*このブログは2013年に書かれたものを2020年に大幅加筆修正しました。
今日は骨盤にスポットライトを当てて行きます。
構造だとか、名称だとかの前に先にお伝えしておきたい事、それは背骨が体の大黒柱だとしたら、骨盤は体の土台だということ。
骨盤は
- 内臓を守り
- 上半身と下半身をつなげるカナメになり
- たくさんの筋肉たちの付着部分でもあり
- 新しい命が育つ場所でもありますよね
すんげー大事だからしっかりと理解して、大事にしてあげてください。
骨盤を作る骨たちと関節
骨盤、っていう骨が1つあるのではなくって、3つの骨がくっついてできています。
なので骨盤の中にも関節があるってことね。
(関節=二つ以上の骨がぶつかって動きが生まれるところ・詳細はこっちの記事)
ただ、骨盤の関節達は大きな動きを作るような構造にはなっていませんけどね。
骨盤が歪むとか、骨盤がズレるとかいう人いるけれど(特にダイエット業界)出産後の特別ケースを除き(ホルモンの関係上、靭帯が緩む+内側からのプレッシャーがかかるため)、ズレるって言っても「ミリ」の世界ですよ。
歪みを直したら痩せた、とか健康になったとかいう人も特別なケースを除き(仙腸関節の痛みがあったり、関節過度柔軟性の症状がある人は別)根拠のない宣伝文句なんじゃないかと思っています。
だってパブリッシュされている研究で見たことないもん。
あ、話がズレた。
(indeed, pun intended!)
骨盤を作っている骨は仙骨(せんこつ・sacrum)と2つの寛骨(かんこつ・hip bones)で出来ています。
よって関節は
- 仙骨と右の寛骨がぶつかるところ=右の仙腸関節(せんちょうかんせつ・sacroiliac joint)
- 仙骨と左の寛骨がぶつかるところ=左の仙腸関節
- 両方の寛骨がぶつかるところ=恥骨結合(ちこつけつごう・pubic symphysis)
の3つになるのね。
ただ、この寛骨っていうのが面倒で、場所によって3つの名前があります。
- 上の部分が腸骨(ちょうこつ・ilium)
- 前の部分が恥骨(ちこつ・pubis)
- 後ろの部分というか、下の部分?が坐骨(ざこつ・ischium)
なんです。
ねー面倒だよね。
3つの部分に名前がついている理由は、生まれてきたときはこの3つ離れているんですよ。
それがくっついて1つの骨になるの。
そんな事を現役ダンサーが知っておく必要はありませんけどね。
幼いダンサーを指導する先生と幼い子供にバレエを習わせている保護者は名前は知らなくても、「骨盤も成長するんだ」という文章にすると当たり前すぎる、
だけど皆が無視する事実を頭に入れておいてください。
この部分はケガ予防の為にとっても大事なのでこちらの記事で別途レントゲン付きで説明しています。
骨盤の形と性別、年齢
骨盤の形は年齢や性別によってかなり違います。
- 細かく全ては見ていかないけれど、
- 生まれたときは3つの骨が分かれている
- 7-8歳で坐骨と恥骨がほぼくっつく
- 骨盤の場所によっては18-20代後半で完全にくっつく場所もある
骨が完全にくっついていないという事実を頭にいれたら、子供の体を指導する場合は十分に注意が必要だし、
結合していない骨(で関節として機能していない部分)をストレッチで無理やり押したり、引っ張ったりしたらどうなるか?も考えてほしい。
(バイオロジカルな方の性別で)男性の骨盤と女性の骨盤も形が違うのは多くの人が知っているかもしれないけど、一応確認しておこうか。
男性の骨盤はハート形?縦長?幅が狭いっていうの?
それに比べて女性の骨盤は横に広くなってます。
ここにも年齢が関係してくるんだけど、女性の骨盤は思春期より形が変わってきて、一番広くなるのが25-30と言われているみたい。
そして40代からまた幅が狭くなってくるようです。
もっとこのエリアを研究したい人はこちらの英語の論文をどうぞ。
ただしダンサーや指導者にここまで知識は必要ないので治療家向きではあります。
思春期でおしりが大きくなった!だからダイエットしなきゃ!!
という言葉も聞くし、生理が来たら太るからその前から食事制限しなきゃ…なんていう人達がバレエ界だけでなくてもいるけれど、
解剖学を理解すると、それは脂肪とかダイエットとかと関係なく、
(バイオロジカルな)女性の体が、正常に成長しているという事であり、骨の話であるという事を理解してください。
→ダンサーにダイエットはいらないという話を専門家から勉強してね(外部リンク)
ダンサーの味方、骨盤の前の三角形
骨盤のプレースメント、タックしないで、おしりを入れて!
色々な言い方をされるとは思うんだけど、レッスンの中で骨盤のプレースメントを注意されますよね。
なんでか?って言ったら記事の最初に書いたようにダンサーにとって骨盤はテクニックの発祥地だから。
よって、骨盤が正しいプレースメントにおかれていなければ、
全てのテクニックが正しくなりません。
大げさな言い方でなくて、文字通り「全て」のテクニックが正しくなりません。
でも正しいプレースメントってどうやって分かるの?って思うよね。
それを確認するために、私は骨盤の前の三角形、というものを使っています。
(あ、プレースメントって言葉やアライメントとの違いを理解したい人はこの記事で説明しています。該当するビデオもあるから文章に疲れた人は動画で見てね)
骨盤の前の三角形をつくる骨の出っ張りはこちら。
この骨盤の前の三角形が真っすぐに立っている時に
- 両手バーの場合、バーと並行
- 片手バーの場合、バーと直角
- センターの場合、向いているスタジオ方向に面する
とならなければいけません。
だから初心者クラスでは両手バーでバーレッスンするし、
センターはアンファセ(en face)で練習するわけさ。
それが出来ていないのに、片手バーやクロワゼでスタートする振付なんて無理だからね。
骨盤のプレースメント練習エクササイズ
私の本、「バレエの立ち方出来てますか?」のチャプター3に骨盤のプレースメントに関するエクササイズがたくさん載っています。
その中でも特に、三角形フォーカスのやつをピックアップしておきますね。
- 骨盤ステーボライザー(P104)…自分の骨盤の癖や動きやすさを確認し、まっすぐの理解を頭に入れる
- 骨盤の前の三角形ファインダー(P100)…股関節屈曲しても三角形をキープできるか?にチャレンジ
- 内転筋エクササイズ(P137)…股関節内転しても三角形をキープできるかにチャレンジ
- バックエクステンション(P97)…胴体を動かしても三角形の正しい位置に「戻って」来られるか?を確認
汗を書くようなエクササイズではないし、椅子があればすぐにできるのでどうぞ。
レッスン前のウォームアップ序盤に入れておくのもいいかもね。
まとめ:ダンサーが骨盤について知っておきたい事
- 骨盤はすんげー大事です
- 骨盤は3つの骨で出来ています
- 骨盤の形は年齢や性別によって大きく違います
- 上達したかったら骨盤の前の三角形を味方につけて
結局、早く上達するためにも、怪我せず安全に踊るためにも、知識はすんげー大事だって事だよね。
→バレエ解剖学をもっと学びたい指導者は教師のためのバレエ解剖学講座をチェック
→スタンス本のエクササイズが正しく出来ているか?を確認したい人はスタンスWSでお会いしましょう
→骨盤を安定させるって腹筋がやるの?と思った人はオンライン学校の腹筋で学ぼう
Happy Dancing!