私のセミナ―に来てくれている人や、FBライブを見てくれている人は既にご存知のこの言葉。
最初にどこで聞いたか忘れちゃったし、
全然違う内容で聞いて、私なりに解釈したのか、も忘れちゃったけど、
バレエ学校で10年以上働いている中で、毎回の来日で3-500人と出会う中でずっと自分に言い聞かせている言葉でもあります。
今日は
「解剖学を勉強すればするほど、生徒にどこまで指導したらいいのか迷ってくる」
という言葉をお友達先生から聞いたので、それに答えてみます。
この記事は、教師講座2018年1月グループに捧げます。
このグループでの1年勉強もあと少しで終わりなので、今後の勉強のためにも、と思って。
長い記事だから、最後まで行きつかない人のために…
指導しちゃダメだ、あんたはダメ、っていう記事じゃないです。
指導者としても勉強を続けないとね、という話です。
なんだかよく分からない記事にも書いたけど、
You don’t know what you don’t know
つまり、勉強すればするほど、自分が分かっていなかった部分が浮き出てくるのです。
そして、その後に、知ってるとやってるの違い、が出てきます。
知ってる知識だけど、指導に使っていない部分や、
言葉にしづらいから、YESとNOクエッションだったら答えられるけど、どうして?とかどうやって指導する?
となると分からなくなる。
だって練習していないエリアは勝手に上達はしないから。
この二つのコンセプトをつなぎ合わせると、
「解剖学を勉強すればするほど、生徒にどこまで指導したらいいのか迷ってくる」
に行きつくんだと思うンです。
だけどね、それって「100%分かっていない」の現れなんじゃないか?と。
例えばお医者さんにいくじゃん?
「なんだか、皮膚があれているのが治らないんです」って。
そしたら、
- 場所(服にすれる場所なのか)
- 過去の病気(アレルギーがあるかとか)
- 温度(暑い季節なのか)
などと照らし合わせて
「あせもですね。」となるわけでしょ?
その時に、お医者さんに
えーと、あせもな場合もあれば、皮膚癌な可能性もあるし、なんだかわからない新種のウイルス感染かもしれませんねぇ
なんて言われないじゃん!!?
言われたら、コイツ、なんも分かってないな、って思うか、
私死んじゃうんですか!?ってパニックになるでしょ。
可能性としてはゼロじゃないでしょ?どれも(一応…)
だけど、一番、この場所で、この子の症状に合うもの、を考えるわけじゃん。
もし、その時に同じような感染症が蔓延していたら、
一応テストしておきましょう、となるかもしれないしね。
解剖学も、指導もそうだと思う。
骨盤のプレースメントが正しく出来ないって言っても色々な可能性があるでしょ?
- お腹が弱い
- 腰椎のカーブが反り過ぎ
- お尻の筋肉が弱い
- 内転筋が働いていない
- 膝が過伸展している
- 足首がロールインしている
- そもそも正しいプレースメントが分からない
とかさ。
それ、全部生徒に注意していたら、
最初のプリエでレッスン終了だよ・・・
だけど、その中から、一番彼女にとって最適なものを選ぶんだよね。
- バレエを始めて日が浅いから、プレースメントという知識が必要
- 足首捻挫の後だから、安定が悪い
- 発表会の練習でアラベスクが多いから、腰の筋肉が緊張している
- 股関節のケガもあるので、お尻が働いていないのかも
とかさ。
もちろん、お医者さんが「OO日経っても良くならなかったらまた来てください」っていうように、
バレエの先生が直した部分が絶対に100%正しい答えではないかもしれないけど、
そうしたら、次に考えられる部分を指導するでしょ?
机上の解剖学ばかり勉強して、解剖学を実際に指導に使う「練習」をしていない人も多い気がする。
だからこそDLSではマスタークラスっていうのを教師講座の後にやっているんだけど、
知ってる、から、やってる、に行くための練習。
- 注意し過ぎない
- 具体的に何を見ているのか?を理解する
- どうしたら骨が正しいところにある、と分かるのか?(しかも動きの中で、服の上で)
などを練習したり、
- その言葉で生徒につたわるのだろうか?
という部分を練習したりね。
生徒と教師の温度差、という記事でも書いたけど
私たちが楽しい!やりたい!大事!!!
と思っている事と、
生徒が楽しい!やりたい!大事!!
と思っていることに差がある事があるんだよね。
指導者主体になったら自己満足だと思う。
生徒が主体にならないと。
だってさ、
- 内転筋を感じることに集中するのも、
- 膝を引き上げるのも
- 腹横筋をいれ続ける感覚を作るのも
間違っていないじゃない?
