2018年の幕開けは冬期バレエ講習会から始まりました。
この講習はバレエ学校留学、オーディション、コンクールを想定して作ってあります。
ウォームアップクラス、クラシックバレエ、ポワント、コンテというスケジュールで毎日レッスンがあるだけでなく、毎日様々な人が見学にきます。
レッスンを見られる
レッスンを見られる、という経験はダンサーにとってはとても大事だと思う。
だって、オーディションとはそういう感じだし、カンパニーレッスンを受けに行くとディレクターなどがレッスンを覗いているからです。
今年ロイヤルバレエ学校で2年生になった生徒の一人は留学当時「毎日がオーディションみたいに気が抜けない」と言っていました。
新一年生たちのレベルを見にくる関係者がたくさんいたようです。
イングリッシュナショナルに留学していた生徒は3年生になったら、色々なカンパニーのディレクターがレッスンを見に来て、暗黙のオーディションのような時期があったとも言っていました。
そういうところに慣れてくれるように、敢えてバレエ教師や関係者の人達に無料でレッスン見学に来てもらっていたのです。
もちろん、バレエ関係者、特にバレエ教師で留学経験のない人達にレッスンを見てもらうという事も大事だと思うのですよ。
理解は両方のベクトルが必要でしょ?
治療家、トレーナー、教師、ダンサー、家族・・・それらが同じ目的で同じ方向に、強力して動く必要がやっぱりあると私は思う。そしてそのような環境が出来れば、多くのダンサーが(精神的にも、肉体的にも)無理せず一番効率よく上達していけると思うのよね。
今回は参加者の中に、海外で踊っている子達が2名ほどいて、その子達の踊りや、注意の受け方、レッスンでの態度などをみて学んでいるところもあったのだと思います。
嫉妬心について書いた記事があるけれど、それのいいバージョン、憧れの心っていうのがあったのが見えてすごく良かったです。
やはり脳科学、素晴らしい笑
精神的にレベルが高かった
今回の参加者たちの精神レベルはかなり高かったです。もちろん全員ではないですけどね、全体的な平均として。
私だけでなく、他の講師たちも同じように言っていました。
「指導しやすい」。
今回は前回参加してくれた子達が戻ってきてくれていたこともあり、初日から雰囲気がとても良かったです。
簡単に言うと「目の色が違う」。
前回は精神的な弱さがあった子は強くなって帰ってきていました。
前回は周りと自分を比べてしまってひけめを感じていた子が、周りと協力しながら自信をもって生活していました。
去年の冬期バレエ講習会だけでなく、表現力セミナ―など他のセミナ―でDLSを知っている子達はその時の反省なども見えました。
そうすると、今回初で受講した子達も感化されるんですよね。
そしてポジティブなサイクルにはまってくれる。
皆で頑張ろう、とか一緒に何かしよう、とか。
疲れた、と誰かが言っていれば気になります。疲れたと聞き続けてきたら自分も引っ張られてしまいます。
そういうところがグループで勉強する時に大事になってきますよね。
カンパニーでもバレエ学校でも一緒。
メンタルの大切さはすごく見られましたね。
正しいポジションの大切さを実感
今回の参加者たちのおおきな課題は「正しいポジション」でした。
腕のポジション、脚のポジション、体のポジション・・・
動きではなくって、ポジション。
ここでいうポジションは180度のターンアウト、とかどこまで脚をあげる、とかではありませんよ。
どこを通過するか、どこに出すか、どこを向くか、どこから曲げるか。
これは小さい時に練習しておかなければいけない部分の一つです。
どうしてか?というとまずは身体的に負担が少なく、小さい体でも安全にできるから。
そして、それがいい「癖」になってくれたて、体に沁み込んだなら難しいテクニックになった時にその部分を直さなくていい=効率的に上達できる。となる。
それが出来ていないままで難しいテクニックをやってしまうと様々な問題が出てきます。
一番効率よく動けないため、無駄な力を使ってしまう→
- 動きにリキミが出る
- 無駄な筋肉を使ってしまい筋肥大が起こる(体のラインに影響)
- 負荷が一部にかかってしまうため、ケガのリスクが高まる
そして今回の問題となった部分。
- 同じ振り付けをしていても、揃わない。
冬期バレエ講習会では皆でそろって踊るという事を大切にしています。
たとえそれがバーレッスンだったとしても。
なぜかというと、ダンサーにとってプリンシパルになれる確率は非情に少ないから。
そしてプリンシパルになるためには「絶対に」コールドを通過しなければいけません。
コールドでいつもそろわない子にソリスト役をあげようと思ってくれる振り付け家がいるでしょうか?
(ここは、おおきな声でNOと答えよう!)
いつものレッスンで出来ることよ?
これね、先生に教わっていない、って思うかもしれない。
先生がすべてを教えてくれるわけではないし、他にもなおすところがあれば、そこの注意はされますよ。
だけど自分で出来る事はたくさんあります。
例えば、「バレエの立ち方できてますか?」ブックの第二章で、ポーデブラについても触れています。
そこに書いてある「絶対にしない」ポーデブラだけを気にしていてもかなりいい線にいきますよ。
何故か?
それは、私が日本に来るたびにその部分が出来ていないダンサーに会うから、多くの人が知らない、もしくは「知っていてもやっていない」甘い部分なんだと思うのです。
そして去年も立ちあったうちのバレエ学校のオーディションでも校長先生が注意しているのを見ましたし、
ACBシラバス説明会でも同じエリアを先生方に伝えている教師群の話を聞きました。
逆にバレエ団の公演で腕のポジションが正しくないダンサーは見られません。
確かに、メソッドや役がらによって腕の「正しい」が違うことも多くありますが、絶対にやらない事って言うのはあるでしょ、例えば脇はつぶさないとか、腕の動きに体が揺られないとか。
という部分から、やっぱり自分でも「常に」注意しなきゃいけないんじゃないかなー。
バレエの立ち方ブックもそうだけど、持っているだけで安心したり、一度読んでOKっていうのはないと思うンだよね。
このブログを読んでくれている人で、バレエの立ち方ブックをお持ちだったらぜひ、ポーデブラの部分を読んで、今日のレッスンではこの部分を気をつける!と心に決めて、付箋にでも書いて、レッスンに持っていくペットボトルにつけておきましょう!
毎回水分補給するたびにチェックできるし、それをチェックしていなかったら水分補給ができていないってことだからね!
次に繋げること=反省
毎回、冬期バレエ講習会の後には、参加者の一人一人と私で一対一の反省会をします。
そこで、よくできたところや今年の課題を言ってもらいました。
嬉しいことに今回は、すごくハキハキと答えてくれる子達ばっかりでした。
自分の出来ないところや、課題がすぐに出てくるという事は、意識してレッスンをしていてくれたんだなーと思いますし、自分で出来なかったところ、というのは私が見ても一致していたので頭を使ってレッスンしてくれた子達だったんだなと感じました。
受けただけ、やっただけに終わらせないためにも、反省は絶対に必要でしょ?
それがその場で言葉に出るだけ考えてくれたことは、2018年のバレエ生活の質を変えてくれる事になると確信しています。
また来年も来たい、と言ってくれた子もいたし、奨学金を出した子もいましたので、
今後彼女たちにまた会って一緒に練習できるのを楽しみにしています!
Happy Dancing!