コンパートメント症候群なんて言葉を聞いたことがありますか?
あんまりないかな?
じゃ、シンスプリントは??
これは結構あるでしょう。
急に腰が痛くなった=ぎっくり腰、足首ひねった=捻挫とかと同じように、脛が痛い=シンスプリントだね、って言われる(と書いて、誤診とも読む。)事の多いケガです。
言葉通り、シン=shin=脛ってことで脛の痛みを指すのね。
だけど、よーくみると、しっかりと診断するとこのシンスプリントだって本当は様々な他のケガである事があるんですよ。
よく間違えられるのが、コンパートメント症候群。
なので今日はこの部分をお話していきたいと思います。
コンパートメント=区画
コンパートメント(compartment)って言葉は区画とかの意味がありますが、ここでは「筋膜などで分けられた4つのお部屋」って事だと思って下さい。
解剖学的には筋区画なんて呼ぶことがありますが・・・まー文字通りでしょ?
脛(ひざ下)には
前部
外側
深後部
浅後部
って4つのお部屋があります。
文字通り脛の骨の前、外側、後ろ側の浅い部分と深い部分、って事ね。
そのお部屋に住んでいる住人マッスルたちは、というと
前部・・・前脛骨筋、長母指伸筋(EDL), 長趾伸筋(EHL), 第三腓骨筋(ちっちゃい奴)
外側・・・長腓骨筋, 短腓骨筋
深後部・・・長趾屈筋(FDL), 長母指屈筋(FHL), 膝窩筋(しつかきん), 後脛骨筋
浅後部・・・ヒラメ筋、腓腹筋、足底筋(足底筋ってひざ裏にある筋肉ね、足の裏にあるのは足底筋膜!)
でございまする。
ええ、名前が混乱するよねー別に覚えておかなくて大丈夫。
点と点原理で考えるとだいたい同じ部屋にいる子達は同じ動きをするのねって分かればそれで十分です。
例えば前の部屋の子達は足にある点と脛にある点を結ぶからフレックスするっぽい動き、
外側はフィッシュする動き、
後ろ側はつま先を伸ばしたり、あしの指をぐーする筋肉。
ってだけ。
ね、単純でしょう?
コンパートメント症候群とは?
じゃ症候群、ってつくとどうなるのっていうと、その部分のケガをさすのね。
だから4つのお部屋におきるケガのことを全て指します。
4つの部屋の中にはけっこうな数の筋肉が一緒に住んでいるでしょう?
それ以外にも神経や血管などが入っているンですよ。
そして、なんらかの原因でお部屋がパンパンになってしまうと、中に入っている血管や神経も圧迫されて痛み、時には手術が必要なくらいすっごい痛みになることもあります。
でもダンサーに見られるコンパートメント症候群は慢性って呼ばれるやつだから「死ぬほどいたい!病院送り!!」って感じより、
まずは脛が痛いな―くらいから始まって、そのうちジャンプの着地やルルベで痛くなって、
安静時でも鈍痛、つまり踊っていなくてもふくらはぎが張っている感じがしたり痛みがあったりするようになっちゃうの。
つま先もしっかり伸びないし、プチアレグロが一番痛いというのも特徴です。
捻挫しやすくなったり、足先に力が入りづらくなって無理な使い方をするから、足首の後ろ側が痛くなる、後方インピンジメントや足底筋膜炎などになっちゃったりもします。
そういう子達に「脛は?」と聞くと
あーけっこう前から痛かったです。
踊っている時は痛いです。
なんて答えることがよくあるのね。
そっちを早くどうにかしてたら、他のケガに繋がらなかったのにっ!って私に怒られることになります。
ダンサーに見られやすいのは?
ダンサーによく見られるのは「深後部コンパートメント症候群」、その次は「前方コンパートメント症候群」となります。
後部は2つあったよね、一つはふくらはぎ達がいる皮膚に近い部分、一つは深い部分。
この2つのバランスが崩れると=ふくらは達が弱いと痛くなります。
残念なことに、最初はふくらはぎが張ってるなーくらいの感覚なので、みんなアキレス腱伸ばしとかをやるんですよ。
一時的に痛みが軽くなった感じがするから、ストレッチしなさいってネットに書いてあったから、っ手い理由で続けるんだけど、痛みは治りません。
もちろん!
だって理由はふくらはぎ(特に腓腹筋)が弱いせいでこうなっているんだもの。
その子をストレッチして一時働かないようにしちゃってたら、痛い部分(深後部)がもっと働かなきゃいけなくなるに決まってるでしょっ!?
また、指を丸めてタンジュ、ポワントする子達もこの深後部を使い過ぎるので、そこだけ肥大したり、腱が炎症を起こしたりして(長い腱があるのも深後部にある子達の特徴)痛みにつながります。
よく見られる「足裏」を鍛えるエクササイズとして
ボールやタオル掴みなどをやり続けるともっともっと酷くなります。
だって・・・休めてあげたい子達を鍛えるエクササイズなんだもの。
正しくターンアウト出来ていないと、正しく立てていないと、足の指を丸めて、力をいれて立つことになります。
そうしても痛くなるのがこのケガ。
だからダンサーに一番多く見られるのね。
次に多いのは前脛の部分。
男性ダンサー、特にジャンパーな人達がなりやすい傾向がありますが、それは単に使い過ぎ。
シーズン中に見られやすいプロにありがちなケガです。
プロでない場合、女性の場合は重心が後ろに行き過ぎている場合によくあります。
転ばないように、足首の前をぎゅっとして立つから、その部分にある前部の筋肉たちが常に緊張している状態になってしまうんだよね。
舞台に傾斜があったりするとなったりする可能性もありますが、そういうところで長期踊っている子達は少ないので、それよりはテクニックの間違いですね。
それぞれ、何をやったらいいのか?は少し変わってきますが間違いなく言えるのは、
正しく立ちなさい!
ってところでございます。
Happy Dancing!