ぜーんぶ合ってるよ。
もし生徒が今日の目的は「OOです」って上にかいたやつの1つでも言ってくれたら
嬉し涙だよね?
そして全て、強い軸を作るには大切な部分。
だけど、彼女が太もものサイズにコンプレックスがあって、膝を引き上げるという事に
不信感を持っていたら、膝を引き上げなさいっていう言葉では通じないかもね。
そうそう、1回注意したからってその子が理解できてる、と思うなよ?
特にいい子ちゃんは先生が「聞きたい答え」を答える傾向にあるから、
分かりますか?というとはい、と言います。
でもね、ピルエットの理論が分かっても、練習しないと上手にならないし、身につかないように、
注意も、何度も何度も言って、やらせて、初めて身につくんだよね。
うちの生徒ですっごく真面目で、解剖学も好きで、トレーニングも好きで!!!!という子でさえ、
足首がまっすぐになってるか?について3年以上一緒に、定期的に見直しているんだから。
あとね、解剖学にも順番があるんですよ。
なにそれ?って感じ?
例えば腸腰筋はデヴァンに脚を上げるためには大事。
だけどね、腸腰筋を鍛えましょう!の前に、考えましょう!!の前に。
コアが使えないとダメなんだ。
何故かって?
腸腰筋は腰椎についているでしょ?
だからね、腰椎を安定させる筋肉(=コア)が働いていなかったら、
腸腰筋は安定させるところにパワーを使ってしまって、
脚を90度以上あげましょう!というところに使えないんだよ。
そして、固くなった(=安定させるために常に働かなければいけないため、膠着した)腸腰筋は
股関節の痛みに繋がるンです。
デヴァンすると痛い、って言ったり、パキパキ音がなるとか、つっかかった感じ、とか。
で、正しい筋肉で脚をデヴァンにしていないからだーーーーーー!
て先走って、腸腰筋鍛えるトレーニングに走っても悪化するだけなんだ。
ちょっと今のはマニアックな例だけど、
ターンアウト本に書いたように、外旋六筋を骨盤安定に使っていたら、ターンアウトのための力は残っていない。
だから最初スタンス、次ターンアウト。
順番があるわけ。
その順番を考えているのがモジュール1,2,3,4なんだけどね。
その他にも、エクササイズやストレッチにも順番があるでしょ。
難易度、という言い方をされる場合もあるかもしれないね。
そこを飛ばしちゃったら、いくら正しいことを指導していても上達は遅れるよ。
ということで。
「解剖学を勉強すればするほど、生徒にどこまで指導したらいいのか迷ってくる」
という事について佐藤愛流に答えてみると
解剖学を知っているだけでなく、動作順位、バレエとの繋がり、生徒の体、心理、その時のシチュエーションなどが分かっていないと、
つまり100分からないと、1指導出来ないんじゃないかな、と思う。
- 迷いがでる
- 悩んでいる
- 自分に対して自信がなくなる
こういったステップは自分が成長している証拠、つまりポジティブなものなんだなって考えてあげたらどうだろうか?
本当に分からなかったら迷わないし、
知識がなければ悩まないだろうし、
本当にそのこと(生徒)に対して考えていなかったら自信がなくなることはないだろうから。
だからポジティブに考えつつ、自分を磨き続けろよ、っていうサインじゃないかなって思うんだ。
私、天職やってるのね♡って思って自分に乾杯しましょ。
あ、でもエゴが強い人っていうの?
自分大好き人間っていうの??学ぶ気がなく、先生風を吹かせることが好きな人っていうの???
は分からない事があったり、他の人と自分が言っている事がズレてくると
イライラしたり、過敏に反応したりする事がございます。
そうやって自分(と自分の世界)を守る必要があるため、防御反応としてです。
そうじゃないと、今まで培ってきた自分の世界が崩れちゃうから。
人より優越である事を誇りに持っている人は、その自分の大切な部分が奪われてしまうから、
必死で戦ってきます。命かかってるからね。
そして他の人に嫉妬したり、影で悪口言ったり、「迷ってるンですよねー」という事で自分を守ることもあります。
先生が迷っていたら、お金払って、時間使ってレッスンに来ている生徒達はどーなっちゃうのさ。
迷うな、ではないよ!(もう上で書いたからわかると思うけど)
でも、迷ってるんですよねーと言う言葉で自分の勉強不足を防御してないか?って確認する必要はあると思う。
自分がそういった反応をしちゃった時は超まずい!と思ってね。
このような困ったちゃんに出会ったときは、巻きこまれないよう、お気をつけて…
Happy Dancing!