最近、ブログのコメントに若いダンサーたちがすっごくいいコメントを残してくれています。
嬉しいし、真剣なのが見えるから真剣に(ということは鬼の愛モードで)お返事したり、一緒に考えたりしています。
今日の質問はあまりにも素晴らしかったのでブログにもとり上げようと思いました。
まずは彼女からの質問ね。
初めまして。中学3年生。バレエ歴は11年目です。
私は沢山努力をして居残りレッスンもしています。
それでも納得いくような踊りができません。
いわゆる伸び悩みの時期です。
そんな自分が許せなくて泣きながらレッスンをしたりしています。
伸び悩みはどうしたらよくなっていきますか?
伸び悩みとはなんだ?
メールを貰ったときのお返事ではこのように私は返しました。
↓
「いわゆる伸び悩み」って書いてありますがそういう時期があるというのは私は(巷で言われるけど、科学的には)分かりません。
誰に伸び悩みって言われたの?自分で決めちゃったの??
分かりません、って私セミナ―でもブログでもよくやるんだけど、分からなかったら分かりません、って言います笑
切羽詰まっている感じだったから早く返信してあげようと思ったのだけど、その後リサーチしてみました。
伸び悩みとは?と辞書で見てみると
三省堂 大辞林では「伸び悩むこと」と一言。
おいっっっ!!んな事わかっとるわ。
気を取りなおして。
日本語活用形辞書では「ま行五段活用の動詞「伸び悩む」の連用形、あるいはそれが名詞化したもの。
・・・
ふーん。ありがとーございました。
実用日本語表現辞典では「思うように向上・成長せずにいるさま、一定程度で停滞しているさま」
とありました。よーやくって感じだね。
ちなみに英語だとsluggish riseなんて直訳が出てきましたが、こんなの使ったのも聞いたのもありません。
例文とかだとslower glowthとかそーのままの言葉が使われる。
ということは、多分日本語特有の表現なのでしょうかね、
伸び悩みは頭の中に!?
ということで、あんまり明確な定義がないみたいですが、
「思うように向上・成長せずにいるさま、一定程度で停滞しているさま」
を考えると、「思うように」というキーワードと「停滞」というキーワードが出てきます。
つまりね、自分が考えている成長と現実とのひずみがある場合に伸び悩みになるということ。
そして、何を基準に停滞を測っているのか?も疑問になってきます。
以下私の返信
↓
努力をしているつもりでした、という記事では自分が「やっている」と思う努力が果たして本当に努力なのかを説明しています。
バレエレッスンを最大限に使ってますか?という記事ではレッスンの質(居残り=上手になるではないからね)を確認しています。
そして最近の記事である絶対に上達するトレーニング法という記事では明確なゴールの作り方、つまり努力する方向をしっかりと見定める方法を3パートにわけてお話しています。
これらを読んで、自分が「本当に」「正しい方向へ」「結果が出るような」努力しているのかを見てみましょう。
彼女の場合、これだけ努力しているのに結果が出ないという事を書いていましたから、まずは
- 努力しているつもりになっていないか?(努力の質ね)
- レッスン量だけに囚われていないか?(レッスンの質)
そして
- 漠然と伸び悩みではなく、どこをいつまでに、どのように上達させたいのか?をはっきりさせたゴール設定&そのための対策
を見なおす必要があると感じたの。
ちなみに今この記事のために過去記事を見直していたら、「努力という才能 パート2」もありました。
この記事も、読者さんからの質問に答えた記事ですね。
そうそう、この質問をくれた子は今は日本でも超!有名な大学院でバレエ動作について研究をしているそうです(去年会った時に教えてくれた)。
努力のベクトルが決まって、自分の道が見えて、そして努力した結果が見えますよね!
漠然と上手になりたい。。。では伸び悩みは必至
もし、伸び悩みが脳内で起こることであったと仮定したら、漠然なゴール設定では「絶対に」伸び悩みます。
だって計測できないんだもん。
つま先のばしたーいというよく聞く悩みも
- ジャンプ?
- ポワントの軸足?
- タンジュ?
- どこまで伸びたらOk?
と考えるとトレーニングする方法が変わってきます。
また、
- 伸ばしたいVS強くしたい
つまり
- 関節の柔軟性が不十分VS筋力が不十分なのか?
によってやることが変わります。
しかも
- 筋力が不十分っていうのも
- ピュアな筋力、
- 踊り続ける中で使えなくなるから持久力
- 他の動きと一緒にやったら出来ないコーディネート力
- はたまたシューズが合っていない環境的問題???
