タイトル通りのことを今日は考えていきましょうよ。
「バレエレッスンにエクササイズは必要か?」と言い換えてもいいよね。
つまりトレーナーさんに任せるのではなく、スタジオでフロアエクササイズを指導したり、ストレッチを指導すべきか?ってところ。
大御所系バレエ学校のエクササイズクラス
ここでいう大御所ってのはワールドバレエデイとかに出るレベルって事ね。
YouTubeを見て分かるように、レッスン前後に先生がエクササイズを指導しておりません!
ただ、どのフルタイムのバレエ学校でもエクササイズクラス(ピラティス、フロアバレエ、フィットネス・・・呼び方はどうでもいい)はあります。
そしてそこでは、それ専門の先生が指導しております。(私がその一人です)
これだけを見ていると、
- トレーニング、エクササイズは必須科目の一つ
だけれど、
- バレエの先生が指導しなくてもいい
という背景が見えますよね。
ちなみにカンパニーダンサーがトレーニングしている風景を見たり、インスタにアップされたりしているのを見ると、
彼らはエクササイズ「も」指導されてきている。
だが、レッスンの中ではやっていなかった、というのが見えるはずです。
日本のスタジオのエクササイズ指導は?
ここがポイントでしょう。
みんなが皆、大きなバレエ学校で何人もの教師を構えているわけではないですからねー
- スタジオで指導しているのはバレエであって、プロを目指すように毎日5-6時間踊っていなかったら。
- コンテや創作、その他の体の使い方が違うクラスを受けなかったら。
- 試験でフィットネスがチェックされるのでなければ。
バレエの先生がエクササイズを指導する必要は全くもってないと私は思います。
何度もブログで書いていますし、セミナーでもお話していますが、
バレエは結局、最終的にはバレエレッスンの中で上達します。
つまり、コーディネーション力やアンシェヌマンを覚える早さ、優雅な動きとか言われるバレエ独特の作法というのはエクササイズじゃないんです。
(サプリメントとしてのエクササイズ、という記事でも書いたね)
ほら、トライアスロンをやっている人がいるとするじゃない?
体力も、持久力も、脚力もある。
たぶん、トレーニング中に音楽を聞いて自転車に乗ってると思う。
でもこの人達がバレエができるか?というと・・・ねぇ。
バレエをやっていなくても踊れるようになる、というケースはないわけではありません。
有名どころがミスティ・コープランドのように、遅くからレッスンを始めたっていう話ね。
この記事にも書いたコンセプトだけど、3歳からバレエをやったらみんなが森下洋子にならないのと同じで、
遅くからバレエを始めたらみんな、コープランドになれるわけではない。
バレエ人口、特にプリンシパル人口をしっかりと研究すると、そういうスーパースターは少なく、皆レッスンは若い時からしてきている。
注1)小さいうちに、無理なレッスンをさせるのではなく、コンクールに多数でるのではないよ!大きなバレエ学校はコンクールに生徒をだしませんから。
注2)コープランドがバレエを始めた、というサンペドロバレエのスケジュールをみたらエクササイズクラスはありませんでした。ですが、バレエを始めてからは毎週かなりの量のレッスンをやっていたみたいです。
しかも、バレエレッスンにくる子達は「バレエ」をしたくてくるっていう最初のステップがあるのも忘れたくないですよね。
とはいえ、エクササイズ指導ができると便利!
バレエのテクニックを正しく理解し、小さいころから徐々に難易度を上げていけば・・・
ある程度の体は作られます。
バレエレッスンはそうやって作られてきたのだし、歴史上の素晴らしいダンサー達もレッスンだけで様々な振り付けを踊ってきました。
最初に書いたように、コンテとか最近のカンパニーのデマンドが高くなっている事は置いておきましょう。
ただし、日本でスタジオを開いていると小さい子から順に育てていく・・・というのが難しいですよね。
- 他のスタジオから移ってきた
- 受験になると、試験になるとレッスンを休んでしまう
- レベルの違う子たち、目的が違う生徒が同じクラスにいる
- 大人バレエトレーニーさん(大人でバレエレッスンを受けている方々をDLSではトレーニー「トレーニングする人」と呼んでいます)
- レッスン内、外でのケガをしてる子たち
なんてことがある場合、エクササイズを知っているとすごく便利ではあります。
- その子の悩みや、弱点に合わせてエクササイズを教えてあげられる。
- しっかりとしたウォームアップやお家で出来る事を指導してあげられる
- ケガしている子もレッスンに参加できるようになる。
- ずっとプリエとタンジュだけやっている訳にもいかないから、レッスンの難易度を上げず(安全に)運動することができる
これらができたら素晴らしいじゃないですか!!
