ターンアウトできてますか?本の先行予約終了があと2日に迫っているこの時期に、
あえて、ターンアウトとはまったく!関係ないこの記事を書こうと思ったのは、あるメールをもらったからです。
本人に許可を取っていないので、内容を抜粋だけしますが、
- 子供が疲労骨折をしていて、そのリサーチをしていたらDLSに行きついた。
- 疲労骨折の記事で説明した私の年齢と、娘さんの年齢が一緒。
- 親として悲しくなることもあるけど、記事を書いてくれてありがとう。
という内容でした。
あの記事からかなり時間が経っているので、2018年1月に行われたバレエの立ち方できてますか?先行予約イベントでは私の摂食障害についてもお話しています。
だいぶオープンに経験を話せるようになったと思う。
なかなかメールをいただいた全員に返信が出来ない事もあるんですが、全部目を通しています。
そういう悩みがあるんだ、と思ったら記事にすることもあるし、
ポッドキャストに取りいれたり、セミナ―でお話したりすることも。
今回のメールは私に「普通は普通じゃない」って事を教えてくれました。
私にとって、疲労骨折の知識は普通で、バレエ学校でもよく見るから話すけど、
その知識が普通ではないからシェアしなきゃいけない!って事。
だってねぇ、いくらいい知識でも私死んじゃったら意味ないでしょ?
その前にどんどん出さなきゃ、便秘になっちゃう笑
治療家トレーナーセミナ―の特化コースで「股関節障害」についてお話したことがあるんですが、
そこでも、私にとっては普通、という情報が日本にはまだ入っていなかたり、
ダンサーと仕事をして、ある程度内輪で繋がっていないと分からない事がいっぱいあるんです。
そちらを受講する予定の人、内容すっごく詰まってるから、前日しっかりと寝て頭シャキーン状態で参加してね。
*私みたいに、ダンサーをサポートしたい!と思っている学生さんも参加できるよ。
難しいけど、様々な職業の人の話を聞けたり、繋がることができます。
何の話をしていたんだかね?
そうそう、骨膜炎。
ダンサーにも見られやすく、「骨折じゃないジャーン」って甘く見られがちだから、
早速見てみましょう!
骨膜って何?
まずはここから始めようか。
骨の膜!?
そう、骨には膜があるのよ。
固い骨の周りを覆っている皮膚みたいなやつで(だから膜)、
血管とか神経とかが走ってて骨に栄養を届けてくれたりしているわけ。
骨についてる腱とか、関節包とかもこの骨の膜についているって言えるの。
(まー正確には骨膜だけでなく、その奥のレイヤーまでついているやつもいるけどそういうごちゃごちゃとした部分は省こう!)
それを骨膜(こつまく)periosteumと言います。
ダンサーの骨膜炎とは?
ダンサーの場合、脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)というのが一番よく見られるかもしれません。
これね、難しい漢字で書いてあるけどいわゆるシンスプリントの事ね。
バレエやってます、脛の痛みです=はい、シンスプリントって言われるけど色々なのがあるんだから!
成長中です、膝が痛いです=成長痛だから安静ねーで終わり、と同じようなものだね。
この記事ですでに説明したやつはコンパートメント症候群というケガですが、一緒に読んでおいてください。
膝下の正しくない使い方や弱さ、アライメントが不正確
→
筋肉が異常に硬くなったり、正しく働かなくなる(どこかで無理をする)
→
筋肉の付着部である骨膜に負担がかかる
→
炎症を起こす
→
骨膜炎になる
という順番でケガになります。
さっき言ったけど、神経も通ってるから痛いのよーこれ。
骨折れてるんじゃん!?っていうくらい。
そして炎症を起こしているということは腫れも生じるケースもあるので
触ると一部がとっても痛い!!なんてこともあります。
骨挫傷、骨膜炎、疲労骨折…とスキャン
骨挫傷、骨膜炎、疲労骨折、これらを見極めるのはかなり難しいです。
レントゲンではほぼ無理。
(うん、疲労骨折もレントゲンではでないケースも多いです)
MRIでは見られるかもしれませんが、こちらの研究によるとこのようなスキャンは「読む人」によって見落としもあるし、慣れもあり、診断内容が違うって書かれています。
そう、MRIの結果=100%ではない場合もあるのよ。
とってくれている人の腕と、レポートを書いてくれる人の知識によってかなり左右されるのが(研究でも証明された)事実です。
スキャンは写真です。
目安です。
私の場合ですが、生徒をスキャンに送るのはかなりの最終手段になります。
だって、その前にできること、目安になるものがたくさんあるもん!
寿命が短いキャリアのダンサーを、そうそう簡単にスキャンや手術に送りたくない。
また、種類によってはケガを悪化させる場合もある。
ま、これは骨膜炎とは関係ないから今日はそこまで。
骨膜炎判断ではどんな情報が必要か?