によって努力すべきことが変わります。
(ちなみにつま先に対して悩んでいる子達、ダンサーの足セミナーをお勧めします。プロ目指しているンだったら絶対に来なさい。
ダンサーでケガする確率が高い部分でもあるし、みんなの悩みでもあるしね。
伸び悩むなんて言ってられないくらい確実につま先について勉強してもらいます。)
ゴール設定というのは成長を左右するすごく大事な事だから、この前3段階に分けて、あんなに長い記事を書いたんですよ。
読んでいない人はこちらがパート1。ただし長いのでメモできる準備を!
泣きながらレッスンは非効率
最後に、「泣きながらレッスン」と書いてありましたが、それは冷静にレッスンができていない証拠だし、泣いている時は呼吸や細部の筋肉を意識することはできていません。
絶対です。
今行われるオリンピックなどでもそうですが人は集中しているときには泣きません。
演技が終わったら感極まってないてしまったフィギュアのまおちゃんとかを見て分かるように、終わったら泣くのです。
ゾーンとかスポーツ界では言われる、超集中している時間。ある意味禅、メディテーションに近い状態。
その時に泣くことはありません。
だってやらなければいけない事が分かっていて、それを直すためにすっごく集中しているからです。
悔しくて泣くって事は、悔しいことを考えているからですよね?
ってことはさ、今やることにフォーカスしているのではなく、今出来ない事にフォーカスしちゃってるんだよね?
それはちょっと非効率じゃないかな?
出来ない事考えてるってネガティブなイメトレをしてるって事だしね。
解剖学的にも、泣くって事は呼吸のコントロールが難しくなり、鼻はつまり、目線はしっかりと定まりません。
呼吸に使う筋肉はたくさんあるから、それらがコントロール出来なかったら注意している個所をコントロールするのはほぼ不可能だと思うよ?
泣くな!ではございません
泣いてもいいんです。
悔しがっていいんです。
鼻水垂らしながら、夕日に向かって叫んでもいいんです。
ただし!
それはレッスン中にすることではございません。
プロを目指すならば特に。スタジオでいきなり泣かれたら、先生が他の子達を放っておいて慰めてくれると思います?
この子、注意すると面倒だなって思われたらそこで終わりです。
確かに私の知っているプリンシパル級のダンサーでできない自分が悔しくてリハ中に泣く、って人がいるのは知っています。
感情豊かで、表現力のあるダンサーだったらよくあることかもしれません。
だけど!
その後にね、彼女たちはpick yourself up and carry onするのです。
伸び悩みだから、なんて言っておらず、次のレッスンに向かうのです。
教師、先生だったらこんなことに注意を
と、まぁ、鬼モードでお話していますが、これは私が海外にいて、彼女の生活に関与しないから言えるので、ご両親、もしくは先生はそんな事を言わないでくださいね笑
人間関係の距離感によって言葉がけは変わってくるはずです。
レッスンで泣いて帰ってくるならば、先生から強く当たられている事があります。
分かってるけどできない、のならばいいけど、
いわれている注意がよくわからず、怒られてばっかり・・・だったらいい先生ではありません。
昔、誰だったかなー?ツイッターで見たんだけど「怒鳴るコーチは自分の出来なさを露呈している」って感じの言葉を見ました。
声のボリュームを上げて活気づける、というものと
「なんでできないのよーーー」と怒鳴りつける、というのは違うもの。
スタジオを変える必要があるかもしれないので注意深く彼女と話をしてくださいね。
教師の場合、自分が「出来ないところ」だけを言っていて「どうしたらできるか?」を伝えていなかったり、「できるようになったところ」を伝えているか?を考えて下さい。
出来るようになった=100%ではありませんが、ちょっとよくなった、やろうとしているのが見える、という言葉は生徒にとって勇気になります。
特に、努力のベクトルが正しいんだ!って分かるようになるものね。
確かに甘やかされてきた子供はすぐに泣くことでアテンションシーキング、つまり注目されようとします。
親に注意されたことがなければ、注意される=怒られるだと思う子もいます。
思春期、ホルモンはバンバンです!!
だけど、毎週見ている子だからこそ、何か変だな、と思ったら話しあってあげる必要があるんじゃないかな?
学校でのストレスや、親に結果が出なかったらバレエ辞めなさいって言われて切羽詰まっているかもしれませんしね。
私はそれはできませんけどね、近くにいる皆さんだからこそ出来る事ってあるはずよ。
DLSにはたくさん無料のアドバイスがあります。ひとつひとつしっかりと読んで、メモをとり、冷静に自分のレッスン内容などを見なおして下さい。
レッスンを見るレッスン、レッスンを休みなさい、といわれたときにできること、という記事でもあるように、体を動かすだけでなく、頭を働かせるのも練習の一部です。
頑張ってね!
どこかで伸び悩んでいるダンサーへのアドバイスになったら嬉しいです。
Happy Dancing!