バレエ教師がエクササイズを指導する時に気をつけたいこと
はじめに体のしくみや構造ありき
つまり、解剖学が分かっていないとエクササイズは指導できません。
バレエは皆さんの経験から指導できちゃう部分があるかもしれないけど、エクササイズはそうはいかない。
骨の位置と筋肉繊維の方向、そしてどこまで動くのか?が理解出来ていないと使えません。
その時、筋肉の名前はあまり関係ないでしょうね、でもレッスンを見ていて、骨盤が安定しない理由が
- 軸足の弱さなのか(足)
- 腹筋群が骨盤と肋骨をサポートしていないのか(体の前)
- 脊柱起立筋が上体を支えていないのか(体の後ろ)
- コアマッスルが弱いのか(体の中)
がある程度分かってこないと、エクササイズを生徒にあげることは出来ないよね。
体を見る目がなければケガに繋がる
使えないどころかケガの原因や変な癖を付けることにも。
実際に今見ている生徒の一人、去年すごく大きな腰のケガがあり、歩くのも大変という時期がありました。
彼女、日本でエクササイズ指導されてました。でも、腰を地面に押しつけて行う腹筋だとか、そういうの。
日本では踊っている量が多くなかったので大事にならなかったのですが、こっちにきたら動く量が違いますからね。
ケガっていうのは、エクササイズ中に起きるのではなく、何年も経ってから徐々に出始めることもあります。
エクササイズは数より質
先生の場合、1つのエリアで1つエクササイズを知っていたら十分ですよ!
例えばみんなが出来る腹筋とか、どんな足でもできるつま先強化とか。
- それをレッスンにうまく混ぜ合わせてあげたり、
- 個人的にアレンジして挙げたり
- 年齢に合わせて変化させたり、
- 体の方向を変えたり、スピードを変えて応用させてみたり
とするだけでどんどん新しいエクササイズに変わっていきます。
タンジュ、とはタンジュ。
だけど、
3拍子VS4拍子
インカウントVSアウトカウント
腕は2番ポジションのままVSポーデブラを使う
とやったら難易度が変わりますでしょ?エクササイズも一緒。
バレエに使えるものを選んで
当たり前ですけどね・・・
腹筋を強くする!柔軟性を上げる!といっても
バレエの動きの中で、アラベスクで、ジャンプの時に・・・
というのはやっぱりそれぞれ違うのです。
ピラティス=全部バレエに使えるではありません。(私、ピラティスインストラクターの資格をもっているので中からも言えます)
クラシックピラティスのフロアはヒップフレクサー優位、ダンサーにとってはそこを固めて踊る癖を付ける原因となってしまいます。
だけどコンビネーションや、動きを調整することでダンサーに使えるようになる。
年齢とエクササイズ
これだけでも長くなっちゃったけど、最後にここだけ書かせてください。
ちっちゃい子達ばっかり指導している人であったらエクササイズセミナーに行くよりは、子供の成長過程やシラバスを勉強した方が、今の生徒さんたちのためになるかもしれません。
→ダンサーの卵セッションではプロを目指した場合、成長過程にどのようなことが必要か?をお話しています。
大人バレエトレーニーさんばかり指導している人は、安全にできるストレッチを勉強した方がいいかもしれません。
特に会社帰りの人達だったら、長時間座ってタックになっている腰や、猫背などをちゃんと伸ばしてあげたら、レッスン中に変な癖がつきづらくなります。
そういうところまで考えてあげるといいんじゃないかなーって思うのです。
Happy Dancing!