- 彼女の過去のケガ
- 踊りの癖、先生からの注意
- 食事や生理
- 今のトレーニング内容と過去のトレーニング内容の違い
- 足の裏の使い方
- 痛みを感じている長さ
ここら辺をチェックしたら経験豊かな人だったらかなりの情報をゲットできます。
(経験豊かな、っていうと自慢のように聞こえますがそうじゃないよ。
ただ私のいる環境が特殊でセミプロを10年以上毎日見てるっていうのをやっているからそうなっちゃっただけ)
そこにプラスして
- 姿勢(筋バランス)
- 触り心地笑(でもね、熱を持っているかとか腫れとか、手を当てることで分かる情報)
などが分かればほぼ!!分かります。
時々、生徒のケガの部分を触ってうーん、といっている私は体温の違いを測っています。
へんな宗教でもなければ、QIをいれている訳でもございません。。。。
ここに一応書いておくけど、自己判断する材料にしてね、という意味じゃないですからね。
お医者さんに聞かれたら、どういう意味があって質問されているのか、が分かると思うし、
治療家トレーナーの人はこちらを参考にできると思うので書いておくよ。
餅は餅屋、診断はプロに。
(あ、腕のいい人に見てもらいましょうね)
彼女の過去のケガ
同じ場所の経験、反対側の足のケガなど。
どれくらいケガの部分に負担がかかりやすい要素があるのか?を判断
前回もやったことがある、としたらその際どんなリハビリをしたか?
(もしくはまったくしなかったのか?)が分かったら、どこまで戻ってリハビリをする必要があるか?が見えてきます。
足首の話ですが、足首の痛みがあると、おしりの筋肉が働くなるって事があるくらいだから、
この痛みがどれくらい続いていたか?によって、ケガの部分を動かさなくてもリハビリできます。
踊りの癖、先生からの注意
…踊りのケガだった場合(私はそれしか見ない)、踊りの癖=ケガのリスクが大きい場所なので、
先生にいつもどんな注意をされているか?を聞きます。
先生からどんな「言葉」の注意がおおいか?によって彼女の性格も分かります。
これは、今後信頼関係を築く上で、どんな言葉に反応する子なのか?を理解するために大事な情報。
食事や生理
…栄養素の状態はもちろんだけど、生理と骨はとっても深くつながっているので、
その状態を知るのは大事。
ただし、この情報を聞くとき、生徒(クライアント)との関係によっては情報がゲット出来ない場合があるので注意が必要です。
ダンサーは食事量をしっかりと説明してくれないし、体に悪いものだと思っていたら(そうかそうじゃないか、の事実は別)言ってはくれません。
生理の話も、ねぇ。
今のトレーニング内容と過去のトレーニング内容の違い
…シンスプリント、コンパートメント症候群系は踊りの量が一気に増えたときになりやすく、
疲労骨折はそれが続いた状態でなりやすい、と考えると、
どこまで症状が進んでいるか?を判断する基準になります。
レッスン量だけでなく、フロアの素材やリハが増えたVS普通レッスンが増えたか?でもかなり変わります。
足の裏の使い方
これは、見ていればわかるっちゃー分かるンだが。
同じエリアを考える質問が「プチ、ミディアム、グランアレグロのうち、痛いのはどれ?」って感じかな。
足の裏が使えていないダンサーで、下肢のケガだったら、プチが一番痛い、っていうはず。
重心移動を始めたら、グランになったら大丈夫。
だから痛くても、踊り続けちゃうんだけどね。
痛みを感じている長さ
…最初の項目と似ている部分があるんですが、それ以外にも、踊っている時だけ痛い。
のか、朝が一番痛い、体が温まると大丈夫、一度痛くなったらずきずきが止まらない、
など痛みの種類があるはずです。
それが分かると、骨VS筋肉(筋膜)のどこからきているのか?が分かりやすくなります。
これだけ!だと判断基準にならないけど、これとその他、だったらトドメ情報になります。
ケガの根本を探せ!
休めばどんな怪我でも痛くなくなります。
ある程度は。
で、またリハが続くと痛くなります。
だいたいの子達は
「大丈夫、この痛み昔やってるから。休めばよくなるよ」
って言っていますが、これはバカ丸出しです。
結局ね、ダンサーのケガは原因があるのよ。
それを探さないと、いくら休んでもまた戻ってくるよ。
- 痛い時にかばっている=変な癖がもっとつく、ほかの部分に負担がかかり、新しいケガにつながる
- 休む=筋肉、テクニック共に弱くなるのでケガの治りが遅くなる
- 同じ場所を怪我し続ける=治りが遅くなったり、疲労骨折によっては治らない場合も。
などの問題が出てきます。
虫歯です!ってなったら歯医者に行くけど、
その後おうちで歯磨きを続けなかったらまた虫歯になるでしょ?
最初に虫歯になった時、たぶん歯の形とか、食事習慣、歯磨きのテクニックなどでその部分が磨けていなかったんだから。
それを改善しないと、また虫歯だよね?
最終的には差し歯だよ??
ダンサーのケガも同じ。
しっかりと治す。
そして治すというのはケガした組織を修復させるだけでなく、
ケガの原因となったテクニックをどうにかするべきなのよ。
じゃ、どうしろよ?って感じですよね。
でもね、ここで記事は終わります。
何故なら、さっき上で挙げたように、「骨膜炎(かも)です」って言っても、
その人のレベルやケガの歴史、レッスン量などによってやることが変わってきます。
だから、フォーミュラーみたいにお話できない。
ごめんね。
だからこそ、いい人に診てもらうのは大事だし、もしかしたら、
医者(判断する人)、治療者(治療する人)、トレーナー(リハビリする人)、バレエの先生(個人レッスンする人)などが必要かもしれません。
ダンサーを診てくれる人が増えて、happy dancingが増えるように、私も微力ながら治療家トレーナーセミナ―を毎年開催しています。
過去2年間の参加者のリストはこちらのページにアップしていますから、使ってあげて下さい。
Happy Dancing!