い自分も見えた。
でもやっぱりやりたいのはバレエではないと分かったので、来年からはコンテに強いバレエ学校に変更する」
と書いてありました。
自分のやりたい事が明確になるって、すごくいい事だと思いません?
特にそれがポジティブなものだったら。
DLSがまだ新しく、2013,4年にセミナ―に参加してくれていた子が、その後ヨーロッパにバレエ留学していて。
時々メールで、愛さんのセミナ―で使った資料を使って、解剖学クラスのプレゼンをしたんだよ、とか教えてくれていたんですが
3年間の留学を経て、プロではなく、治療家になりたいと日本に帰国しました、と教えてくれました。
彼女のメールを引用しますね。
でも、プロを目指すのをやめたことに後悔や未練は全くなく、三年間そこで本当にたくさんのことを吸収できてよかったと思っています!
学校生活そのものはもちろんですが、人、先生方との出会い、休みの日に舞台や美術館に積極的に足を運んだこと、テロなどの政治的な問題が起こる中での生活も含めて価値ある経験ができました。
素敵じゃない?
そして、彼女がバレエを断念した、とは私には思えなくて、次のチャプターを開けた、としか感じないんだよね。
全員に共通することは、なんとなく、ダラダラやった、のではなく、
やりきって、次の道に進んでいる事。
そして自分の中でやりたい事がはっきりしていること。
つまりゴールがはっきりしている、って事ね。
甲子園とか駅伝もそうだけど、青春をがっつりかけてやりきった!って素敵だと思うし、
人間としてすごく魅力的だと思う。
逆にプロになっても幸せでない子もたくさんいるのが事実で、
でも職業になっちゃったから今さら辞められるわけでもないし…という人がいるのも知っています。
国によってはバレエダンサーは公務員になるので、研修期間が終わると、終身雇用になる場所もあり、
踊るパッションがなくなっても舞台にたつ、っていう人がいるというのを卒業生から聞いています。
となると、プロになる「だけ」が幸せじゃないんだよね、って気づくよね。
いい大学にさえ入れば、とか大手企業に入社したから、給料がいいから、幸せ、っていうのはやっぱりなくて、
もの、や未来、が幸せにしてくれるのを願うのではなく、
今の自分が幸せでないと一生幸せにはなれないと思うんだよね。
今の連続が、未来を作るんだからさ。
だからこそ、最初のメールにあったように、
「うちはプロになりたい!という子の方が少ないのですが、だからこそ無理をした身体で傷めるのがバレエとは思って欲しくなく、身体も心も幸せであれるよう教師として学び続けようと思っています。」
というのを聞くととてもうれしくなる。
だって、ケガするのが幸せ、って感じるわけないし、
ケガして、満足に踊れなかったら一生後悔するだろうし。
そして彼らがどの道を将来選んだとしても、健康な体がなければ元も子もないわけで。
だからこそ、DLSはハッピーダンシングを応援しているんだよな、ってこのメールをよんで再確認しました。
という事で、なんだかちょっといつもと違った感じのポッドキャストになっちゃいましたが、楽しんでもらえましたでしょうか?
私にメール、質問がある人はhello@dancerslifesupport.comに
ポッドキャスト質問という題名でメールを送って下さいね。
感想だけでも大丈夫です。ではまた来週のポッドキャストでお会いしましょう。
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